概要
ピピンアットマークとは、バンダイとAppleが共同開発した家庭用ゲーム機である。1996年発売。Macintoshと下位互換性があり、Pipin専用タイトルのほか、一部のMac向けCD-ROMタイトルが動作した。
特徴
背の低い台形型の筐体にトレイローディング式のCD-ROMドライブを搭載している。スタンダードモデルの「ピピン@アットマークセット」とインターネット接続対応の「特別ネットワークセット」があり、特別ネットワークセットには外付けモデムが付属していた。
コントローラーは細長い三日月型をしており、トラックボールを内蔵しているのが特徴的だった。このコントローラーはMacでも使用可能であり、ペンタブレット内蔵のキーボード(オプション)とともにMacユーザーに珍重された。このほか、メモリーカードやMOドライブ、フロッピーディスクドライブなど専用の周辺機器が豊富に用意され、Macintosh用プリンタも接続可能だった。
家庭用ゲーム機という位置付けだが、厳密にはインターネット接続に重点を置いたマルチメディア機である。この手のデバイス(パソコンと下位互換性があるマルチメディア機)には富士通のFM-TOWNS マーティー(1993年発売)という先例があったが、本機もマーティーと同様に大失敗に終わった。
仕様
- CPU:PowerPC603(66MHz動作)
- RAM:6MB(13MBまで拡張できる)
- VRAM:RAMの内1MBを画面表示用に振り分ける
- OS:PipinOS(Macintoshとの互換性あり)
- ストレージ:CD-ROM、専用メモリーカード(フラッシュメモリ)
- オンラインサービス:モデムによるインターネット(14400bps)
主なタイトル
その他
性能の割に高価格で、キラーソフトの欠如、コンセプトの不明瞭さから売り上げは非常に悪かった。ちなみに販売や展開の主導はバンダイ側であり、Apple側は共同開発したものの非協力的だったとされる。
売上はわずか4万台ほどで、世界で最も売れなかったゲーム機とも言われている(上述のFM-TOWNS マーティーも4.5万台なので大して変わらないが...)。
セールス的には大失敗だったが、バンダイによるサポートは意外にも6年程は継続されていた。
Macintosh互換機であるので、CD-ROMドライブにMac OSのディスクを入れると起動したらしいが、当時のパソコンとしては最低限(以下)の性能(CPU性能こそそこそこだったが、メモリが6MBしかなく、ハードディスクドライブを内蔵しておらず、ビデオ表示は640×480ドットの出力が精一杯だった)なので、実用性には乏しいものだった。