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ライラ(鋼の錬金術師)

らいらまたはだんて

漫画「鋼の錬金術師」の2003年度版アニメに登場するオリジナルキャラクター。なお、彼女に深く関わる「ダンテ」についてもここで説明する。

概要

CV:かかずゆみ

「鋼の錬金術師」の2003年度版のアニメに登場するオリジナルキャラクター。

おかっぱ頭(ショートボブ)で紫色の瞳を持つ錬金術師少女

意外とプロポーションはグラマー荒川弘の描く女はだいたいそうだが)で巨乳

物語初期においてユースウェルでヨキの部下として登場。

純粋かつ真面目な性格で、国家・軍部に尽くし国家錬金術師になろうとしていたが、実際のところはヨキに巧みに利用され、彼のボディーガードとなっていた。

風を操る錬金術でヨキに命令されるがままエドと対戦するが敗北。

その4年後は、純粋に「大衆のための国家錬金術師になる」ことを志し、ダンテに弟子入り。

ダンテの下では、前に見せなかった無邪気な笑顔を見せるなど、とても充実な日々を送っていた。

しかし、ダンテに生きたまま身体を乗っ取られてしまう

死亡した訳ではないが、ライラの魂がどうなったかは不明。ただ、声がライラのままであったり、ライラの知っていた記憶をダンテが共有している描写もあるので、一部では「一体化した」のではないかとも言われている。

別の見方をすれば「立派な錬金術師になる」という夢は叶えられた結果となったので、ある意味本望だったのかもしれない。

劇場版では、扉の向こうの世界でライラにそっくりな女優がフリッツ・ラングの撮影所でお茶を出した。この時の彼女は、エドに対して無愛想だった。

なお、2003年版の監督を務めた水島精二氏によれば、「ライラがラスボスになる事は最初から決まっていた」との事である。

ダンテ

CV:老ダンテ・杉山佳寿子/ライラダンテ・かかずゆみ

イズミの元師匠の錬金術師で、深い森の奥に屋敷を構えてひっそりと暮らしている。

物語後半で登場し、ライラを弟子にしていた。また、エルリック兄弟も使う「フラメルの十字架」も元々ダンテが使用していた物である。表面は穏やかな老婦人だが、大の人間嫌いで、それによりイズミと袂を分かった。

その正体は、アニメ2003年度版のホムンクルス達の統括者であり、「お父様」ポジション。

物語全体での最大の黒幕。他人の肉体を乗っ取り、悠久の時を生きてきた女錬金術師。

イズミ・カーティスを弟子に取っていたのも、彼女の強靭かつ高い錬金術の才能を有した優秀な肉体を次の乗っ取り先としてストックしておくのが真の狙いであった(ただし、この目論見自体はイズミが人体錬成を行ったことで肉体が欠損、乗っ取り先に適さなくなったため諦めている)。

錬成陣無しの錬成や、赤ん坊を使って真理の扉を開くなど、錬金術師としての実力は高い。

物語の進行と共にその本性を表し、弟子のライラの身体を生きたまま乗っ取るなど、その冷徹・利己的な業の深さが現れてくる。

恋愛観に関してはヤンデレに近い感覚を持っており、かつての同僚だったホーエンハイムを400年以上も恋慕い、彼に拒絶されるとホーエンハイムを真理の扉の向こうの世界に飛ばした

、ホーエンハイムが去ってからの数百年、自分の秘密を周囲に気づかれないようにする事と、寂しさを紛らわす目的で何人も夫を作り、愛人を囲っていたらしい。

ホーエンハイムの息子であるエドにも興味を示し、ロゼの肉体を得たら彼と恋仲になろうとしていたなど、かなりには奔放。

冷徹・利己的な性格だが、自分の欲望と関係ないところでは意外に優しいところも見せる。

最初に錬成時の事故で死にかけたホーエンハイムを救ったり、内臓の大部分を人体錬成で失った元弟子のイズミのために薬を調合したり、体が腐り始める前から軍に暴行されて声を失ったロゼの面倒を見ていた。しかし、これらも前者は有力な錬金術師と繋がりを持っておくことで情報収集や新弟子の募集に有益であり、後者もリオールで事を起こすことは賢者の石の錬成に必要であり、長い目で見たら自分の利益と無関係とはいえないようだ。そもそも、体が腐り始める前からロゼの面倒を見ていた、という証拠はない。

すこし微妙だが、リオールでスカーに賢者の石を錬成させようと企み、軍をリオールに送り込む手順は当初有無を言わさずリオールに侵攻という単純な方法だった。

だがエドに対する好意からプライドにエドの手紙を根拠に出陣を見送らせるよう指示し、一時的に別仕事をするという名目で大総統という圧力を失わせ、虚栄心が強い現場のアーチャーが暴走するという面倒な方法に切り替えている。

後にロゼの体を乗っ取ってエドと恋仲になろうとしていたことを考慮すると、リオールのことで罪悪感を覚えているだろうエドに「あなたが動いたおかげで助かった命がある」とでも言って慰めて好感度アップとでも考えていたのか……。

