その使命は、彼岸より来る境界異常────通称"界異(かいい)"を祓うこと。
概要
タクティカル祓魔師とは、pixivユーザの御伽月氏のイラスト・設定メモとそれに端を発する二次創作から構成されるフリーシェアワールド創作企画。
2025年2月に約一周年を迎える。
元は同氏の「現代の科学技術を駆使する、和風エクソシストの妄想」ツイート群の呼称であり、これが二次創作によって発達・拡大を遂げることでイラストや短編小説、動画作品などの各種作品に昇華されるようになった結果、そのまま創作企画名として用いられるようになった。
後述する「コア設定」「カノン制」のルールを採用することで、「タクティカル祓魔師」としての基本設定を一貫させつつ、各創作者の独自設定を確立できる企画となっている。
世界観
「環境庁の職員として登用された祓魔師達が、規格化された装備を使いながらオカルト存在と戦う現代伝奇創作」とでも言うべき世界観を特徴とする。
その一方で、「タクティカル祓魔師」の世界観における"幽世"や"穢れ"といった霊的な概念にはある程度理論性のある設定が与えられており、「霊やあの世といったオカルト存在を科学的に捉えて対処する、SF創作」という側面を有している。
"現世"と"幽世"を隔てる境界を突破して現れる"界異"とそれを祓う"祓魔師"の戦いについてフィーチャーされることも多く、オカルトやSF方面の考証は一旦置いて爽快なバトル描写に振り切る場合もしばしば。
祓魔師達が使用する武器や技術は創作者によって多種多様であり、望む限り「設定を詰め込む」ことができる。
以下、「タクティカル祓魔師」の世界観に登場する用語や組織を解説していく。
環境庁神祇部
「タクティカル祓魔師」創作では「環境庁」が存続しており、基本的に「境界異常」への対処は環境庁預かりの案件となっている。
これは、境界異常に際して現世に漏出してくる"穢れ"と呼ばれる幽世由来の力が生命に有害であり、一種の公害現象と見做されたことに起因している。
「環境庁神祇部」は内閣府直属の外局組織として設定されており、「祓魔師」として創作されているキャラクターの多くは「環境庁に所属する国家公務員」という扱いになっている。
尤も、行政伝奇フィクションにはありがちな展開として「厳密な試験を免除されている」例も多く、公務員の枠に囚われないキャラクターも考案されている。
この辺りの採用基準についての設定も、カノンによって管理されていることが多い。
厳密な試験体制を敷き、統率された大量の人員での祓魔業務を行うカノンもあれば、規格外の祓魔師によるド派手なバトルに重点を置いたカノンもあり、創作者の趣味の反映されるところである。
境界異常
"現世"と"幽世"を隔てる境界の異常に起因する、超常的な現象。
大別すると"霊障"や"呪い"、"祟り"と呼ばれているような災いが齎されるケースと、現世に存在するはずのない超常的存在が出現するケースに分かれる。
基本的に物質的なアプローチで干渉することはできず、人類社会に禍を齎す。
その存在規模と脅威度により、もっとも矮小な「一号級」から社会や国家、場合によっては世界を脅かす「五号級」に分類される。
メタ的には、「タクティカル祓魔師」世界観における主要な「敵性の存在」として設定されている総合的な概念と言える。
「特定の条件を満たした人間の体内に釘を出現させる空間」や「現世に存在しない粒子で身体が構成された、全長30mの巨大なムカデ型の怪物」など、表現したい創作内容に応じてバリエーション豊かな設定を自由に作ることが可能。
界異(かいい)
「境界異常」の略称。民間では主にこちらの表現が用いられる。
2024年12月時点では、「境界異常によって出現する超常的存在」を特に指して用いられることの多い語となっている。
すなわち、「幽世から現世に出現した、超常的な力を持つ怪物」というニュアンスでこの単語がよく使われている。
