概要
元々はノッチバック型のセダンの荷室を後ろに伸ばした乗用車のジャンル。
他にも『シューティングブレーク』『エステート』など様々な呼び名があるが、『ステーションワゴン』や『ワゴン』が最も一般的である。
車高は低く荷室が広めで、後部座席を倒せばより多くの荷物を積めるのが特長。
日本の車検証右上には『車体の形状』という項目があるが、ここに記載される語句は「箱型」「帳型」「ステーションワゴン」のたった3語しか存在しない。この項目はメーカーの自己申告制であるため、3列シート車やミニバン、SUVでもここに「ステーションワゴン」と記載されている場合が多い(実際ミニバンやSUVは、ステーションワゴンの全高や車高を高くしたような形状をしているため、強ち間違っていない)。
積載性以外のメリットとしては、車高が低いので機械式駐車場や低い高架下をクリアしやすく、高速走行や強風時の走行安定性も比較的高い事などが挙げられる。
その一方でセダンの後部をかさ上げした事による重量バランスの悪さと座席と荷室の同一空間化から、旋回性や加減速のしやすさ、静粛性、快適性、ボディ剛性で劣っており、ワゴンやミニバンと比べると積載量にも負けてしまうというデメリットがある。 加えて頭上空間も狭くなりがちで、一部の車種やグレードを除けばスポーツ走行や長距離をのんびりゆったり移動するのには向いていない。
日本ではレジャーブームの勃興期から人気を得始め、1990年代に最盛期を迎えたが、その後はより積載性に優れたクロスオーバーSUVとミニバンに押され、日産・三菱のように撤退したメーカーもある。しかしSUVとミニバンは嫌だがファミリーカー・レジャーカーが欲しいという層からは今も一定の人気を集めている。
北米も同様の事情で絶滅状態だが、速度無制限のアウトバーンのある欧州では今も人気のジャンルである。
サブジャンル
ハイパワーエンジンを搭載した「スポーツワゴン」というジャンルがある。欧州車を中心に人気が高く、日本でもレヴォーグやMAZDA6ワゴンがこれに相当する。
重量や剛性などセダンに比べるとデメリットは多いが、メーカーのプロモーションの事情や空力面のメリットから、意外とモータースポーツのベース車両としての採用例がある。2016年からBTCC(イギリスツーリングカー選手権)にスバルのレヴォーグが参戦し、2017年にチャンピオンとなったのは最も記憶に新しい例である。