目的

その目的は永遠の命を得ること。そのために肉体の入れ替えに必要な賢者の石を欲している。

石を常に確保するため、石の秘密を一般に知られないように守ると同時に、多少の石の情報を流す、あるいは争いを起こすことで、石を求めさせ追い求める者に石を作らせ、それを横取りするという小狡い計画を立てていた。

ただ、賢者の石を用いた方法では、肉体は新品でも魂その物が劣化していくため、生きたまま身体が腐敗していき、さらにその周期も早まるという欠点がある。その回避のために真理の扉の研究なども行っていた。

自分がホムンクルスになった方が良かったんじゃないか?」とは言ってはいけない

一方で賢者の石を求めた者を滅して「賢者の石を求めた者は滅ぶ」という伝説を造りあげ、人間が賢者の石に拒絶感を持つように仕向けるという上記の計画とは矛盾したことも目的としており、そのためにホムンクルス達を使って工作活動を行っていた。

これは賢者の石の秘密を独占しておきたいという利己的なものもあっただろうが、彼女の主観としては火薬を手に入れただけで戦争三昧な人間が賢者の石を手に入れると世界そのものさえ滅ぼそうとするのではないかという危機感の方が強かったようである。

配下(ホムンクルス)との関係

そのホムンクルス達は「賢者の石で完全な人間にする」との口実で利用していたに過ぎず、エンヴィーと自分が造ったプライドキング・ブラッドレイ)以外は全く信用していなかった。

さらに普通に異性としても気に入っていたのか、かつての愛人をベースに人体錬成を何回かしたことが仄めかされている。

そのためか彼らを思い出させるホムンクルス(グリードやプライド)は彼女のお気に入りであり、グリードのように謀反を起こしても最初は封印するだけにしておくくらいには情がある。

ただしダンテが錬成したホムンクルスでもグラトニーは「賢者の石錬成の為」と明確な目的があった実用本位のホムンクルスであるためか、かなり扱いが雑。

一番新参であるスロウスの事はその冷酷さと智謀が気に入ったのか寵愛していたが、ラストに関しては先代の彼女(彼?)には何らかの理由で離反されており(一説ではゲーム版「翔べない天使」に登場したカミラが先代のラストの正体とも言われてるが、その詳細は不明。)、

後任の(本編の)ラストに対しても個人的な感情で動くこともあったためか、非常にぞんざいな扱いをしており、それが原因で結局は離反されている。

ラースに対しては、彼はダンテの配下と言うよりスロウスの私兵と言った立ち位置であった為、石を勝手に使おうとした事でエドの手足を奪われてしまうなど、ダンテの信頼を得るには至らなかった。

ホーエンハイムとダンテの息子をベースにしたエンヴィーは彼女の信頼を一番得ていたが、実は彼も密かにダンテを出し抜いて、世界を支配しようと企んでいた為、いわゆる「組織のボス」としてのカリスマ性はなきに等しい。

逆に言うと、ずばぬけた錬金術の知識と能力を持っただけの、良くも悪くもただの人間であるとも言える。

なお、ホムンクルスたちに名前を付けたのはダンテという設定だが、原作と違い七つの大罪に相当する業をそのホムンクルスが背負っているというわけではなく、400年前に流行り今は廃れた古い宗教の禁忌の名から引用しているだけらしい。

結末

終盤では、地下都市にて賢者の石となったアルを人質に取ってエドを迎え撃つなどしたが、アルが自らを犠牲にする形で賢者の石を使用したため計画は失敗。

動揺した彼女はロゼを置いて逃亡してしまうが、最期は自ら理性を奪ったグラトニーに襲われるという結末を迎えてしまう。

劇場版『シャンバラを征く者』に於いては、エレベーターから落とされて地下都市の建物を喰いまくって怪物化したグラトニーが登場してるが、結局の所ダンテ自身の最期のシーンは明示されておらず、「喰われた」のかどうかはハッキリしていない。

その為生存説も囁かれているが、仮に生きていたとしても手駒のホムンクルスはほぼ全滅し、賢者の石を手に入れる手段も途絶えたため、ライラの肉体のまま生き続け、長年逃げ続けた「死」と向き合わざるを得ない生き地獄を味わうことになると思われる。ある意味では、その方がグラトニーに喰われるよりも彼女には相応しい「罰」なのかもしれない。

間違いなく悪女ではあったが、400年生きただけあってか発言自体は的を得たものが多く、エドに対して「等価交換」の欺瞞性を指摘する台詞は名言と名高い。

最初こそは「愛する人と添い遂げたい」とだけ願っていた普通の女性であったが、あまりにも愛を求め過ぎたがゆえに長い年月で歪んでしまった哀れな女性でもあったと言える。

その憎み切れない人間臭さで、一部では高い人気を得ている。

2009年版「FULLMETAL ALCHEMIST」では、老ダンテにそっくりな老婦人がカメオ出演している。入江監督曰く「ダンテ本人ではない」との事。

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