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原子力発電の編集履歴

2020-07-26 13:16:42 バージョン

原子力発電

げんしりょくはつでん

核反応によって最終的に生ずる熱を利用して発電する方法。現在は技術面の制約により核分裂を使用したものしか実現できていない。

原子炉で核反応を起こし、その際に生ずるエネルギーが最終的にとなる事を利用し、この熱で高温高圧の蒸気を作り、タービンを回して発電する。出力が非常に大きい反面、巨大な冷却設備や核反応の際に生ずる放射線の防護(特に貫通力と生体への害共に大きい中性子線)が必要となり、施設が非常に大掛かりとなる。


冷却方式の違いで改良型沸騰式と加圧式の二種類に大別し、世代区分は最初期の物が第二世代、最新型は第三世++世代となる。最新型になるほど熱効率が上がり安全装置が多重冗長化され強度も向上し安全となる。

出力変動を行うと原子炉等にダメージを与えるため定格熱出力一定運転が必須で少量の燃料から大きなエネルギーを得られるのが特徴。(米粒程度の燃料から家庭一年間分のエネルギーを抽出出来る。)

巨大な冷却設備や核反応の際に生ずる放射線の防護(特に貫通力と生体への害共に大きい中性子線)が必要となり、施設が非常に大掛かりとなる。


略すと「原発」となるが、発電方法としてではなく発電施設の意味として「原発」の語は使われる。

商用発電用の原子炉としては八割以上が軽水炉であり原発=軽水炉と捉えて問題ない。


また、原子炉は実験炉→原型炉→実用炉→商用炉という段階を経て完成度を高めて行くため、原型炉であるもんじゅ等は発電能力を有していても原発としてはカウントされない。


管理について



また、使用済みの燃料は有害な高レベル放射性廃棄物となるため、その管理も必要となる。世界の原子炉の二割以下ではあるが黒鉛炉など使用済み燃料が核兵器の材料となる炉も存在する。

この場合、この炉を採用した原発は単なる発電施設としてではなく核兵器製造施設として戦略目標と設定される事がある。(例バビロン作戦)


日本は放射線研究や実験炉以外は基本的に過早爆発現象により爆縮不可能であるため核爆発を生じず燃料や廃棄物が核兵器に転用出来ないため戦略目標となりにくい軽水炉が殆どである。


現在

事故の危険性や放射性廃棄物の問題、テロの対象になりやすいとよく議論となり、世界各地で古くから原子力反対運動が盛んに行われてきた。

しかしながら、原子炉の発明以来原子力がテロの標的になった事例はない。まずテロは大衆施設や政治的要所を狙うので僻地に存在する原発を狙う意味が無いうえに不可能だからである。


現実として、原子炉の破壊に必要な火力は1t以上の大型爆弾が数発以上であり戦闘攻撃機が部隊レベルで必要である。

自衛隊のシミュレーションでは大型戦闘機であるF-15に燃料を満載して特攻させても損傷軽微止まりであり原子力規制員会が提唱するハイジャックからの航空機の墜落で破壊しようと思えば大型旅客機を何機突撃させれば破壊出来るのか見当も付かず、そんなにハイジャックされるようでは原発側の施設云々以前の問題である。

(なお航空機はモノコック構造で中身は殆ど空洞なうえ主な構造材はアルミが殆どで燃料タンクやエンジンといった爆発部位は翼にあるため衝突した所で大した破壊力は見込めない、せいぜいが飛び散った燃料にへの引火からの熱損壊ぐらいである。)

よって原発の破壊には正規軍レベルの装備と作戦行動を必要としテロリスト程度の装備や人員では原子炉の破壊は物理的に不可能である。

また施設を占拠しても高温により化学反応がスタートして稼働する冷却機構や自然対流を用いた冷却機構等の物理的・機械的なセーフティが現在の原子炉には内蔵されておりもはや稼働してないような旧式の原子炉でなければ暴走すら不可能であり、現状原発を狙ったテロはsf等の空想の中だけの出来事である。

かつて、オウム真理教が核テロを目論んだが精密に制御された爆発である核爆発の技術的難易度が高すぎて挫折しサリンを使った毒ガステロへ方針を変えた。

毒ガスの方がお手軽なのである。


日本においては特に大地震による大事故の危険が一部の原子炉で指摘されており、それは福島第一原子力発電所事故で現実になった。(なおチェルノブイリ原発事故がよく引き合いに出されるが類似点は無い)沸騰水型と加圧水型の違いはあるが、同じく軽水炉で発生したスリーマイル原発事故が一番酷似している。


この事故の主だった原因は4つ

・事故炉(GE社製MArKー1)が黎明期の第二世代原子炉である上に小型炉であり圧力容器の容積が少なく、ポンプ・電源などの主要設備・安全装置が原子炉外に設置されている構造的脆弱性。(現行炉はこれらは内蔵式と外部式の両方を採用となっている。)

・開発メーカーの意向で施工がハリケーン対策の物が採用され予備電源やポンプが地下埋設であっため津波に対して脆弱性を持っていた。

・東電の杜撰極まる安全・延命措置(予備電源車両が60両以上あったのにも関わらず1台以外全て電圧不適合で使用不能等)

