ゴ・バベル・ダ
ごばべるだ
「確かに今度のクウガは骨があるな。これほど強い拳が有ればたくさんの獲物を殺せるだろうに」
未確認生命体(グロンギ)のうち、ゴ集団に属するバッファロー種の怪人。警察からは未確認生命体第45号(人間態としては未確認生命体B群12号)と呼称されている。
頭側部から生やした一対の角や毛に覆われた二の腕など、モチーフの要素をストレートに反映した怪人態と、赤いバンダナを頭に巻いた、浅黒い肌の精悍な人間態の2つの姿を併せ持つ。後述するゲゲルでの豪快な殺害方法も含め、その立居振舞はどことなくあの帰還兵を彷彿とさせるものとなっている。
リントの言葉を流暢に喋るゴ集団の他の面々に比べ、寡黙な上に喋り方も抑揚のなさが目立つ故に、一見すると脳筋とも取られかねない雰囲気を漂わせているが、その実かなり知恵の回る方であり、「飛び道具を用いない分、標的の数が多く逃げ道を塞ぎやすい場所を狙う」という、自身の特性の長所・短所を心得た効率のいい作戦を立案・実行し、超スピードでゲゲルの達成に王手をかけている辺り、見た目とは裏腹に知能派な側面を有しているのも確かである。
自らの実力に対し並々ならぬ自信を持っている一方、同格の存在であるジャーザや、敵である筈のクウガに対してでさえ、その力量を冷静に見極める鋭い慧眼の持ち主でもある。バルバやダグバを除けば、作中に登場したグロンギの中では唯一、リントであるクウガの事を単なるゲゲルの獲物でも障害でもなく、自分と対等の「敵」として認めた上で上記の台詞でその力を賞賛したのがバベルであり、グロンギとしては珍しく戦士としての気質が強いとも言えるかもしれない。
ただし、その内容はクウガ(=五代雄介)からは挑発としか取られないような内容であり、上記の台詞を見ても分かるが彼等にとっての強い力とは、どこまで行ってもより多くの獲物を殺す為の力でしかないのである。人間とグロンギの根本的な価値観の違いが改めて浮き彫りにされたと言えるだろう。
一方で、これは現代のクウガである五代や現代のリント達が、着実にグロンギと同じ存在になりつつあるという事をも示唆する台詞でもあり、それを五代に対して最初に直接指摘したのがこのバベルなのである。
ちなみに実は作中において、バベルが初めてクウガと会話を行ったグロンギでもある。尤もクウガの方は、上記の台詞に対して「何ぃ!」と怒りの言葉を返したに過ぎないのだが。
その体躯に見合った、ずば抜けた怪力と桁外れのタフさが自慢のパワーファイターで、単純な戦闘能力だけで言えば、それまでに登場したどのグロンギの追随を許さぬものがある。
また、ジャーザと同様に状況に応じた形態変化能力も備えており、マイティフォームのようなバランス型の「格闘体」から、より筋骨隆々となったタイタンフォームに相当するパワー特化型の「剛力体」へと姿を変える事ができる。
両形態の外見上の変化は、ジャーザと比べるとそこまで目立ったものではないものの、茶色だった体色が浅黒くなり、両肩からは鍵角が生えるなど、変化の方向性としては彼女(そしてクウガ)とも共通していると言える。
(上記のイラストは剛力体)
武器として、格闘体では手にはめたメリケンサックを武器とし、正面切っての殴り合いで相手を圧倒する戦い方を得意とする。持ち前のパンチ力の高さに加えて、メリケンサックに生えている鋭い爪で破壊力が上乗せされており、クウガの生体鎧も容易に抉り流血させるだけの威力を発揮する。
剛力体では、胸の装飾品を変化させたスレッジハンマーを振るい、増強された筋力を活かした重い一撃を相手に叩き込む。こちらも打面に複数の棘が配されており、ダイナマイトの直撃にも無傷で耐え、ガメゴの鉄球攻撃にも(少なくとも表面上は)目立った外傷を負わなかったタイタンフォームの生体鎧さえ、このハンマーの一撃には深々と凹まされ、痛々しい痕を残す結果となった。
後述の通り、ゲゲルやクウガとの戦闘が僅か1週分、それもAパートのみしか描かれなかった事、それにライジングフォームのクウガとは殆ど対戦していない事から、その実力が十全に描写されたとは言い難いところもある。
