概要
パニエ(panier)とは、スカートの下に着用する下着の一種である。コルセットで上半身を絞り、パニエによりスカートを膨らませることにより下半身を大きくし、腰周りの細さを強調させることを目的としていた。
歴史
この「スカートを膨らませる」ことは16世紀にまずスペインにて流行した。それが18世紀ごろイギリスで再び流行し、それはフランスに伝わった。そしてその当時のパニエは、「木や藤や鯨のひげを用いた芯が入ったスカート」であった。その際、スカートを膨らませるための下着の形状が「鳥かご(panir)」に似ていたため、その名前がついた。女性のファッションはこれ以降左右方面に巨大化し、重いものとなってしまった。
パニエはその後、新古典主義の影響などによりシンプルなドレスが流行し始めたため、廃れてしまった。
再びスカートを膨らませることが流行した19世紀半ばに、パニエも一旦は復活を遂げる。
しかしやがてペチコートやシュミーズの重ね履きから、身軽さを重視したクリノリンに取って代わられ、さらにバッスルを経て、上半身を飾り立てるエドワーディアンのスタイルへと流行は移り変わっていった。
現代ではこの下着は軽く硬い化繊を素材に作られ「スカートを膨らませ、形を美しく保つ」ために使われている。
特に使われる衣装としては、ウエディングドレスや、ワンピースが挙げられる。丈の短いスカートに着用する場合は、ショーツが見えてしまう事故を防ぐため、ドロワーズや、アンダースコート、タイツやスパッツ等を併せて着用することが推奨される。