「強大な力を持つ界異に対し、組織力と連携戦術で戦う祓魔師の集団」というフォーマットは、どのカノンでもよく使われる定番展開と言える。
「界異」に対して物理的な攻撃手段は意味を成さず、祓魔の要素を持つ儀式的な手段や特殊な製造工程によって作られた祭具でしか干渉することができない。したがって、界異は祓魔師が直接戦闘を繰り広げる相手となる。
その名称が「怪異」の捩りであるためか、メタ的にはオカルト伝奇創作における「妖怪」のような位置づけとして親しまれている。
例:一号級界異《黒百足》 二号級界異《鬼種》
儀式技術
人類が培ってきた、邪を祓い場を清めるノウハウ。
またそれらによって超自然的現象を起こす手法の総称。儀術とも。
いわゆる「清めの儀式」とか「お祓い」が該当するが、「タクティカル祓魔師」世界観においてはこれらの儀式の中核を成す要素を科学技術と組み合わせ、誰にでも使える道具にしてしまうことが多い。このような道具を後述の"祭具"と呼ぶ。
メタ的には「それっぽいオカルトメソッドや伝統的な儀式を、現代的にアレンジしてキャラクターの攻撃手段や能力のネタにしているもの」という感じ。
例:
「塩を撒いて場を清める儀式」→「大粒結晶塩を詰めたショットシェルによる面制圧祓魔散弾」
「弓の弦を鳴らして魔を祓う儀式」→「"弓体"と"弦"と"音響指向器"を組み合わせた、不可視の矢を放つコンパウンド梓弓」
「術者の名を伏せ、呪いから遠ざける儀式」→「使用者の秘匿を行い、アクティブステルス効果を発生させる携行装置」
祭具
境界異常に対抗するために作られた装備や道具の類、その総称。
幽世から現世に漏出する穢れから身を守ったり、界異に対して直接的な攻撃を加えて祓うために使われる。
先述の儀式技術に則って設計・製造されており、創作者は自分や他ユーザの考案した儀式技術設定に基づいて数多くのアイテムを創作することができる。
メタ的には儀式技術に並び「それっぽいオカルトメソッドや儀式を、現代的な装備の形にしたもの」という感じ。
儀式技術に比べてSFガジェット的な要素が強く、創作者が「自分のキャラクター専用の祭具」を考案する場合も多い。
例:
・穢れそのものを鍛えた刃(ブレード)状祭具:『黒不浄』
・製造工程で浄化作用を持たせた鋼鉄製の杭:『祓串(ペグ)』
・強化繊維と護符を多層的に編み込んだ祓魔師達のユニフォーム:『狩衣(ジャケット)』
創作ガイドライン
タクティカル祓魔師創作ガイド>注意事項に掲載された内容を要約すると、下記の通り。
コア設定に立脚した設定を持つ創作物であること
「コア設定」は「コア祭具」と「コア用語」から構成され、作中用いられる各種ガジェットや現象、組織などを規定する。
これは、誤解を恐れずに表現すれば「コア設定にさえ準拠していれば、他ユーザの設定を一切知らなくても/使用しなくても"タクティカル祓魔師"作品となる」ことを意味する。
これは「新規参入者にもわかりやすい企画づくり」であるために設けられたルールである。
前提となる情報を絞ることで「とりあえずコア設定だけ読んで企画に参加する」ことで参加ハードルを一定に保つ狙いがあるとのこと。
作品形式/投稿場所は問わない
小説、イラスト、動画、音楽、3Dモデルなど、作品形式を問わずあらゆる創作活動を歓迎する
また、投稿場所についてもハーメルンなどの小説投稿サイト、pixivなどのイラスト投稿サイト、Youtubeやニコニコ動画などの動画投稿サイト、noteなどの総合メディアプラットフォームといったように投稿場所も問わない
ただし、投稿場所として使用するサイトの規約に抵触しないか確認すること。
(たとえば小説投稿サイト"カクヨム"は「二次創作小説の投稿」がNGであり、タクティカル祓魔師が二次創作に該当すると判断された場合のことを考え、幾つかの小説がハーメルンに移行した経緯がある)
