この記事は原作単行本、テレビアニメのネタバレを含みます。
概要
cv:子安武人
壁内人類と敵対する「戦士」の中で戦士長と呼ばれる男性で、ライナー、ベルトルト、アニの上官にあたる。
壁外から来た巨人化能力者の一人。戦闘の時は獣の巨人に変身し、他の巨人よりも長い手を活かし、砕いた岩を野球の投球のように投擲する攻撃を得意とする。
原作35話から「獣の巨人」として登場していたが、同70話にて人間態としての姿を現す。
その顔立ちから主人公エレンの父であるグリシャ・イェーガーとなんらかの関係があるのではないかと推測されていた。
活躍(原作・テレビアニメ3期ネタバレ注意)
戦闘力は巨人化能力者の中でも非常に高い。ライナーとベルトルトとはシガンシナ区で合流しており、今すぐにでもアニの救出に向かおうとしていた2人を力付くで止め、仲間を救出することより
「座標」の奪還が優先であるとし、ウォール・マリア奪還のためにいずれやって来るエレンたちを待ち構えていた。
「ウォール・マリア奪還最終作戦」では巨人化し、用意させていた多数の巨人たちと共にシガンシナ区郊外に出現。内門の外側を巨人たちに包囲させて調査兵団を孤立させ、さらには投石攻撃で追い詰める。
調査兵団の多くがその犠牲になる中、リヴァイ、調査兵団団長のエルヴィン・スミス、
新兵達は「獣の巨人」を討つべく、捨て身の作戦を開始。
リヴァイを「獣の巨人」に近づけさせる為、馬に乗ったエルヴィンと新兵達は投石攻撃が降り注ぐ中、「獣の巨人」に特攻をかける。
戦いをさながら野球試合のように茶化していたジークは、この特攻に対しかつてない怒りを露わにしており、「レイス王に『世界の記憶』を奪われたのは悲劇」、「だから過ちを何度も繰り返す」とこぼしている。
だが持っていた岩石を握りつぶしたことで我に返り、「自分は父親とは違う」と自身を諫めていた。再び投石攻撃を再開し、特攻し続ける新兵達を、たった一人を残し全滅させる。
しかし、密かに接近していたリヴァイによって圧倒され巨人体から引きずり出された挙句、
ブレードを口内に突っ込まれ、左目下から貫通させられ追い詰められた。
あと一歩のところで殺される寸前だったが、「獣の巨人」の力を奪うため生存者を探そうと
リヴァイが隙を見せた時、背後から駆け付けた車力の巨人に助けられて逃げ延びた。
逃走の際、用意していた大型巨人達に命令を送りリヴァイを襲わせている。
その後、壁内にて「超大型巨人」を討ち取ったエレンの前に姿を現す。
エレンは目の周りの巨人化の跡から、彼が「獣の巨人」かと推測するが、一方でジークはエレンを
見て「全然父親に似ていない」と発言する。
予想外の言葉に驚くエレンに、ジークはさらに「自身はエレンの理解者である」こと、「同じ父親の被害者」で、「お前は父親(グリシャ)に洗脳されている」と語りかけた。
エレンもまた、彼からグリシャの面影を感じ取っている。
その後、追撃してきたリヴァイから逃げる際、エレンに対し「いつか救い出す」と発言した。
壁内に来た目的は、ライナーとベルトルトを回収する為であったが、
既に討ち取られていたベルトルトの回収は断念し、ライナーを救出する。
その後の動向は83話以降分からなかったが、92話で再登場を果たす。
91話から物語の舞台は変わり、海の向こうの大国「マーレ」の軍隊に所属し、中東連合の戦争に参加。後述の巨人の力で、戦争終結に貢献した。
エルヴィンに匹敵する程の知略を張り巡らせ、目的のために非情な判断も躊躇わないが、その根底には「自分たちで全てを終わりにしたい」という悲壮にも似た思いがある様子。
正体
グリシャとの関係は、86話にて判明。
その正体は、グリシャと彼の前妻にあたるダイナ・フリッツとの間に生まれた息子
であり、フルネームはジーク・イェーガー。
つまり、グリシャの後妻カルラの息子であるエレンからみて異母兄にあたる。
容姿は髪の色は母ダイナと同じで、顔立ちは父グリシャに似ている。
眼鏡をかけ、口元を覆う髭を生やしている為、後述の実年齢にしては老成して見える。