・上記をまともに監査せず稼働延長を認可した政権。(菅直人政権時)


現行の原子炉では設計段階で全て払拭されているものの、この事故の影響もあって欧米を始め欧米日で各原子炉の構造や世代を無視して一律に原子力発電の安全対策基準が大幅に引き上げられ安全管理コストが高騰。原発の稼動や導入を取りやめる動きが相次いだ。米国の原子炉メーカーウェスティングハウスの経営破綻の余波で親会社の東芝も経営危機に陥り、大幅なリストラを余儀なくされた。フランスの原子力複合企業アレヴァも経営危機に陥り、出資していた日立と三菱重工業の経営にも影響が出た。2010年代時点では、太陽光発電や風力発電、シェールガスのような代替エネルギーの成長もあって、原子力産業の将来性自体に疑問符がついている(日米欧では)状態である。


これらは恒常電源に分類されない発電方式であるため常時火力発電をスタンバイさせ追従発電の準備をしなくてはいけないため火力依存度が劇的に上がるほか気候によっては電気代が数倍変動するケースもありライフラインとしての恒常性や安定性に支障を来す。(例、ドイツ・イタリア等)


事実、北海道震災では火力発電所が地震により故障、電力需要を供給出来なくなり周波数の低下(簡単に言うと発電機が重くなり回転数が落ちる現象)が生じ大規模停電(ブラックアウト)へと繋がった。

この時、北海道の泊原発が一基でも稼働していればブラックアウトは防げたのは双方の供給電力のW数を比較すれば一目瞭然である。

更に、3.11後に全原発を停止させた日本に諸外国が化石燃料の単価を引き上げた事から分かるように外交・貿易上の不利となり、最悪に至れば戦争となる。(例、大東亜戦争)


また、欧米日本を除く世界規模でみればインド・ロシア・中国・中東などの国で続々と建設されておりその数は増え続けている。

日本でも敦賀発電所や島根発電所では第3++世代原子炉を建造中である。



なお、一部の人間が原発が稼働していれば周波数が上がり過ぎて爆発していたと主張しているが完全なデマである。

余談、ドイツでは完全に脱原発を行った結果、大気汚染が深刻化し年間1100程度が呼吸障害で死亡、稼働により捻出出来ていたはずの廃炉費用数千億ドルの赤字出る試算が出ており安易な脱原発は経済・健康的な死者を出す恐れが非常に高い。


将来

主に二種類が想定されており、一つは核分裂炉の進化で中性子減速を行わず消費する以上の核燃料を生成出来る高速増殖炉であり、第四世代原子炉とも呼ばれる。

もんじゅ、常陽はこれの試作炉である。成功すれば現在の5%使えていないエネルギーを60%まで活用可能になると言われている。


原型炉であったもんじゅは冷却材である液体金属ナトリウムの化学的特性から発火性が極めて高く透明ではないため監視に難があり安定運用には至らなかった、このため冷却材を別の素材に変えるか何らかの技術革新が必用である。近年、ロシアで実用化の目処がたったらしい。

また燃料が核兵器の燃料にもなるため此方の警備もまた課題である。


原理からして全く異なるが軽い原子の核が高圧高温状態にてクーロン力を打ち破り融合する際に生じる高速粒子等を活用した核融合炉がある。

核融合炉が実用炉として稼動できるようになれば、現在の原子力発電より大きな電力(核分裂の4.5倍、石油の八千万倍)を生み、また核分裂と違い負のスペクトルを持たないため事故の際は反応条件を満たせず自然停止しする。

現在想定されているのは重水素と三重水素(トリチウム)を反応させる方式だが、これは放射される高速線が中性子であるため構造材が放射化(放射汚染)されるがそれでも低レベル止まりであり高レベル放射性物質を生じないという特徴をもつ。

令和2年4月22日、日本にて実験炉JT-60SAが完成、各種設備の動作点検後の秋ごろから試運転を開始する。


なお、ガンダムの動力として設定されている核融合は重水素とヘリウム3を反応させる形式の場合は放射される高速粒子が荷電粒子であるため放射化は生じない。また、荷電粒子線はそのまま電力に出来るのでタービンも不要。


日本の原子力発電所一覧

電力会社発電所所在地
北海道電力泊原子力発電所北海道泊村
東北電力東通原子力発電所※青森県東通村
女川原子力発電所宮城県女川町
東京電力福島第二原子力発電所福島県楢葉町
柏崎刈羽原子力発電所新潟県柏崎市・刈羽村
中部電力浜岡原子力発電所静岡県御前崎市
北陸電力志賀原子力発電所石川県志賀町
関西電力大飯原子力発電所福井県おおい町
美浜原子力発電所福井県美浜町
高浜原子力発電所福井県高浜町
中国電力島根原子力発電所島根県松江市
四国電力伊方原子力発電所愛媛県伊方町
九州電力玄海原子力発電所佐賀県玄海町
川内原子力発電所鹿児島県薩摩川内市
日本原子力発電東海第二原子力発電所茨城県東海村
敦賀原子力発電所福井県敦賀市

※:東京電力と敷地を共有している。


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