演:葛山信吾
概要
1974年4月18日生まれの25歳→26歳。血液型はAB型。名古屋市出身(第16話では名古屋弁を話すシーンもある)。
長野県警警備課に所属する警察官で、クウガの正体を知る人物の一人であり、五代雄介の良きパートナー。本作のもう一人の主人公である。
五代からは「一条さん」と呼ばれ、これに倣いファンの間でもさん付けするのが暗黙の了解となっている。
長野県九郎ヶ岳の遺跡発掘現場で起きた事件を追ううちに未確認生命体に遭遇し、広域指定された同種の事件を集中的に扱うために警視庁内に設置された「未確認生命体合同捜査本部」に派遣された。階級は警部補(現実では25歳で警部補になるのはノンキャリアでは不可能かつ、キャリアなら配属後1年で警部に無試験昇進することから、準キャリアの警察庁採用かと思われる)。
飄々とした五代とは対照的に冷静沈着で堅い性格だが、決して非情ではなく内に秘めるものは熱い。警察官としての「正義」の在り方、理想の為ならば己や私情を犠牲にする事も厭わない。そうした現実に苦悩しながらも警察としての正義を全うしようとする姿は、椿に「不器用な男」と評されている。
当初は民間人である五代を戦いに巻き込むまいと「中途半端はするな」と遠ざけようとしていたが、第2話での戦いを経た後、第4話にて、彼が自身と同じく自分より他者を優先させる性格であることを理解し、「中途半端はしない」という彼の意志を汲んでトライチェイサー2000を提供(後の第6話では「(自分が)止めても(五代は)止められない」と悟ったからであるとも明かしている)。以降彼と強い友情で結ばれていくことになる。
五代のことは当初はフルネームで呼んでいたが、物語が進むにつれ(特にメ・ギノガ・デ戦以降は)「五代」と呼ぶことが多くなった。
めったに笑わない性格とされており、たまに笑みをこぼすと周りから驚かれる。 警視庁に派遣後、独り身でありながら(態度が変わったのか)周囲には「彼女ができた」と思われており、特に杉田守道にはよくからかわれていた(一条も当初は否定こそしていたが、回を重ねるにつれ誤解を解くのを諦めていた節がある)。
母親は看護師で、名古屋西市民病院に勤務している。時折心配するような言葉を吐くなど親孝行な一面もある。
父親は同じく警察官であったが、薫の10歳の誕生日に殉職している(増水した川に転落した人々を助けるために犠牲となった。上述した「中途半端はするな」も亡き父の言葉である)。父を尊敬する思いから警察官の道を選んだとのこと。
そのため誕生日には決してプレゼントを受け取らないようにしており、可能な限り母の元に会いに向かうことにしている。
常時(ライジング)ドラゴン&ペガサス&タイタンフォーム説
作中どころか仮面ライダーシリーズ内でも一二を争う射撃の名手でもあり、高性能ライフルやコルトパイソンなどを使いこなし、普通の人なら死んでいる筈のグロンギの攻撃を受けても骨折程度で済んでいる描写がある。
断っておくが、本番組は可能な限りリアリティに拘り抜いた作品である。
- 第1話
ズ・グムン・バを揺れるヘリコプター車内から狙撃し、頭部に命中させる。
グムンの爪攻撃を寸前でかわす(しかも狭いヘリコプター内)。
- 第2話
空を飛ぶズ・ゴオマ・グを狙撃し、総て命中させる。
ゴオマの攻撃で昏倒、肋骨を三本折って病院送りにされる程度で済む。
教会で蝋燭の火が自身のコートに燃え移るも火傷した描写が無い。
- 第3話
ゴオマとラ・バルバ・デの会話を聞く最中、携帯電話でばれてしまい、ゴオマに壁に叩きつけられるも、痛がる程度で済む。
- 第6話
ズ・バヅー・バが持ち上げた車の下敷きになるも、僅かな空間を利用して逃げる。
- 第7話
- 第12話
ズ・ザイン・ダをおびき寄せるため大型トラックに乗り込み、首を絞められるも無傷。
- 第14話
メ・ビラン・ギをおびき寄せるためモーターボートに乗り込み、川に転落するも無傷(なお、俳優の葛山慎吾氏は川の水を飲んでしまい、下痢になった裏話がある)。
