魔神(とある魔術の禁書目録)
まじん
初出:第1巻
概要
魔族の神でも魔界の神でもなく「魔術を極めて神となった魔術師」。
禁書における神格の一つで、有名な神様から無名の仙人・仏格まで様々な魔神が存在し、中には自身の過去の行いが神話として語り継がれている者もいる。
紛れもない神格であるため、~人ではなく~柱という助数詞が用いられる。
神の名に相応しい位相操作能力を有し、世界創造・破壊・改変まで瞬時に行える。
能力は概ね「全能」の一言だけで表現可能だが、個々の伝承に由来する力も扱う。
完成された魔神の存在は、数値化すら超越した「∞」という概念で表現される。
世界の許容量を軽く超越し、ただ存在するだけで世界が砕け散ってしまうため、魔神は今ある世界に影響を及ぼさない特殊な位相(隠世と呼ばれる神域)に身を置き、世界の様子を窺っている。
魔術結社〈黄金夜明〉の位階制度で、少なくとも8=3位階〈神殿の首領〉以上である事が判明している。8=3以上の位階は史実では〈秘密の首領〉も属する第三団の領域だが、肉体に囚われた者は到達できない不可視の領域とされ、本作でもダイアン=フォーチュンがこれをお飾りの位階と表現した。
ちなみに史実のアレイスター=クロウリーも8=3以上には到達しているが、〈深淵〉超えに見切りを付けて魔神にならなかったらしい。
魔神もしくは魔神に近いキャラには「緑(碧)眼」という共通点が存在する。下記の魔神は勿論、魔神に近いクロウリーやインデックス、オッレルスなども全て碧眼である。
魔神の一覧
北欧神話に名高き主神オーディンその人。本作の主要ヒロインの一角。一般的な老齢のオーディンのイメージと異なり金髪碧(緑)眼の眼帯美少女。
日本仏教の名もなき即身仏。容姿は即身仏のためミイラ。口調も外見も老人だが、元宗教(宗派)の歴史が浅いため魔神の中では若いらしい。
中国の尸解仙。外見は青白い肌に漫遊民族の帽子と中華服を着たキョンシーっぽい少女。
エジプト神話の一柱。外見は銀髪褐色の美女。泣き女。
気まぐれに眼の色を変えるが、本来は碧眼らしい。
ケルト神話の魔神。上半身裸でタトゥーを刻んだ男。アガートラム(銀の腕)の異名を持つが、弱体化後に上里にやられてからは隻腕状態。億兆規模の虫群を操るダルヴ=ダオルを遊び感覚で使った。
ブードゥー教の魔神。通称ゾンビ少女。
魔神を「この世界で説明できる程度の力」に抑える術式を開発したが……。
ギリシャ神話の魔神。極限まで美を追求し、肉体・遺伝子改造にまで手を伸ばした変態ナルシスト。怪物のような姿は他生物の因子や構造を取り込み過ぎたのが原因。魔神以外には声は金属音のように聞こえ、姿を見ただけで徳が低い者は魂を焼かれる。
アステカ神話の太陽神の名前を冠した筋骨隆々の大男。彼はケツァルコアトルと間違えられたスペイン人に対抗するために生み出されたテスカトリポカだが、実際に世界創世も可能な程の莫大な力を持ち、その力を人類抹殺に注いだためオリジナルと同様に太陽神・死神と呼ばれている。
ローマ神話の豊穣神。見た目は黒い西洋喪服に身を包んだ妙齢の美女。彼女の母にあたる人物が使った惑星規模の人口氷河期発生魔術を使用した。似たようなデザインの後発キャラが居る。
クトゥルフの創始者ラブクラフトが原典としていた資料に登場するが、フィクションとノンフィクションが混ざった結果、原典を忘れられた神格。上里には黒い棒人形のように見えた。
準・魔神クラスの人物
魔神ではないが、魔神に近い者。
10万3000冊は全て使えば魔神に届く(※1巻)。実はこのシスター結構凄いんです。
オティヌスに北欧の魔神の座を奪われた男。実は彼の元ネタも同じなのだが……まさか。
魔神になれる力を持っておきながら魔神にならなかった「人間」。ただしその身は既に高次元領域に足を突っ込んでいる。
元ネタでは「科学」の要素を宿すとある近代魔術思想を提唱し、本作においてその魔術思想を科学という形に擬態させた。
第1巻~現行最新刊まで
元々、第1巻ではインデックスの頭に記録されている「10万3000冊の魔道書の原典(オリジン)」を入手し、研鑽を重ねた者が「魔神」に到達出来ると言われていた。
魔術とは極めれば1+1の答えも、生と死も、あらゆる法則さえも組み換えてしまえる。
インデックス曰く、
「10万3000冊は全て使えば世界の全てを例外なくねじ曲げる事が出来る。私達はそれを魔神と呼んでるの」。
(なお、アニメ版では魔神に関係する台詞だけカットされている)
その後、魔神関係の設定・エピソードはSS2巻で魔神のなり損ない「オッレルス」が登場するまでは一切出てこない。
旧約22巻でオッレルスが本編に登場を果たした際、「オティヌス」に北欧の魔神の座を奪われている事が明かされた。
北欧の魔神編(新約2~新約10)に突入後、オティヌスが倒すべきボスとして君臨。色々あってオティヌスで魔神編終了…かと思いきや、新約10巻ラストでぞろぞろと出てくる。余談だが、ちょうど禁書含む鎌池の著作で描写/パワーインフレが始まったのもこの時期である。
(無茶苦茶長いが、終盤は傑作と評価されるエピソードの一つなので頑張って追って頂きたい)
新約13巻ではこれまでのインフレを修正するかの如く対魔神特化のキャラクターが登場。魔神も殆どが退場してしまった。
新約17巻で、既存の魔神やまだ見ぬ魔神が登場。詳細は省くが某少年の“帰還”を後押しした。
新約19巻でどこぞの大悪魔に釣られて二柱ほど上条達の世界にうっかり戻ってきてしまった。以降、その二柱は面白そうだから(観察のため)離れ離れになった浜面サイドに同行している。
余談
- ある出来事以降、魔神は全て大幅に弱体化している(恐らく数値で表せるくらいには)。
- 鎌池のセルフコラボ作品では『未踏召喚://ブラッドサイン』の基準で言う〈神格級〉の枠に入る。- ブラッドサインでの〈神格級〉はその名の通りの神格、つまり過去の近代西洋魔術など「第二の召喚儀礼」の時点で召喚・交信できた神々である。
- ただしブラッドサインでは神格のさらに上位に〈未踏級〉が存在する。というか同作のメインヒロイン〈白き女王〉は、セルフコラボでオティヌスを上回る事が示唆されている。
- 同作品の〈サウザンドイーター〉も人が神々の領域に到達して神格級となる点で、魔神と類似した設定と言える。恐らく大元の思想が同じだからだろう。詳しくは「生命の樹 上昇」「神との合一」等で検索。
- 禁書の世界観では何故か並行世界・マルチバースが存在しない。この辺りは世界の謎と関係するかもしれないので現状なんとも言えないが、実は単純な規模だけなら同作者のオカルトコメディ(笑)『インテリビレッジの座敷童』の方がデカい(こちらは多元宇宙規模である)。現状の設定だと、魔神の影響範囲は同作のメインヒロイン「座敷童・縁」の多元宇宙規模の運命操作にどうしても劣ってしまう。