創作活動/相互交流に当たってはモラルを念頭に
タクティカル祓魔師では「作り手の数だけ正解がある」というスタンスを採用している。
コア設定すら大雑把な指標であり、絶対的な正解ではないという考え方がなされている。
他創作者に「その設定・解釈・展開は正しくない」といった指摘は控えること。
詳しくは各種ガイドラインを参照のこと。
コア設定とカノン
コア設定とは、先述の通り「タクティカル祓魔師創作を、タクティカル祓魔師創作たらしめるための設定」を意味する。いわば、創作企画「タクティカル祓魔師」の世界観を形成する、根幹設定である。
これに付随して、タクティカル祓魔師創作企画においてはある程度のコンテクストを共有した世界観を"カノン※"と呼ぶ。
大雑把には、「その創作者独自の世界観設定群」を指す。
たとえば
・人型巨大メカを用いて界異と戦うための設定を追加したカノン
・コア設定から更に科学技術が発達しており、SF的要素の強いカノン
・儀式儀術を悪用する犯罪者と戦い逮捕する/儀式儀術を使うアウトローとなるクライムアクション的要素の強いカノン
など、創作者がやりたい設定を詰め込んだカノンを作成することが可能となる。
それぞれのカノンは、創作者双方の合意がない限り相互干渉しない。
詳しくは次項の「クロスオーバー」にて。
クロスオーバー
複数の創作者の合意の元、異なるカノン内の要素を共有して創作を行う行為を指す。
この時、クロスオーバー創作でおきた事象や設定などを、もともと所属しているカノンの設定にフィードバックするか否かは、それぞれのカノンの代表権利者によって判断されることに留意すること。
すなわち、このシステムは「他のカノンのキャラクターとのクロスオーバーで起きた出来事を、自分の元いたカノンの"正史"とするかどうかを自由に決められる」ということを意味している。
特撮クラスタには「望むなら『春映画』にもできる」という言い方で伝わるか。
主な遊び方
「タクティカル祓魔師」はあらゆる創作活動を歓迎している(wikiより)。
イラストや小説だけでなく、自由な発想で様々な形式での創作を行い、作中世界を広げていただきたい。
「タクティカル祓魔師ってなんだよwiki」への作品登録条件は、それぞれの項目を参照されたし。
イラスト
創作したキャラクターや界異、祭具のイラストを描いたもの。
登録条件は下記の通り。
・固有のタイトル(表題)がある
・pixivやGyazoなどの画像投稿サイトに投稿されている
・登録者自身が作成し、権利を持つ作品である(メーカー等は不可)
・権利者が許諾している場合はファンアート等も可
小説・設定メモ
キャラクターや事件簿といった「タクティカル祓魔師」世界観で起きたイベントを、小説形式で書いたもの。
登録条件は下記の通り。
・固有のタイトル(表題)がある
・文字数が1400文字以上ある
・pixivやハーメルンなどの小説投稿サイトに投稿されている
・登録者自身が権利を持つ作品である
wikiへの登録
上述の登録条件を満たす作品を「タクティカル祓魔師ってなんだよwiki」に登録することができる。
wikiには個別の作品ページがあり、権利表記や連絡先(SNSアカウント)などを記載することでユーザ間の交流創作を促進する狙いがある。
クロスオーバーや合作、複数人による共有カノンの立ち上げなどに活用されたい。
タクティカル祓魔師TRPG
タクティカル祓魔師の二次創作として、「タクティカル祓魔師TRPG」が発表されている。
これはクリエイターユニット兼オンライン・パルプノベルマガジン出版局の「ダイハードテイルズ」から提供されている、「ソウルワイヤードTRPGフレームワーク」を使用したものであり、各種のルールはnote上で無料公開されている。
キャラクターの能力値、装備した祭具、スクエアマップを利用した戦術的な作戦行動を体験することが可能。