- 第18話
狭い路地でメ・ギノガ・デを狙撃。
ギノガの胞子を浴び、ガスマスクをつける警察官が苦しむ中、ガスマスクが無い状態であるにもかかわらず杉田守道、桜井剛と共に無傷。
- 第25話
ヘリコプターからクウガのいるビルに向かって拳銃を投げる。
- 第26話
バイクに乗るクウガとすれ違いざまに車中から拳銃を渡す。
- 第28話
ゴ・ベミウ・ギのムチを狙撃。
- 第30話
クウガに羽交い絞めにされたゴ・ガメゴ・レの指にはめられた指輪を全て撃ち落とす。
しかもこの際使用した弾頭は、科学警察研究所が開発し直前に現場に届けられた特殊弾頭であり、「通常のライフルでは使い物にならない」とまで言われたもののはずなのだが……。
- 第32話
時速400km/hで走るバギブソンに乗るゴ・バダー・バを狙撃。
- 第34話
瞬間移動するゴ・ジャラジ・ダの気配に桜井剛と共に気付く。
- 第38話
バルバの攻撃で大怪我を負って病院に搬送されるも(椿による点滴と「睡眠剤」の名目で与えられた薬剤があったとはいえ)数時間程度で車を運転可能なほどに回復。
- 第39話
ゴオマ究極体のパンチを受けるが痛がり起き上がれない程度で済む。
- 第42話
数十メートル離れたゴ・バベル・ダに筋肉弛緩弾を狙撃し命中させる。
ン・ダグバ・ゼバの気配に気付く。
- 第43話
拳銃を持って逃げる立てこもり犯人の拳銃だけを狙撃。
- 第45話
ラ・ドルド・グのバグンダダを狙撃。その際ドルドに反撃され、鉄塔から突き落とされそうになるも、片手一本で命拾いする。
- 第46話
ゴ・ガドル・バに殴られ階段から落ちている最中に銃で反撃。さらに数m下のスケートリンク場まで突き落とされるが痛がる程度。
冷静に考えると常人離れした不死身ぶりを発揮している…。ただし、彼はあくまで生身の人間である。
だが前述の通り携帯をマナーモードにすることは苦手。張り込み中に鳴ってしまい、存在が知られてしまったこともある。
(多くのファンが一条さんの唯一の欠点と挙げるほどネタにされている。それほどまでに一条さんの人間性が素晴らしく、スペックが高いことの証左なのだが…)
劇中一貫して五代を支え続けたが、彼の意志を完全に肯定できている訳ではなく、グロンギとの戦いを民間人に過ぎない彼に依存してしまっていることには申し訳なさを感じ続けている。
そしてその分、身体を張って出来る限りのサポートに徹することを決めている。第39話では「あいつが、俺と別れられる日が一日でも早く来ればいいと思ってる。…気ままな冒険が、あいつには一番似合う…」と椿に本心を吐露している。
「バラのタトゥの女」ことラ・バルバ・デとは何かと因縁がある。
人類側で直接対話したのは一条だけである。最終的には自らの手で銃弾を打ち込み彼女を倒した(その際生死は不明だったが…)。
そしてン・ダグバ・ゼバとの最後の戦いに赴こうとする五代に対し、「こんな寄り道はさせたくなかった。君には、冒険だけしていて欲しかった」とこれまで抱え込んできた思いを本人の前で初めて打ち明け、五代の最後の変身を見届けた。
ダグバが倒された後は長野県警に戻っていった。
そして、13年後
クウガがダグバを倒してから13年後を描いた『小説仮面ライダークウガ』では、実質的な主人公として登場。
本作ではTV版では描かれなかった亡き父とのエピソード、なぜ警察官を目指したかについてより深く描かれており、一条ファンには必見の内容となっている。
漫画版
原作は“男前”な容姿だったのに対し、こちらは眉目秀麗な容姿。
所属は長野県警ではなく、最初から警視庁。
クレープやトマトとキノコのジェノベーゼが好物で、全国警察剣道大会では優勝できるほどの剣道の腕前を誇る。
優れた捜査能力と剣道の高い腕前は物事を正しく捉えようとする“正眼の構え”という心構えに支えられている所が大きい。
加えて犯人に法の裁きが下るまで勝ち逃げを許さない性分であり、連続殺人鬼の原田明が事情聴取中に舌を噛み切って自害を試みた際には止血を行なっている。
