スクウェア三大悪女とは…
スクウェア・エニックスの新旧スクウェアの作品の中でも「主人公を平気で裏切る描写がある」「プレイヤーにとって性格がうざったい」などの理由でコテンパンに叩かれることの多いヒロイン達である(ただの描写不足かもしれないが)。
有名なネタらしく、半熟英雄でもたまにネタにされることがある。
「【三大悪女】といっても3人いるわけではない」。しかも彼女達は本来の『悪女』という定義から外れている。
描写が足りないせいかどうかは不明だが、わざわざゲームの世界でもプレイヤーに激しい不快感を与えてしまう「プレイヤーにとっての嫌な女」という意味も含めてこう呼称されている。
【バハムートラグーンのヨヨ】と【ライブアライブ中世篇のアリシア】は鉄板化しているが、【魔界塔士Sa・Gaのミレイユ】については当時それほど知名度が無かったため、世代によっては後に登場する【FF8のリノア】が候補になるなど錯綜した。
おもな三大悪女
「【三大悪女】といっても必ず3人いるわけではない」。上記のように有名なキャラ2~4人を名指しする場合であったり、旧スクウェアには悪女キャラが多いというあるあるネタだったりするので、「【スクウェア三大悪女】という単なる称号である」と思っておこう。
それと…これらのキャラの大半を生み出してしまった時田貴司たちスタッフも、相当女性のことで苦労しているようなので……やさしくねぎらってあげよう。
主に三大悪女として挙げられているのは以下の通り…何度も言うが、『【三大悪女】といっても3人いるわけではない』のだ。
バハムートラグーンのヨヨ王女
【スクウェア三大悪女】というネタの代表格であり、この言葉はまさに彼女のために生まれたといっても過言ではない。簡単に言えば彼女の浮気から始まる裏切りの連鎖である。詳しくはヨヨの項目を参照。彼女に限っては「悪女マジ悪女」というタグもよく見かける。
パルパレオスは犠牲になったのだ…。
パルパレオス「………」
ライブアライブ中世篇のアリシア
主人公オルステッドが闘技大会で優勝し、心を射止めたお姫様である。
オルステッドとアリシアは親密になっていくのだが、このことを快く思わなかったオスルテッドのライバル"ストレイボウ"にさらわれてしまう。主人公は王の命令で仲間達と共にアリシアの救出に向かうのだが、道中様々な不幸、国からの裏切りにより仲間たちは命を落としてしまう。1人になってしまったオルステッドは、ようやくストレイボウを倒すのだが、そこで待っていたのはストレイボウに深く心酔してしまったアリシアであった。
彼女は助けにきた勇者オルステッドに労いの言葉を掛けるどころか、ストレイボウを殺した彼を激しく罵る。挙げ句に説得も聞かずにストレイボウの後を追って自害した。
愛する人に裏切られ、自害された。信じていた仲間も皆失った。王殺しの汚名と任務失敗の咎により、国へ帰っても待っているのは処刑のみ。
この負のコンボによってオルステッドは完全に壊れ、人間への果てしない憎悪に目覚めてしまい、悪の道へと落ちていくのだった……。
最終編では【心のダンジョン】という中世編で命を落としたキャラクター達が登場するダンジョンにて、最深部で自害した彼女の魂に会うことができる。ここでは今までに命を落としたキャラクターの反省の言葉、もしくはオルステッドやアキラに対する労いの言葉を聞ける。
ストレイボウはオルステッドの反乱を知り、「俺の…せい…なのか……」と話すため、
アリシアからも何か懺悔の言葉が聞けると思ったプレイヤーもいただろうが、「お願いです…止めてください…オルステッドを…」としか喋らなかった。
自分の行いがオルステッドを魔王にさせた決定的な引き金になったことに気づいていない様子
であることも、悪女認定に追い打ちをかけた。
もっとも、心のダンジョンに来たのはオルステッド当人ではなく見ず知らずのアキラな訳で、懺悔の言葉を聞かせる必要がある訳でもない。
自身が悪いと思っているからこそオルステッドを止めると願ったとも考えられる。もちろんその一方、本当に気づいていなかったとも考えられる。2行の台詞から、その心情全てを読み取る事は土台不可能なので、なんとでも言えてしまう。
なお製作者である時田氏は後に攻略本で「『心』のダンジョンでの台詞でちょっとだけフォローしたつもりだった」と語っている(が、見ての通りフォローになっていない)。
なお、神視点のプレイヤーと違い、魔物に囚われていたアリシアの知り得た情報は当然少ない。
夫であるオルステッドは待てど暮らせど来ず、大会二位のストレイボウだけが一人到着。その後、ストレイボウが夫を恨みつつも、自分を助けに来たことを知らされる。その負い目のある状態で命の恩人であるストレイボウを殺したのが、今更何をしに来たのか遅きに失した夫オルステッドである。彼女の心中を思えば、薄っぺらな同情や心変わりというより、ストレイボウに対する贖罪の気持ちと考えるべき、と言う擁護もある。