とはいえ、ダグバを除くと判明している中では単独での殺害人数が多く(※2)、先に述べた攻撃の痛々しい演出、そして一条の加勢抜きではクウガは敗北を喫していた可能性が高い事も併せて考えれば、バベルも抜きん出た強敵の一人であった事は疑うべくもない。
(※2 同じ最強3人衆の中でも、ジャーザは243人、ガドルも判明している分だけで108人(と数十人)に留まっている)
ゴ集団によるゲゲルが大詰めを迎える中、ジャーザと共にリーダー格のガドルに招集される形で物語の表舞台に姿を現す。ダグバ抹殺を期して自己強化に及んだゴオマの動きを気にかけながらも、一方では「いずれにせよ、ザギバスゲゲルに進めるのは、俺達だけだ」とも豪語し、いずれ回ってくる自らの番を待ち続けていた。
先にゲゲルを開始したジャーザの敗退の後、一月近くもの間を空けてバベルにもゲゲル挑戦の時が訪れることとなる。目標人数は729人(※3)、期間は2日、そして「リント達を閉鎖空間に閉じ込めて殺害する」という追加ルールを掲げ、作中における2000年11月3日に開始されたバベルのゲゲルは、翌4日朝までの1日余りの間に目標の9割強に上る682人の犠牲を生む結果となった(※3)。
その手口は、地下街などの出入口全てに大型トラックを突っ込ませ、逃げ道を塞いだところで標的一人ひとりを確実に、その拳で仕留めるというものである。ここにも小細工は弄さず、さりとて力任せではなく的確に自身の欠点をカバーした、バベルの豪快かつ狡猾な気質が表れており、ゲゲルの成り行きを注視していたガドルからは「バベルの得意なゲゲルだ。ザギバスゲゲルの開始も近いな」と評されている。
バベルの行ったゲゲルのうち、作中でその様子が描かれたのは4件目の現場――池袋駅地下街での犯行が粗方済んだ直後からであり、4日の09.17.a.m.に地上へと姿を現したバベルは、ここで現着したクウガと相まみえることとなる。
ビートチェイサー2000を駆っての攻撃に圧され、渾身のパンチを頬に叩き込まれながらも、相手を称賛するだけの余裕を残していたバベルは、自らも拳を見舞ってクウガを流血させ、さらに強化マイティキックさえも容易く受けきると、剛力体へと変化してさらなる追撃に及んだ。
周囲が市街地であるため、被害を懸念してライジングフォームが使えないクウガは、タイタンフォームに超変身しながらも一方的に叩きのめされるばかりであり、バベルも地に伏した彼に止めの一撃を叩き込もうと、ハンマーを振り上げるのだが・・・その圧倒的優位を打ち崩したのは、新装備である「筋肉弛緩弾」を引っ提げ駆けつけた一条による狙撃であった。
この一撃により、バベルの動きがにわかに鈍ったことで、クウガにもようやく反攻のチャンスが到来する。被害を避けるべく、追い込みポイントである埼玉の造成地へとビートゴウラムでバベルを移送したクウガは、マシンに乗ったまま金の力を発現させそのまま突撃を敢行。
対するバベルも、移送中に弛緩弾の効果が早々薄れたのか、向かってくるクウガを真っ向受け止める構えを示したものの、必殺のライジングビートゴウラムアタック(※4)の威力はバベルにも耐えきれるものではなく、そのまま壮絶な爆死を遂げるに至った。
この顛末を前に、プレイヤーとしてただ一人残される格好となったガドルは、必勝を期して「新たな力」の会得へと動き出そうとしていた・・・。
(※3 この目標人数については1000人であったとも、もしくは682人であったとも言われているが、作中でドルドが682人までをカウントし終えた後、続けて「ガド バギングズガギド ドググビンザバ」(後47人だな)とも呟いていることから、この台詞に則れば前述の通り、729人が目標人数ということになる。それにグロンギは九進法で目標人数を定める。)
(※4 作中では「金のゴウラム合体ビートチェイサーボディアタック」と命名。戦闘終了後、連絡を受けた一条は「長すぎないか?」とツッコミを入れている)
『仮面ライダーディケイド』
同作では、第2話で描かれた「クウガの世界」に登場。ここではズ・ミウジ・ギに代わって未確認生命体第9号として扱われており、得物も穂先が2つに分かれた、ジイノと同型の槍を携えている。