ズ・グムン・バとクウガの対決、そして風変わりな青年五大雄介との出会いによってその運命が大きく変わっていく。
本作では氷川誠のポジションも兼ねているらしく、紆余曲折を経てG3システムの正装着者となった。
本作では“香里奈”という妹がいる設定だが、過去に津上雪菜が起こしたと思われる事件の後遺症で精神を病んだ上、この事件でコンビを組んだ駿河哲也の行動が原因で妹の救出が遅れたために彼を蛇蝎の如く嫌っている。
なお、香里奈は現在は高校に通い、同じ高校に転校してきた瀬羽卓真の世話を焼くようになるが、その表情は…。
余談
ポジション
本作本編に登場する仮面ライダーはクウガのみであるため、ゲイツマジェスティライドウォッチに描かれたレジェンドライダーのライドウォッチのイラストではクウガ枠に仮面ライダーゲイツが入っている(流石に小説限定である仮面ライダークウガ・プロトタイプは入れられなかったのだろう)。
一方でクウガの相棒とも言うべきポジションであることから、二次創作における他平成作とのクロスオーバー作品では、事実上の2号ライダーポジションに宛がわれることが多い。
一条さんの携帯
携帯をマナーモードにできない件はファンのみならず公式にもネタにされるほどであり、『バンダイ DXビートゴウラム』では携帯が連動アイテムとして同梱、初の商品化を果たす。
『CSM 変身ベルト・アークル』では劇中デザインに近づけた音声再生玩具として携帯が同梱された。
葛山信吾氏による台詞の新規収録に加えて実際にボタンは押せる造形となり、劇中通りにグロンギに見つかったシーンの再現も可能。
法的観点
クウガはリアリティを追求し、警察との連携関係を深掘りした特撮作品として有名であるが、クウガにトライチェイサーを譲渡したり、拳銃を貸し与えるのはリアリティの追求上、どうなのか?という(野暮な)声もあったりする。
盛田栄一著の『空想法律読本2』(メディアファクトリー、2003、P9〜P26)の考察では次のようになるという。
トライチェイサーの場合
- 一条さんは独断で未登録の試作警察車両(トライチェイサー)を貸し与えている為、一条さんには窃盗罪が適用され、受け取った五代には盗品の譲り受けで懲役3年に処されるという。
- 一方で、五代はトライチェイサーを盗品だとは知らない"故意なき取得者"とも解釈できる為、罪には問われないかもしれないとも擁護されている。
拳銃の場合
- そもそも原則として拳銃の貸与は禁止されていて、懲役10年に処される。これは一条さん以外の刑事も同様らしい。
- 一方でクウガに武器を貸し与える事件の特殊性から減刑もあり得るという。
- 代替案として、イラストでは一条さんはクウガにおもちゃの弓矢を投げ渡しており、これであれば法的にもペガサスボウガンの生成条件(※)的にも全く問題はない…が、警察がおもちゃの弓矢を持ち歩くというのもそれはそれでリアリティに欠けてしまう。
とは言いつつも、グロンギの出現は現代日本人には予測し得なかった事態であり、彼らに人間の法が介在せず、止められるのは事実上、クウガただ一人であり、そんな彼をまともにサポートしてやれるのは警察ぐらいという特殊状況を鑑みれば、これらのケースに対して『超法規的措置』が働いた可能性も考えられる。
(※)ペガサスボウガンの生成条件は弓や銃などの射る物である。クウガの出所である古代に銃なんかないので弓が生成条件に含まれてもなんら問題はないのだ。
関連タグ
滝和也:変身することなく、最後までライダーの相棒を貫き続けたという意味では一番ポジションが似通っていると言える。
照井竜:刑事で作中通して見ても異様な頑丈さ(またはしぶとさ)が目立つ。
門田ヒロミ:真面目でクールな性格、内に熱いものを秘めていて現実に苦悩しながらも正義を全うしようとする、異様な頑丈さを持つ、怪人に対抗する組織に属する、生身で普通の武器(こちらは弓矢)を使って(ライダーには劣るが)怪人に大ダメージを与えた共通点がある。