概要
ハエトリグモ科に属する蜘蛛のこと。英名は「jumping spider」("跳びグモ")。
小型で、多くがやや短い脚と四角い頭胸部というコンパクトな体型をもつ。
8つの目のうち、4つが正面にあり、そのうち真ん中にある2つの目がとても大きいのが特徴。
顔文字で表現するなら、(゚OO゚)のような顔をしている。
蜘蛛の中では種数の最も多いグループで、非常に多くの種類がある。いずれも比較的小型で、よく走り回り、英語の示すようにジャンプが得意。歩きながらえさを探す徘徊性のクモである。
雌雄
雌雄の体色が異なるという性的二形がほとんどで、特に雄はある部位が特殊化した例が少なくない。中でもピーコック・スパイダーの雄は雌にアピール用の扇子らしき構造があったり、アリグモの雄は同士闘争のため顎が大きくなったり、など極端な例が挙げられる。
習性
昼行性で、基本として対処できる虫であれば何でも食べる。優秀な視力で獲物をターゲットし、瞬発に飛び込んで確保する。
ただし、種類によって異なる例がある。他のクモを専門に捕食するケアシハエトリ、アリを専門に捕食するアオオビハエトリ、植物を主食とするバギーラ・キプリンギ、など特殊な種類がある。
雄は雌に対して求愛ダンスでアピールするのもハエトリグモの特徴である。脚と体を振ったり揺れたり、こうして雌の視線を引きながら、曲を演奏するように地面を通じて規律的な振動を相手に伝える。ピーコックスパイダーはそれを極めるように、踊りながらクジャクの如き腹部の鮮やかな扇子らしき構造を広げてアピールする。
求愛以外の場合、特に雄同士が出会うと前脚を揚げてお互いを威嚇し、喧嘩をすることもある。
高度な擬態をする種類もいくつかある。アリグモは特に代表的で、スレンダーな体に細長い脚をもつだけでなく、前脚を蟻の触角のよう振り回す。容姿と行動とも蟻そっくり。
著名なハエトリグモ
人間との関わり
つぶらな瞳とちょちょこジャンプしながら移動する姿に中々愛嬌があるためか、虫嫌いだがハエトリグモは嫌いじゃないという人も結構いる。世間一般におけるクモへの偏見を解消するには、ハエトリグモは強力な候補として挙げられる。
室内環境によく出会える蜘蛛で、ハエや蚊を捕食するため益虫とされる。
視力がいいため、パソコンのマウスポインタをエサと勘違いして、飛び掛ることもある。