解説
「オレ達はそんな変態じゃねーぞ」
とは、1987年に「少年ジャンプ」誌上の巻末に掲載された編集部のコメントである。
当時「キャプテン翼」ブームにより、腐向け(当時はやおいと称された)の同人誌発行も空前の活況を呈していた。しかし過半数のキャプ翼同人誌の中身は、そのような二次創作に初めて接した少年漫画の担当者から見るといともたやすく描かれるえげつない描写に満ちていた。ポルノまがいというか…今で言うエロ同人の数々を目にしてショックを受けたジャンプ編集部が、当時の状況を見るに見かねて発した、おそらく公式からの初となる
「あまりエゲツない内容の腐向け二次創作に対する戒めのメッセージ」である。
そして中身もものすごい。
あまりエゲツないのは目をおおいたくなります、担当として。
「オレ達はそんな変態じゃねーぞ」って。
陽一先生もかわいそう。
みなさん、これ以上キャラを傷つけないでください。
(編集後記より。全文引用)
勿論これを受けてエゲツないエロ同人がなくなった...なんてことはなく、その後も尾崎南あたりのエグい同人誌などが、一般書店で普通に平積みになったりしていた。
が、この公式からの切なる訴えは、ジャンプ誌掲載当時各界に多大な衝撃を与え、腐女子のみならず、オタク系の情報誌などでも話題となった。(「ファンロード」誌などではネタ化した)
ちなみに、ジャンプ同人誌の存在そのものは、やおいブームの数年前に知られていた。
また、当時はたとえ中身が強姦・輪姦・痴漢・変態セックスまんさいのドスケベ本であっても、表紙にR18表示などを明記する習慣がなく、このため未成年者がエロ同人を手に入れるのは容易であった。
こんな感じで、無法状態でオープンな傾向にあった腐向け二次創作が「公式サイドや一般ファンの目につかないように」隠れて活動する方向に移行するきっかけにはなった。
少なくとも表紙に女性向、成人向表示くらいは徐々につくようになっていった。
現在はエグい内容の同人誌には18禁表示が当然のルールとなっている。
関連リンク
- 同人誌生活文化総合研究所(2007年7月21日付の日記に全文引用あり)
- 1983年の週刊少年ジャンプにコミケの記事が!【後編】
- 「キャプテン翼」以降の女性アニパロ史