「王の復活」を目指し、婦警を標的にしたゲゲルを行っていたが、トンネル内で未確認生命体10号と交戦。グロンギ語でゲゲルの目的を尋問された末にディメンションキックを受けて倒された。
クウガを苦戦させた本編と比べるとあまり強く描かれてはおらず、グロンギの王が復活した際に発生した黒煙で人間達がバベルの姿に変異している…が、これも王の発した雷光を受けて多数が倒されてしまった。
とはいえ、作中で初めてグロンギ語を話したグロンギだったり、ディケイドにディメンションキックを初めて使わせた怪人という意味では実は結構優遇されている方なのかもしれない。
HEROES版
「リントはハイジャックというのだろう? 要求は一つだ」
「墜落しろ」
同作でもやはりゴ集団に属しており、人間体はTVシリーズにおけるワイルドさをより協調するかのように、顎髭を生やした精悍な出で立ちの男性として描かれている。
ジイノのゲゲルの際など、名前が判明する前から作中にもちょくちょく姿を見せていた。
魔器「ガダガガガ」の所持者を選定する集団同士の殺し合いで生き残った、ベ・ゴドの一体をハンマーの一振りで瞬殺できるほどの力量を持つなど、同作でもゴ集団屈指のパワーファイターとしての側面は健在であり、怪人体もTVシリーズにおける剛力体のそれを概ね踏襲したものとなっている。
ヌ集団が自分たちへの反逆を企てていることを知り、ベ・ゴドとヌ集団を粛清し、物のついでとばかりにガダガガガを奪おうとするも、暫定的にンの座に昇格したガドルに勝手な判断で間引きをするなと釘を刺され、バルバからもまだンへの挑戦権がないとしてその場を退く。
その後自ら挑戦者に立候補し、ゲゲルの資格を取得。目標は7日間で50人。
一見、ゴ集団のゲゲルとしては目標数が少なく思えるが、その標的は飛行機やバスなどの交通網を乗っ取って事故を起こさせ、そこで生き残った者達(バベル曰く勇者)であり、標的以外にも大量に死人が出ることが前提である大規模なゲゲルを開始する。
そして最後に船舶事故を起こし、無人島に流れ着いた生存者たちを次々に鏖殺して目標を達成。
「ン」に昇格した。
同じ船に乗り合わせていた五代と津上翔一がそれぞれ覚醒したライジングタイタンとトリニティフォームの攻撃を受けるも、右腕と左脇腹の欠損に留め撤退した。
回復後は暫定的に「ン」の座に着いていたガドルへの挑戦を望み、ガドルの力で強化されたガダガガガを携えて工事現場に赴いたところ、謎の少年と遭遇、得体の知れない存在への恐怖のままにガダガガガを振り下ろすもガダガガガごと全身を焼き尽くされて息絶えた。
ゴ集団の中でも強い部類に入るようではあるが、TV版とは違いガドルとの間には力の差が大きくあるように描かれている。
実際に、フォームチェンジができない、怪人態(しかも剛力体)で暴れているにもかかわらず人間態のガドルに動きを封じられる、ガドルの能力で強化された魔器で戦いを挑むよう伝えられる、という描写がある。
デザインは石森プロの飯田浩司が担当。公式な言及はなされていないものの、スーツはジイノのそれを改造したものではないかと指摘する向きもある。
第42話の次回予告では、山中にて変身前の五代にタックルするカットが挿まれている。前述した動向からも察せられるように、これは『クウガ』では最早お馴染みとなった「嘘予告」の一つであり、ここでバベルに吹っ飛ばされる五代の後ろ姿は伊藤慎が吹き替えている。またこれ以外にも、クウガがバベルにマイティキックを見舞って跳ね返されるカットも併せて撮影されたものの、ちょっと昭和っぽいとの理由から没とされている(参考リンク)。
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17VSゴ・バベル・ダ
第17段は、仮面ライダークウガより、ゴ・バベル・ダです。この回は出だしから激しい死闘が繰り広げられて、その後の戦い終わった後の皆の平和なやりとり、そして未確認の問題が終わった後にあるであろう日常…様々な印象を感じさせる回でした。 今回も、何度か追記させて頂きます! 3/3、追記しました! 3/5、リクエスト分追記しました!次で終わります! 3/7、戦い終わってを追記しました!ありがとうございました!12,505文字pixiv小説作品