加えて、『ストックホルム症候群(誘拐・監禁された被害者が、生き残るために犯人と心理的なつながりを持とうとしてしまう心理的現象の事)患っていたのでは』『ストレイボウやアリシアは魔王像に操られたのでは』と言う説も存在する。
実際の所、身も蓋もない事を行ってしまえば、そもそも描写が足りないので、悪女であるともそうであるとも言い切れない。
なぜかと言えば、中世編は『王道的なヒロイックRPGのアンチテーゼとして作られた作品』であるためだ。
そもそもアリシアの初期設定は、一個の人格を持つ女性と言うよりは、RPGにおいて『攫われて主人公の助けを待ち、助けられたら惚れる』と言う、ひねりのない典型的なヒロインである。
これは彼女に限った話ではなく、『大して姫とつながりがないのに命がけで救い出しにいこうとする勇者』オルステッド、『友と言うだけでオルステッドの危険な旅に付き合う相棒』ストレイボウなども同様で、意図的にキャラが薄い。
そして、そのテンプレートな役割を果たす筈のキャラ達が『友でありながら裏切って立ちはだかる』『姫でありながら勇者を拒絶する』と言うように次々とその役割を放棄し、最後には主人公すら『勇者でありながら魔王となってしまう』というのが中世編のシナリオの骨子なのだ。
その衝撃的なキャラから逆算して作られたのがアリシアであると言える訳で、逆に言えば『プレイヤーに衝撃を与えるためだけの存在』である。
それ以外の設定は、意図的に明かされていないと考えられるので、叩こうにも、擁護しようにも、描写が足りなすぎて根拠に欠けるのである。
だからこそ、プレイヤーが想像を介入させる余地が大きく、今日まで毀誉褒貶の激しい議論の種となって来たとも言えるが。
こうして考えると、彼女が悪女として過剰に憎まれるのも、『主人公のモノとなる筈だったヒロインが、それに逆らったから』と言う理由が大きいと言えるだろう。
(この点は上記のヨヨも同じ理由が含まれる。彼女の場合は、それ以外の面でも悪女過ぎたが)
なお、時田氏は「アリシアみたいな女の子女の子してて私かわいいでしょみたいな奴ほど残酷なことするもんです」とも語っており、彼女を嫌っているようだ。
その辺りを指して作曲者である下村氏は「時田氏の女性観みたいなのが反映されてる」と言う発言を残している。
魔界塔士Sa・Gaのミレイユ
塔の10F・空中世界を牛耳っていた"白虎"に対抗するため、姉のジャンヌと共にレジスタンスを結成。ジャンヌと共に白のクリスタルの鍵を握る重要人物として白虎から狙われていた。
親衛隊に襲撃されたところを主人公達に助けられたジャンヌはミレイユの救出を依頼するが、ミレイユは
ミレイユ「わたしはつよいものがすきなだけ。レジスタンスなんてまっぴらよ!」
と、白虎にさらわれたフリをして実は寝返っていた。
びゃっこ「うらぎったな ミレイユー!」
・・・というのは半熟英雄でのパロディ。
白いクリスタル(偽)を発見し、白虎に用済みとして殺されそうになったミレイユをジャンヌがかばい死んでしまった。主人公達が白虎を倒して本当のクリスタルを手に入れるも、ミレイユは「はやくきえて!」と突き放した(この時は姉が死んだショックで動揺していたと見られる)。
だが、ミレイユの涙とジャンヌの血が触れたことで本物のクリスタルが現れたのだから、何とも皮肉な話である。もともと「強者にひれ伏す口だけ女」と、悪評が高かったキャラクターだった。
しかし、短い登場シーン、ありがちな『裏切り』、アシュラ討伐後の塔1階で反省している事から、悪女枠として入れるのは微妙とされている。
リノア・ハーティリー
「私のことが、好きにな~る、好きにな~る」「ハグハグ」「おハロー」などの言動で偏見をもたれているアホの子。
しかし実際は主人公スコール・レオンハートのライバル、サイファー・アルマシーにちょっと気があったくらいで悪女というには程遠い。
さらに言えば最終的にはスコールと相思相愛(?)で両名とも普通に幸せそのものである。
また出展のFF8自体「若者の成長物語」という側面が大きく、序盤の能天気な言動や足手まといになる場面も、終盤に訪れる運命への布石という意味合いが強い。
もっとも『バカおんな』と名づけてプレイする「バカゲー専科」の単行本もあり、本気で嫌う人はいる模様。
実際、当時の人気投票では好きなキャラ2位(ちなみに1位はラグナ君)・嫌いなキャラ1位と好き嫌いがハッキリと分かれている。
留意すべき点として、リノアは過去、某サイトにおいて悪女として(なぜか)ミレイユと間違えて紹介されてしまったのである。
結果的に知名度の高さと当時の風潮などが重なって濡れ衣を着せられてしまったというのがリノアの悪女認定の真実なのである。