(テレビアニメ第2期最終回でも僅かながら登場しており、確認される限り髪の色は金髪。
原作単行本23巻の表紙では銀髪らしい色。)
壁外の大国「マーレ」出身。
父グリシャは、幼少期からマーレ国を強く憎んでおり、エルディアの復権を望む「エルディア復権派」のリーダー格であった。ある時、謎の人物「フクロウ」の手引きで、復権派に加わった大陸のフリッツ王家最後の末裔であるダイナと出会う。
彼女の話から、かつてパラディ島(本作の舞台)に逃げたフリッツ王家の持つ「始祖の巨人」が、エルディア復権の鍵になると確信したグリシャは、必ずそれを奪還することを決意。
翌年2人は結婚し、同年に息子のジークを授かる。
王家の血を引く生まれたばかりの我が子を腕に抱きながらグリシャは、「この子は必ずエルディアを勝利に導いてくれる」と彼に大きな期待を寄せ涙を浮かべた。
数年後、マーレ政府がエルディア人の民衆の前で「マーレの戦士」を急募することを宣言。対象は5歳から7歳の健康な男子女子で、しかも戦士になれるのはごく少数のみという。
戦士になった者が手にするのは「九つの巨人」の内の「七つの巨人」の継承、そしてその
一族のマーレ国内での自由だった。唐突な事態に驚きを隠せないグリシャら「エルディア復権派」の元に、フクロウから一通の手紙が届く。
内容は以下のものだった。
マーレはこれまで、巨人の力によって国力を維持してきたが、やがて到来する近代軍事技術の時代
に備えるため、莫大な化石燃料を埋蔵するパラディ島に目を付けた。
しかし、80年前にフリッツ王が残した「今後我々に干渉するなら壁に潜む数千の巨人を侵攻させる」という言葉に脅威を感じ迂闊に手が出せない状況にあった。そこで数人の部隊を壁内に侵入させ、島に隠れた王家から「始祖の巨人」を奪還することを目的にしたのである。
このままでは先を越されてしまうと焦燥に駆られたグリシャは、自身の息子であるジークを
スパイとして送り込むため、妻のダイナと共に「エルディアの誇り」を抱かせつつ、また敵であるマーレに忠誠を誓うように彼に洗脳教育を施した。
その結果自身と向き合いもせず、また実の息子をも危険に晒す行為を拒絶して、自身と祖父母の安全と引き換えに7歳にしてマーレ政府に両親および「エルディア復権派」のことを密告し、「楽園」送りにした。
エルディア復権の希望の光と確信していた息子に裏切られた事に大きなショックを受けるグリシャであったが、後に「思想を押し付けられる苦痛がどれほどのものか、自分は知っていた筈なのに」と語っており、ジークにしてきた事を悔いていた。そのため第二子のエレンに対しては自らの願いを一方的に押し付ける事はせず、エレンが自分の口で壁の外に行きたいと言った時に、秘密と巨人の力を託す事を決意した。
密告後は「戦士候補生」として幼なかったライナー達と共に訓練を受けていたようで、彼らの中でも年長者だった(この時の容姿は眼鏡をかけておらず、当然ながら髭も生やしていないが若い頃の父親そっくりである。)。ライナー達に巨人の力を継承する時が来たこと、あと数年でパラディ島に攻撃を仕掛けることを話した。その後「獣の巨人」を継承したが、「始祖奪還作戦」には参加せず敵国の監視の為に待機することをピーク共々命じられる。
だが、後に「始祖奪還作戦」は計画が狂うことになり、予定以上に期間が延びたことからパラディ島に派遣されたようである。しかしそれでも計画は成功を成しえず、挙句「超大型巨人」、「女型の巨人」と二体の巨人を失うことになり、ジークら「マーレの戦士」は祖国に帰還せざるを得なかった。
ジーク自身は現在でもグリシャを嫌悪しているが、一方でライナーたちの報告からエレンがグリシャの息子、そして自分の異母弟である事には気づいており、初めて対面したとき兄としての情を見せている。自分が受けた重圧の経験から、エレンもグリシャに洗脳されていると思っており、グリシャの呪縛からエレンを救い出したいと考えている。
