概要
『宇宙戦艦ヤマト2202』に登場する、地球連邦防衛軍の新生航宙艦隊主力戦艦でオリジナル版主力戦艦のリメイク版。艦級名はドレッドノートで定められたと同時に、前衛航宙艦という名称も追記されている。
正式名称を『量産型高能力武装運用システムD1 ドレッドノート級前衛航宙艦』という。
2199年からのわずか3年間で、前衛武装宇宙艦アンドロメダら5隻と共にドレッドノート級も14隻が建造就役しているが、如何なる方法によるものなのかは、関係者以外には知らされていなかった。ドレッドノート級の同型艦らは、英国風に『D』から始まるもので統一されている。
ガミラスのガイデロール級航宙戦艦を設計の基礎としているとされ、なおかつヤマトの戦闘データなどを反映したことから、姿形は異なれどもヤマトの簡易版とも言うべき戦闘艦となっている。
いまだに数多くの同型艦が建造中である。
デザイン
デザインは、ほぼオリジナル版の主力戦艦を踏襲しているが、艦橋部がオリジナルに比べて低く、なおかつ前後に長くなるなど、相対的に大きくなっている。なお全長は、250mとヤマトよりも100mも小型である。
カラーバリエーションが意外と多い。基本色は青みがかった灰色の艦体にクリーム色のアクセントだが、第5章では艦後部のクリーム色部分が黒になったタイプが登場。第6章では赤い色の火星防衛戦線仕様(なぜか火星の艦隊に姿はなく、地球から来たアンドロメダ改に引っ付いている)、艦首周り等のクリーム色だった部分が赤色に変更され、艦体色も紺色になる地球防衛戦線仕様(ヤマトのカラーリングか、もしくは宇宙戦艦ヤマト復活篇に登場した主力戦艦のカラーリングをイメージしたと推測される)が登場する。さらに時間断層内には白と茶色のシマウマ模様のプロメテウス(第5章)と黒い艦体にお経が書かれたエピメテウス(第7章)が存在する(エピメテウスは本作副監督の小林誠が自身の連載で作成した模型のデザイン流用)。
武装
武装は拡散モードとの切り替え可能な拡散波動砲1門は勿論のこと、新開発された収束圧縮型衝撃波砲を30.5㎝口径9門装備する他、数多くの兵器をその艦体に装備している為、見た目以上に重武装な艦である。
また、主砲が小口径化しているのは、エネルギージェネレーターの大型化と、砲身の中間に設けられた陽電子収束機によって、破壊力と連射力を向上化させている為とされる(アンドロメダ級も同様)。
波動砲の構造
オリジナル版の主力戦艦の時から、波動砲口内に用途不明の板状のパーツが存在したが、これに関する公式設定は存在しなかった。メディアによって(公式・非公式含め)は、この仕切り板の存在によって、波動砲を2門扱いとする場合も存在していた。ファンの間では、謎カーボンならぬ、波動砲にすら耐えられる謎金属と呼ばれていた。
スプリッター
本作では、この波動砲口内の仕切り版らしき構造物はスプリッター(エネルギー噴流分割整流板)と設定された。波動砲に用いられるエネルギーの薬室が2つあり、それを直列配置というドレッドノート級独自のシステムで配している。
構造
どういう発射システムになっているかというと、拡散波動砲を撃つ際には、まず2つの薬室からそれぞれ右旋波・左旋波の波動エネルギーを直列射出する。すると砲口内のスプリッターによって纏めて射出された波動エネルギーが左右の旋波に分離される。これによって拡散波動砲エネルギー噴流として放出する仕組みになっている。
薬室とスプリッターの配置を図解にすると、以下の配置になる。
W W
Y Y
\板/
×
薬\
室
右
/薬
室
左
何故、後ろの薬室から放出されるエネルギー流が、そのまま前の薬室に干渉せず発射できるのかは説明されていないが、まあ知らなくても生きていけるさ、ウン。
また収束モードで撃つ際には、1つの薬室を用いて右旋波のエネルギーのみを撃ち出すとされている。
余談
因みにアンドロメダ級がオリジナルに比して100m以上も大型化したのに対して、ドレッドノート級が前と変わらぬ250mという設定に収まった理由は
「アンドロメダと同様に大型化してしまうと、元々ドレッドノートの艦首砲口の方がアンドロメダよりも大きいため、寧ろドレッドノートの方が強く見えてしまう恐れがあるから」
とのことである。
本来はヤマトと同じ333mであり、その設定で決定稿が仕上げられ、3Dモデルまで作られていた(というよりモデルを3Dプリントしてアンドロメダと並べた結果上記のようになった)。なので各部の形状はむしろ333mの方がしっくりくるサイズになっている。特に主砲のサイズはアンドロメダと同じ、艦橋のサイズはヤマトとほぼ同じとなる。また艦橋内は『宇宙戦艦ヤマト2』でのデザインをアレンジしたものが用意されていたが、全長縮小に伴い艦橋も小さくなってしまったのでアンドロメダのものが流用された。本来のデザインはカラーバリエーションであるプロメテウスに転用されている。
スペック
- 全長:250 m
- 全幅:62.3 m
- 全高:99.0 m
- 武装
・次元波動爆縮放射機×1門(艦首)
・30.5㎝三連装収束圧縮型衝撃波砲塔×3基
・六連装大型エネルギー砲×1基(司令塔頭頂部)
・四連装対艦グレネード投射機×2基(前甲板両側)
・亜空間魚雷発射機×4基(艦首両舷)
・小型魚雷発射管×8門(艦首両舷)
・ミサイル発射管×8門(艦底)
・短魚雷発射管×12門(両舷)
・多連装ミサイル発射機×16基(両舷)
