概要
『ウルトラマンジード』に登場するシャドー星人で、秘密組織AIBの上級エージェント。
表向きは「瀬名 日出樹」と名乗り、生命保険会社の営業部に属する社員であると偽証している。
愛崎モアの直属の上司に当たる人物で、彼女からは「先輩」と呼ばれている。
第10話および第11話ではモア以外にも大勢の部下たちに指示を出している描写があることから、組織内でもそれなりに高い地位にある人物である可能性が高い。
かつて『ウルトラセブン』に登場したシャドー星人たちの同族であるが、ゼナは地球の侵略ではなく地球の治安維持のために活動しているという点が大きく異なる。
また、顔だけ擬態していなかったかつての同族とは違い、インカム型の装置を使うことで顔まで完全に人間に似せて活動している(基地内では、お馴染みのデスマスクのような顔になる)。ただし常に渋い表情のままであり、会話時にも口を一切動かしておらず、テレパシーで会話している(書籍によれば表情筋がかたいのが人間形態にも影響を与えているとのこと。ただし、瞼を閉じることはできる)。終盤では、驚愕した時や安堵した時にわずかながら表情を変える様子も見られるようになり、人間社会で暮らしているうちに少しずつ表情を顔に出すことができるようになっているらしいことが窺える。
戦闘力も、かつての個体とは異なり非常に高く、宇宙人を生身の格闘で圧倒して身柄を確保できるほど。
第9話で伏井出ケイがベリアル融合獣に変身して暗躍している事を察知すると同時に伊賀栗レイトにウルトラマンゼロが宿っている事も知る。
第11話でストルム星人ケイとウルトラマンベリアルのテレパシー会話を傍受し、逆探知の結果、ベリアルの居場所らしき地点を特定し、その調査をゼロに依頼した。
なお、今でこそ宇宙人たちによる治安維持組織であるAIBの一員で活動している彼だが、過去には侵略者として活動していた時期もあったようで、第14話~15話では彼に敵地に侵入して破壊工作を行う為の工作員として育て上げられた同胞のシャドー星人クルトが登場している。
また、AIBに配属された当初はエージェントとしての任務に当たる一方で、ベリアル軍によって壊滅させられたシャドー星を復興させることも考えていたようだが、新人なりにひた向きなモアの姿に心を動かされて復興より任務を重視するようになっていったことをレイトと一体化したゼロとの会話で明かしている。
最終話では、修復したゼガンと自ら一体化してベリアルを異空間へと追放する作戦へと参加。ゼガンはアトロシアスのアトロスバーストを浴びて粉砕されてしまった(ゼナはすんでのところで脱出したためほぼ無傷で済んだ)が、その後ジードが捨て身の行動で生成された異空間へとベリアルを放逐したため、作戦の成功に間接的ながら貢献した。
劇場版ではギャラクトロンMK2とギャラクトロンから逃げてたジャグラスジャグラーの情報からギャラクトロン軍団の親玉がギルバリスの情報を掴むためリク達と一緒に沖縄に向かいモアとと共にリク達を情報屋がいる宇宙人街へと案内したが、溜まり場にいた宇宙人達とモアが乱闘騒ぎを起こした際には、少し呆れながらもサイドスペースにやって来てたクレナイ・ガイと共に宇宙人達を抑えた。また、ガイがウルトラマンオーブである事も知っていた。
余談
侵略者から防衛隊のエージェントへ
シャドー星人のテレビシリーズへの登場は、『ウルトラセブン』以来実に49年ぶり。また、かつて『ウルトラセブン』で地球の侵略を目論んだ凶悪な宇宙人が、今回はなぜか防衛組織の一員として登場するというまさかの展開も大きな話題となった。
以前登場したシャドー星人が卑怯なだまし討ちでセブンを追い詰めようとしたことや、シリーズ構成を担当する乙一氏の作風を知るファンからは、「実は敵と内通しているんじゃ…」「終盤で裏切るのでは?」と早くも警戒する声も上がっているようだ。ただし、第4話にて本作の重要ワードであるリトルスターのことをまったく知らないらしい様子を見せたり、第5話でも「宇宙人と人間が共存できる日が来ればいいのに」というモアの発言に対してどこか複雑そうな表情を浮かべながら「そんなに簡単なことじゃない」と言うシーンがあったりするため、そう考えるのは早計とも言える。
