すつうを みぞの のろここ のたなあ くなはで おか のたなあ はしたわ
概要
ハリー・ポッターシリーズ、及びファンタスティック・ビーストシリーズに登場する魔法道具。
「みぞの(Erised)」を逆さに読むと「のぞみ(Desire『欲望、願望』)」となる通り、鏡の前に立つ者の心の奥深くにある、最も切なる望みを映し出す鏡である。
鏡の意匠
天井まで届くような背の高い見事な鏡で、金の装飾豊かな枠には二本の鈎爪状の脚がついている。
鏡の枠の上部に「Erised stra ehru oyt ube cafru oyt on wohsi」と文字が彫られている。
鏡の名前同様、この文字を逆さにすると「ishow no tyo urfac ebu tyo urhe arts desire」、文字の区切りなどを調整すると「I show not your face but your heart's desire」(私は あなたの 顔 ではなく あなたの 心の のぞみ をうつす)となる。
鏡の性能
上述に記された文字が示す通り、この鏡は鏡の前に立つ者の心の奥深くにある最も切なる望みを映し出す。
両親を早くに亡くし非魔法族のおば一家から虐待を受けていた孤児のハリー・ポッターには死んだはずの両親と祖父母たち親族に囲まれた姿が映し出された。
一方で、優秀な兄たちに劣等感を抱くロン・ウィーズリーは兄たちが果たした功績である主席およびクィディッチチームのキャプテンになる自分の姿が映し出された。
挫折や喪失感を経験した多くの魔法使い、魔女たちはこの鏡の虜になってしまい、身を滅ぼしていった。
事実、ハリーはこの鏡の虜になり、毎晩鏡の元へと忍び込み、日中は終始ぼんやりし、食欲も失った。
ダンブルドア曰く「この世で一番幸せな人には、この鏡は普通の鏡になる。その人が鏡を見ると、そのまんまの姿が映るんじゃ」とあるが、真偽のほどは不明。
鏡が見せるのはあくまで対象者の一番強い『のぞみ』であり、それ以上でも以下でもなく、知識や真実を示してくれるものではない。
多くの者たちが鏡が映すものが現実のものないし実現可能なものなのか判断できなくなって疲弊をし、鏡に映る姿に魅入られ、発狂していった正に魔の鏡。
ダンブルドアが夢に耽って生きることを忘れてしまうのはよくないと忠告するように、この鏡は完全なる現実逃避である。
魔法ワールドにおける鏡
魔法ワールドにおける一般的な鏡は鏡を見るものに語り掛けるものが多く、鏡に映る者に対して身なりを整えるように注意したり、癖毛を直そうと奮闘する者に諦めろと諭したり、思い悩む者に励ましの言葉を送ったりする。
みぞの鏡以外で代表的な鏡
一般的な鏡と異なりこれらの鏡はみぞの鏡同様に鏡自体は喋らない。
敵鏡 |
---|
第四巻「炎のゴブレット」に登場。
アラスター・ムーディが所有している鏡で、持ち主の敵を探知する機能がついている。
敵を認識して最初はぼやけていた姿形が徐々に明瞭になっていく状況が描かれている。
しかし、このムーディの正体はポリジュース薬で変装していたバーテミウス・クラウチ・ジュニアであり、鏡が映し出したのは囚われていたムーディ自身だったため鏡の前に立つ者、ないし、鏡を一定期間保有していたものを持ち主と認識すると考えられる。
両面鏡 |
---|
第五巻「不死鳥の騎士団」に登場。
シリウス・ブラックが所有していた鏡で、クリスマス休暇を終えたハリーがホグワーツに戻る時にシリウスがハリーに手渡したも。
所謂携帯電話のようなもので、ハリーとシリウスとで対の鏡をそれぞれ一枚持ち、一方が鏡に向かって名前を呼ぶと鏡に相手が移り、互いに会話をすることが可能。
シリウスはジェームズ・ポッターと別々に罰則を受けていた際もこの鏡で連絡を取り合っていた。
シリウスの死後、ダンブルドアによってもう片方の鏡を弟のアバーフォース・ダンブルドアに預けており、ハリーたちが危機に陥った時に屋敷しもべ妖精のドビーを彼らの元へと送った。
作中の活躍
ハリー・ポッターシリーズ第一巻、「賢者の石」において初登場。
孤児のハリー・ポッターは鏡に映し出される両親恋しさからこの鏡の虜になってしまうが、アルバス・ダンブルドアに諭され、鏡は別の場所へと隠される。
そして賢者の石を使って復活を目論むヴォルデモートから石を護る最後の砦としてこの鏡が設置されており、ダンブルドアは賢者の石を求めても使おうとしない者のポケットの中に納まるよう魔法を施していた。
ファンタスティック・ビーストシリーズ第二弾、「黒い魔法使いの誕生」にも登場。
ダンブルドアはこの鏡を通じてかつての友であったゲラート・グリンデルバルドの姿を見ていた。