概要
パニエ(panier)とは、スカートの下に着用する下着の一種である。コルセットで上半身を絞り、パニエによりスカートを膨らませることにより下半身を大きくし、腰周りの細さを強調させることを目的としていた。
歴史
この「スカートを膨らませる」ことは16世紀にまずスペインにて流行した。それが18世紀ごろイギリスで再び流行し、それはフランスに伝わった。そしてその当時のパニエは、「木や藤や鯨のひげを用いた芯が入ったスカート」であった。その際、スカートを膨らませるための下着の形状が「鳥かご(panir)」に似ていたため、その名前がついた。女性のファッションはこれ以降左右方面に巨大化し、重いものとなっていった。
女性たちのパニエファッションは次第に華美を競うようになったが、やがてロココから新古典主義へと文化が遷移する中で、ドレスも簡素化され、廃れていくことになる。
19世紀初頭、ナポレオン1世の皇妃ジョセフィーヌが流行させたエンパイア・スタイルでは、それまで下着だったシュミーズがドレスとして着用されるようになった。その後、1840年代にはファッションは再び大型化するが、スカートを膨らませる役目はペチコートの重ね履きからクリノリンの発明にに取って代わられた。女性のファッションはさらにバッスルを経て、上半身を飾り立てるエドワーディアンのスタイルへと移り変わっていった。
現代ではこの下着は軽く硬い化繊を素材に作られ「スカートを膨らませ、形を美しく保つ」ために使われている。
特に使われる衣装としては、ウエディングドレスや、ワンピースが挙げられる。丈の短いスカートに着用する場合は、ショーツが見えてしまう事故を防ぐため、ドロワーズや、アンダースコート、タイツやスパッツ等を併せて着用することが推奨される。