第14話・15話ではなぜ宇宙ゲリラの一員であったゼナがAIBのエージェントになったかについての経緯が語られ、ゼナ自身も再び侵略者として活動するつもりはないことを劇中で明言したことから、こうした懸念は払しょくされることとなった。
監督の坂本浩一は、『ジード』の放送年が『セブン』50周年にあたることや、見た目のインパクトなどからシャドー星人をレギュラーに設定した。スーツアクターである岩田の起用も坂本の要望によるものである。また、第16話での蹴り技は、演じる岩田が『ウルトラマンギンガS』で蹴り技を主体としていたウルトラマンビクトリーを演じていたことから、坂本の要望により取り入れられた。
かつてセブンを痛めつけたシャドー星人がセブンの息子であるゼロと共闘するとは誰が思っただろうか。
演者について
声を担当する浅沼晋太郎は、『ウルトラマンメビウス』でジャシュライン(次男)の声を演じているほか、『ウルトラゼロファイト』でバット星人グラシエ役を演じている。また、後者はゼロと共演しており、『ゼロファイト』では敵同士だったが、本作では味方同士である。
一方、人間態を演じる岩田栄慶は円谷プロダクション所属のスーツアクターで、これまでにウルトラマンゼロを始めとした数多くの主役ウルトラマンを演じた他、時折声の出演や顔出し出演などもしていたが、顔出しでのレギュラー出演は今作が初である。
岩田氏はゼナを演じると同時に主役ウルトラマンであるジードのスーツアクターも兼任しており、実質的に1人で2役を演じている。
また、ほぼ表情を動かさずに感情を表現し、声を後から別人が当てるというこの役柄はスーツアクターとしての演技とほぼ同一のものであるため、スーツアクターからスーツを無くした状態で演技をさせているという状態である。
岩田氏は『ウルトラマンZ』第22話にてGAFJの特空機のパイロットを演じている。ただしこちらはゼナとは異なり、普通に喋っている。
ウルトラマンデッカーでは、TPUの調査部の隊員として、他のスーツアクターさん達と共に出ておりこちらでも普通に喋っている。またこの回では、円谷所属のアクションチームであるキャスタッフの名前が入ったトレーニングジムが模型で出てたりと、スーツアクターさん達にフィーチャーもされている。
スーツアクターデビュー?
『ウルトラマンデッカー』第14話にて、ウインダム役のスーツアクターに「瀬名日出樹」の名前があった。
「ゼナ先輩がスーツアクターに!?」とファンの間で話題となったが、岩田氏によると「番組のクレジット表記に関するある決まりがあるため、今回限りの芸名を使用した」とのこと。
どのような決まりかは不明だが、恐らくデッカー役とウインダム役で岩田栄慶の名前が2つ並ぶのが駄目なのだろう。
ちなみに岩田氏曰く「ちょっとした話題作りをしました(笑)」とのことで、話題になったのは想定通りのようだ。
裏設定
実は方向音痴かつ可愛い小動物に弱いらしい。
本編でもサメクジラの抱きかたが優しかったり、先回りに失敗していたりとそれらしき描写が見られる。
名前の由来はゼナ・ヘンダースンから。
関連項目
ウルトラマンジード AIB シャドー星人 シャドー星人クルト
グルマン博士 - 彼も宇宙人でありながら地球の防衛組織に所属し、平和のために活動していた。こちらは元々温厚で友好的な種族である。こちらを元ネタとしているのはどちらかと言えばペガの方らしい。
ババルウ星人ババリュー - 彼もゼナ同様にこれまでのイメージを覆す活躍をしている。
トリィ=ティプ-彼女もまたシリーズで初めてウルトラマンの味方側として登場したピット星人である。ゼナの部下となりジードの支援をすることになる。
ウルトラマンブレーザー-岩田さんが声とスーツアクターを担当しているウルトラマン
そして…
2019年7月10日、演者の岩田氏がなんとモア役であった長谷川真優氏との結婚を発表(なお、これより前の4月30日をもって長谷川氏は既に芸能界を引退している)。まさかの役柄上の部下との結婚となった。