「美しかった…ああいうのを、夕映えと言うんだろうなあ…」
演:石橋保
概要
第10話「夕映えの戦士」に登場するナックル星人の戦士。それまでの個体とは異なり、体つきは初代ナックル星人に近いが、胴体や下半身も初代に近いものとなっている。
かつては初代同様ブラックキングを「相棒」として卵から育てて、戦いに明け暮れ、数多くの命を奪った暗殺者で夕映えの戦士と言う仇名で呼ばれていた。しかし50年前にとある惑星でウルトラマンジャックと思われるウルトラ戦士と夕暮れの中で戦い敗北。
虚しさを感じるようになってしまった彼は戦いから身を退いてブラックキングも卵に封印し、小田という地球人に化け(下のイラストの姿)、画家として潜伏していた。
偶然出会った工藤ヒロユキと彼がウルトラ戦士と一体化していることを知らずに交流していたが、敗北への未練から夕暮れの絵にこだわるだけでなくウルトラマンやブラックキングの絵を描いていたことをウルトラマントレギアに見抜かれ、それまで抑えてきた闘争本能が封印していたブラックキングを目覚めさせてしまう。
トレギアと戦うヒロユキとタイガの姿を目撃し、ブラックキングがウルトラマンタイタスに倒された後にはヒロユキの制止を振り切ったことでタイガに正体が露見、過去の出来事をヒロユキに語った。
後日、ヒロユキに出会えた事への感謝と自分の身勝手さを詫びる果たし状を送り付け、夕暮れの中本来の姿に戻り巨大化(なお、この時建物を踏みつけて破壊しているが、ヒロユキを挑発するためにわざとやったものである可能性がある)。
自身の戦士としての誇りを取り戻すため、出現したタイガと戦いを繰り広げ、最終的にはフォトンアースのオーラムストリウムとの打ち合いの末、倒された。
君の雄姿を見る度に、本当の強さとは何か、本当の誇りとは何かを自問自答した。
そして、どうしようもなく胸が熱くなった。
そんな自分自身を否定し続けた。
俺はもう戦いはたくさんだと言い聞かせ続けた。
でも、俺の相棒が気付かせてくれたんだ。
やはり、俺は自分の気持ちに嘘をついていた。
もう一度あの光の巨人と戦いたい。
そして、今度こそ勝つ。
戦士としての誇りを取り戻す。
本当に身勝手ですまない。
しかし、これが俺の出した答えなんだ。
作中で「ナックル星人は闘争本能が強い宇宙人」と説明され、オデッサもそれに抗えなかった宇宙人とされているが、彼自身は操られた訳でも無理やり戦わされた訳でも暴走した訳でもなく、敗北による挫折でごまかし続けていた、本当に成し遂げたかった事を思い出す事で自ら戦いに戻る道を選び、姑息な手段を一切使わずに正々堂々と戦い抜いた様が、余計に彼の救いのなさを際立たせている。
余談
人間体を演じたのは『ウルトラマンネクサス』でナイトレイダー隊長の和倉英輔役を演じた石橋保氏である。氏は『ウルトラマンティガ』、『ウルトラマンコスモス』、劇場版『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』にも出演経験があるが、敵役としての出演は今回が初めてである。
タイガを見た時の台詞が、『ネクサス』最終回と重なった視聴者も多かった。
何気に初代に似ている事から初代のナックル星人本人ではないか、とも言われているが、性格や戦い方からして違う上に、夕焼けの中でジャックらしき戦士に負けた事から別の個体である可能性が高い(初代は夕焼けの中でジャックを倒したが後日の昼間に負けている)。
スーツは違うものの『ウルトラマンオーブ直前スペシャル』にて夕日差す荒野でジャックと戦うナックル星人の新撮映像が存在しているため、このナックル星人がオデッサなのでは?という声もある(夕焼けのなかでジャックと戦った個体の例が少ないため)。
これまで卑劣な悪役として登場することが多かったナックル星人だが、地球人と友好関係を築きながらも紆余曲折を経て自ら敵対する道を選んだ末倒されたオデッサの救いようがない末路は、これまでのナックル星人のイメージを良い意味で覆すことになった。
関連タグ
ババルウ星人ババリュー、シャドー星人ゼナ:同じく、これまで凶悪非道とされてきた同族達のイメージを良い意味で覆した者達。
ブラック店長:「手持ちの怪獣によってあきらめきれなかった本心に気付かされ、ウルトラ戦士に戦いを挑んできた」という点で類似。ただしこちらは生存している。