概要
世界観は原典と同一と推測される。
講談社キャラクター文庫のレーベルから発売されている小説仮面ライダーシリーズから派生した、小説スーパー戦隊シリーズのトップバッターとなる作品。
銀魂などのギャグ展開で知られる大和屋が担当しているだけあり、明るいギャグ展開の作品だろうと思われがちだが、小林靖子氏がメインライターを務める本編に負けず劣らず、作風ははっきり言ってドシリアスである。そして今回の敵は外道衆だけにあらず、第三勢力として海外の軍隊も登場する。
人間のエゴや心理を皮肉った描写もあり、本編では描かれないような出血、殺人描写、暴力シーンもテレビシリーズに比べ明確に描かれる。
一応ハッピーエンドで終わるものの、見方によっては救いようがない。
今回シンケンジャー側での実質的な主人公は源太、丈瑠となっている。
また、シンケンジャーと日本政府との関係についても言及されており、TVシリーズでは完全な民間戦隊であるかのように描かれていたシンケンジャーの活動が国家公認であることが明言されている。
時系列は不明だが、第二十幕に登場したウタカサネの名前が出て来た事から、二十幕以降の話、それも海老折神が登場して直ぐの話と思われる。(ウタカサネの次の回がディケイドとリンクしている。)
登場人物(今作オリジナルの人物のみ記載)
- 蒲田康彦博士
エネルギー工学の権威。
出会った当時まだ構想段階にあった源太の電子モヂカラに興味を示し、以来彼とは電子モヂカラの研究を肴に熱き議論を交わしあう仲となる。
源太の電子モヂカラのシステム完成の功労者であり、作中の事件においても彼の発明が意外な形で世界を救うことになる。
愛犬はジャックラッセルテリアの『シックスパック』。
- 西村毅
精神科医。科学が介在しない外道衆の能力に科学的な観点から切り込んだというスーパー戦隊史上珍しいタイプの人物。
事件解決に大きく貢献した人物その2。
- 湯郷美佳・岩淵正義
刑事。一般人視点での主役格に当たる。
ある事件を調べており、影の功労者と言える人物たち。
最終決戦には暴走した市民をSATを引き連れ麻酔銃で眠らせるなどクウガの一条さん並に活躍する。
おそらく作中の警察官ではまともな人たち。
今回の敵にして敵側の主人公ともいえる存在。当初はただのアヤカシかと思われていたが、劇中中盤においてはぐれ外道であることが判明する。
人々の精神に働きかけるウィルスを使って世の中を混乱に導こうとした。
ごく最近の事件によって外道に堕ちた、言わば「新参者」にあたるが、生前から剣道の実力者であったため、その実力はシンケンレッドの剣の腕をしのぐ。
- 各国首脳陣
一番まともじゃない人たち。
ウィルス感染が自分たちの国に拡大しないようにと渡航禁止措置によって日本を隔離、さらに一部の国はウィルスの軍事利用を企んでいた。
終盤では日本の侍戦隊のスペックと自らの軍との実力差を危惧し、本当に核兵器で潰しにかかってきた(しかも本題であるウィルスそっちのけで、である)。まだウィルスに感染していない分タチが悪い。本当に自分たちが置かれている状況が分かっているのだろうか。
やはりというか、何の制裁も食らわずに終わる。
- 暴走した市民たち
謎のウィルスの影響で精神に異常をきたした人たち。
人殺しをする者もいれば、略奪をする者、自殺をしようとする者、自分の殻に閉じこもろうとする者など千差万別。
悲しいかな、なかには騒ぎに便乗して略奪や殺人をする一般人もいる始末である。
彼らにはある秘密が隠されていて…。
- 逃げ出した動物たち
動物園から何者かによって逃がされた動物たち。
象やキリン、ハシビロコウなどが確認されており、キリンとハシビロコウは丈瑠に近寄ってしばらくするとどこかへ去っていった。だが、いくら世が世紀末状態とはいえ、流石に動物を逃すのは環境的な観点から見て大問題である。