ハスター
はすたー
- クトゥルフ神話に登場する架空の神性。
- 這いよれ!ニャル子さんに登場するキャラクター。 →ハス太
概要
初出作品は「羊飼いのハイタ」。
ラヴクラフトが自分の作品に名前を使ったことがクトゥルフ神話に編入される切っ掛けとなった。
元の作品の通り謎めいた存在として名前が挙がっているのみであり、それが何であるかは分からない扱いをされていた。
後にオーガスト・ダーレスが自らの作品で邪神と明言し、旧支配者の一柱として組み込まれた。
能力
風の属性に類する旧支配者であり、「名状しがたきもの」の異名を持つ。
「名状しがたきもの(「名付けられざりしもの」という解釈もある)」の他に「星間宇宙の帝王」、「邪悪の皇太子」などの異名がある。
代名詞とも言える『黄衣の王』はあくまで化身の一つに過ぎず、その正体は目に見えない力であるとも、精神的にしか感じられない目に見えない力だというものからタコのような姿、全身がミミズのような触手で構成された身長60m級のゴジラのように直立するトカゲとも言われている。
極めて稀に死体に憑依する事があり、憑依された死体は大きく膨張する同時に、全身の締まりが失って弛み、皮膚が無数の刺に覆われる。
かつて宇宙空間を自在に駆け回る力を持ち、地球上に君臨した形跡もあるが、現在彼がいる、あるいは幽閉されているのはおうし座ヒヤデス星団のアルデバラン周辺「黒いハリ湖」と呼ばれる場所である。
ハリ湖の近くにある都市カルコサにおいては羊飼いの神となっている。
ハスターが姿を現すことができるのは、地球から見てアルデバランが中天に見えている時だけである。
彼はクトゥルフとは対立関係にあり、彼ら旧支配者を追放した旧神のいるペテルギウス星が中天に上る間、ハスターとクトゥルフは安息所を求めて争うという。
クエスチョンマークを3つ合わせたようなシンボルマークを持つ。
またハスターに憑依された人間は頭と手に鱗が生えて変形し、腕は骨のない触手のようになってしまう。ハスターが肉体から離れても、この変異は元に戻らない。
ダーレスによってハスターの名前を人々が話すと滅ぼされるという設定が加えられた。
彼の信奉者、助力を求める人間のもとに奉仕種族バイアクヘーを送る。
関係のある呪文
・いあ! いあ! はすたあ! はすたあ くふあやく
ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい! あい! はすたあ!
黄金の蜂蜜酒を飲んで唱えると、ビヤーキーを遣わしてくれる。内容はハスターを讃えるもので、この文言は祈祷文にも遣われるらしい。
化身
化身はみな一見して人間に見えるという共通点がある。
黄衣の王
ハスターの最も頻繁に遭遇する化身。
自由自在に姿を変えることができる。孤独な狂人、芸術家、詩人に多く崇拝される。彼らは呪われた戯曲『黄衣の王』によって狂気に駆り立てられ、人間の経験を無意味にするような作品を創造する。
エメラルド・ラマ
「心の触媒毒」。
謎に満ちた聖人のオーラを出し、着古したきらめく緑色のローブを着ている。
常に地面から一メートルほど浮遊している。滅多に部外者の前に姿を現さず、犠牲者を求めることも決してない。
研究者や僧侶などの神秘探求者の好奇心につけ込む。術中にはまった者は真の悟りを熱望し、瞑想に時間を費やす。彼らは生きながらミイラになり、干からびた肉体に生きた脳が永遠に捕らわれる。事前の兆候として他のすべてを忘れるほどのクトゥルフ神話への不合理な渇きがある。
ラマを探求するものはその意味、宇宙の本当の意味を理解しようと駆り立てられ、人生を費やす。ラマに接触し、かつ逃れたものは平穏を得るが、同時にラマを探し出したいという欲求にかられる。
かなたより饗宴に列するもの
「脳を喰らうもの」。犠牲者の頭に穴を開け、脳を吸い取る。
関係性
ヨグ=ソトース
父親。この神性にはハスター以外にも多くの子供がいる。
シュブ=ニグラス
母親、あるいは妻。妻とされる場合は「名付けられざるものの妻」という記述に基づいていると思われるが、これがハスターを指している可能性は低い。
ヨグ=ソトースの妻でもあるのは多くの作品の証言や、創造者であるラヴクラフトの書簡の通りだが、この女神がハスターの直接の母親であるかは分からない。
クトゥルフ
元々近い血縁であるとされてきたが、カーターの「クトゥルフの異母弟」が最も整合性のとれる血縁関係である。対立し、この両者が顕現して相対するシーンのある作品もある。
イタクァ(イタカ)
眷属、あるいはシュブ=ニグラスとの子。風の神として関連づけられている。「星間宇宙を歩むもの」と呼ばれ、宇宙空間を移動できると示唆されている。
信仰
広く一般的に信仰される神である。ハスターを崇める教団は数多く、名前を知られていない教団もあると思われる。
黄色の印の兄弟団
ラヴクラフトの作品内でほのめかされた教団。ハスター信仰で最もよく知られたカルトの一つ。
関連イラスト
化身とされる「黄衣の王」のイラストが多い。
クトゥルフ神話以前の扱い。
アンブローズ・ビアスの「羊飼いのハイタ」が初出作品。羊飼いを守護する温和な神であると語られている。ダーレスにより邪悪な神と設定されてクトゥルフ神話に組み込まれることになったが、後続の作家によりビアス作品とのすりあわせが行われ、アルデバランの都市カルコサでは羊飼いの神となっている。
この設定をそのまま受け入れると「ハイタ」は地球人ではないということになる。
原語表記
- Hastur(ハスター)
- Assatur(アサタ―)
- Xastur(ザスター)
- Kaiwan(カイワン)
- Hastool(ハストゥール)