リヴァイに関しては事前にライナーたちから要注意人物であることの報告を受けていたが、リヴァイの戦闘力には対応しきれず、ピークがいなければ確実に死んでいたほどの窮地に追い詰められた経験から、再会を拒むほどの天敵として認識している。逆にリヴァイはエルヴィンとの約束を守るため、必ずジークを殺すと誓っている。
始祖ユミルの血を引くフリッツ王家の子孫であるため、自分の脊髄液を注入させたエルディア人を任意で無知性巨人にして操る能力を持ち、その巨人たちは夜間でも月の光があれば行動が可能である。
この能力と幼い頃に両親を売った事から、エルディア人でありながらマーレ軍元帥であるカルヴィからも忠義を疑ったことはないと言われるほどの信頼を得ているものの、自分が王家の子孫であることを未だに隠しているなど腹の中では色々と抱えている様子。マーレの軍部内では「驚異の子」と呼ばれている。軍部会議では「始祖奪還作戦」再開をカルヴィに進言した。
口調は軽いが常に冷静な態度を崩すことはなく、何を考えているのか伺い知ることは容易ではない。
時折意味深な発言をしたり、裏で何かしらの行動をしていることは示唆されるが、
その思想や真の目的は現時点では明らかにされていない。
年齢は明言されていないものの、密告を行ったのが7歳の時で、それを「22年前」と言っていることからシガンシナ区決戦時点で25歳、それから4年経った23巻以降では29歳だと思われる。また、23巻の時点で「任期」(=余命)が1年足らずとされており、「ユミル」の呪いが13年であることを考えると17歳前後で巨人化能力を引き継いだ模様。
関連タグ
ライナー・ブラウン...同じ「マーレの戦士」にして部下。偶然か誕生日が同じ。
エレン・イェーガー…異母弟。
グリシャ・イェーガー…父親。上述のマーレへの憎悪の詳細は当記事参照。
リヴァイ ...ジークが戦士長であることに対し、リヴァイは兵士長であり役職が対照的である。
裏切り、そして(原作26巻ネタバレ注意)
26巻では「反マーレ派義勇兵」なる組織の中心人物であることが明らかになる。
義勇兵の一員であるイェレナの情報によると、マーレの戦士長でありながらエルディア人のためにマーレを裏切ることを決意しており、手始めに自分を壁内へ受け入れることを要求。
そしてその対価としてイェレナたちを通じ「武器を始めとする最新技術の提供」「友好国との橋渡し」「マーレに対する情報工作」など、外の世界の国々に対抗する手段を壁内に提供した。
あまりにもうさんくさすぎることから、当初から壁内でも「信用できない」との声が多数だったが、イェレナが壁内に投降する際に仲間であるはずのマーレ軍人の上官を殺害、その部下たちを壁内への手土産として壁内の仲間であることをアピールしたこと、「王家の血を引く巨人」が壁内にとっての切り札になるというジークのメッセージが、エレンが得ていた「地鳴らし(壁の中に潜む幾千万もの巨人を目覚めさせ、世界に差し向ける行為)」に関する知識と一致していたこと、さらにはマーレの技術力があまりに壁内の上を行っており現状の戦力では到底太刀打ちできないことがわかったことから、ハンジたち壁内の上役はしぶしぶジークの提案を呑むことになった。
壁内には未だにジークや義勇兵に対する不信感が根強いが、エレンは少なくともジークの作戦に非常に積極的に加担する姿勢を見せており、仲間たちに無断でジークを壁内に導く作戦を考案。そしてジークを壁内に迎え入れることに成功した。
だがその際に生じる犠牲について無頓着にも見えるエレンの態度、そして犠牲を承知の上でなおジークを優先しようとするその姿勢から、104期の同期の間にすらエレンに対する不信感が芽生えてしまっている。
また、マーレ編からの登場人物であるガビとファルコは、戦士長として尊敬していたジークの裏切りを知り動揺している。
特にガビはこの件で重度の人間不信に陥ったフシすらある。
このように、26巻以降の展開ではジークとエレンが一連の出来事の中心に位置づけられており、今後とも二人の動向から目が離せない。