・司令塔防護ショックフィールド砲×3基(司令塔前部および基部)
・近接戦闘用六連装側方光線投射砲×2基(司令塔基部)
・対空パルスレーザー砲塔×4基(司令塔および基部)
・拡散型対空パルスレーザー砲塔×3基(司令塔基部後方)
・対空ミサイルランチャー(前甲板)
- 主機:次元波動エンジン×1基
- 補機:ケルビンインパルスエンジン×2基
- 乗員:約150名
同型艦
初登場した艦艇群は、英国風の艦名で占められる
- ドレッドノート
- デヴァステーション
- ダンカン
- ドミニオン
- ディアデム
- ドレーク
- デヴォンシャー
- ダートマス
- ダイアナ
- ダナイー
- ダイドー
- ドーリス
- ダブリン
- ダイアモンド
- Dreadnaut (上記ドレッドノートの設定資料での誤字)
これ以降、約数万隻が就役しているが艦名は不詳。土星沖海戦時には、エンケラドゥス守備隊のドレッドノート級をナンバーで呼称している。
増産の秘密
ドレッドノート級を始めとした最新鋭艦の早期建造と就役は、通常工程を含めれば3年(まして復興も同時並行する)で14隻もの艦艇が完成できるはずもなかった。それを成し得たのが、コスモリバースシステムによる副作用――時間断層であった。
この反重力特異点とも言われるこの局所的な現象は、通常空間とは異なり10倍の時間が流れており外で1日が経てば中で10日の時間が経過する。これを利用して、空間内部に巨大軍事工場を建設し稼働したのだ(そのため人間は10分と持たず、ガミラスのガミロイドを作業員代わりに使用している)。
これによって地球は復興と軍備拡充の双方を成し得ており、ガミラス側にも植民星の管理権を譲り受ける事を条件に一部の工廠使用権を売っている。ドレッドノート級は、そんな軍拡成果の一つである。
経歴
第2章
時間断層工場にて、建造中或いは完成済みらしきドレッドノート級が存在していた。
木星圏で、就役した14隻が、アンドロメダ級5隻と共に艦隊を組んで訓練に参加。マルチ隊形を組み、小惑星帯を漂う岩石や小惑星を標的として砲撃訓練を行っていた。その後のヤマト叛乱の際には旗艦アンドロメダのみの追跡となったため、ドレッドノート級は4隻のアンドロメダ級と待機する事となった。
第5章(ネタバレ注意)
対ガトランティス戦に備え、より増産が進んでいたが、総戦力数は作中明らかになっていない。
ガトランティス軍の侵攻に備えていた中、土星圏を警備していたエンケラドゥス守備隊が、ガトランティス軍第七機動艦隊の先頭部隊と接触する。
エンケラドゥス守備隊30隻には、E23号とE24号+艦番号不詳の3隻のドレッドノート級が配備されていたが、万単位という規模で迫る第七機動艦隊を相手に苦戦を余儀なくされた。両翼から挟撃され集中砲火を受ける中にイーターⅠの特攻で守備隊は半数以下に撃ち減らされ壊滅、ドレッドノート級E23号艦が、その餌食となって轟沈している。そこに山南率いる本隊が駆けつけたことで辛うじて旗艦と数隻の金剛型は生き延びた。
拡散波動砲の一斉射で第七機動艦隊に大損害を加えた後、アンドロメダ級の重力子スプレッドという強力な盾もあって、敵のインフェルノ・カノーネを防ぎ切る。直後、土星リング内から、別働隊のドレッドノート級が拡散波動砲を浴びせて、第七機動艦隊にダメージを蓄積させた。
その後は、両軍共に入り乱れ接触し合うほどの至近距離戦で多数のドレッドノート級が撃破されるものの、同様にカラクルム級を沈めて行った。数で圧倒する筈の第七機動艦隊は、予想外の戦力数と拡散波動砲の連続攻撃によって苦戦を続けた。さらに、増援として後続のドレッドノート級がワープアウトし、本隊に加勢している。
意を決したズォーダーの命により、ガトランティスは彗星そのものを使って地球艦隊を押し潰そうと迫る。地球艦隊は山南の指示を受けてマルチ隊形を形成し、収束波動砲の発射に備えた。さらに、アンドロメダ級の重力子スプレッドの重力フィールドで、全艦の波動砲を集約させる戦法を取る。
いざ、収束波動砲を一斉掃射し、重力子フィールドで一大集約された波動砲は、白色彗星に直撃するものの、内部を破壊するに至らずガス帯を取り払うのみに終わった。
姿を見せた都市帝国を殲滅すべく第二射を放ったが、都市帝国の異常なまでの重力技術で射線を外されて無効化される。そればかりか、計測不能な重力傾斜によって、都市帝国へ向かって引きずり込まれる事態となる。
当然、地球艦隊は離脱を試みたものの、都市帝国内部に待機していた多数のミサイル戦艦から放たれた破滅ミサイルと超重力により、アンドロメダ級空母アポロノームとともに多くのドレッドノート級が失われることとなった。
この時点で離脱できたドレッドノート級は見当たらないが、第6章では山南艦隊の紋章を付けたドレッドノート級が登場、どうやら少なくとも10隻以上は脱出できていた艦があった模様。
第6章
その後六章では、盾を装備した数十隻のゼルグート級と共に拡散波動砲を放ったり、銀河と協力することで波動防壁により破滅ミサイルを防ぎきったりするなどのシーンがあったが、アンドロメダ改の両舷に接続された二隻は、アンドロメダの影に隠れながらも推力をカバーすることでアンドロメダが主砲を十二分にバラ撒けるようにしたり、アンドロメダと共にショックカノンの乱射で敵艦を葬ったりなど最後にはイーターⅠに貫かれたが健闘しヤマト救出を大きく手助けした。