解説
波動エンジンと同じ次元波動理論を応用した防御システム。いわゆるバリアである。
基本的には不可視だが、被弾時や出力増強時には水色の幕が目視できる。艦体を表面に纏うような形で展開されるのが主だが、楕円球状に展開されることもある。展開範囲は任意で変化させられるようで、特定方向に集中展開して防御力を上げることや、こちらの攻撃時に射線上だけ防壁に穴を空けるという芸当も可能。
その防御性能は折り紙付きで、十数発の陽電子ビームを難なく防ぎ、一都市を丸ごと吹き飛ばすほどの威力を持つ惑星間弾道弾の爆発に巻き込まれても無傷であった。
もちろん弱点もあり、まず20分しか連続展開できないという時間制限がある。さらに耐圧限界点も存在し、これを超えると防壁は貫通されてしまう。たとえ貫通されない威力の攻撃でも連続で受け続けると被弾経始圧が次第に低下し、やがて限界点を超えてしまう。
制御コンバーターはヤマトで最も危険な場所とされる第三艦橋に置かれている。なぜそこに置いたし。
防壁発振システムは煙突部に存在し、防壁の電磁波的なものが煙突と第三艦橋のあいだで磁力線のように結ばれているのではないかとデザイン担当の玉盛順一朗が解釈を述べている。この解釈から第三艦橋と煙突それぞれの近くは特に防御力が高く、アンテナマストなどの脆そうな装備が集中的に配置されていることの理由付けとしている。一見危険に思える艦長室も意外と守られているとのこと。また、煙突部以外にも防壁展開用の「波動コイル」というものが艦体の各所に設置されている。
ちなみに喫水線より上側は甲型、下側が乙型と種類が違うらしい。どう違うのかは不明だが。
原理についてはかなり謎が多いのだが、『2199』の科学考証担当の半田利弘は量子力学を応用しているのではないかと考察している。ヤマト周囲の量子力学的な性質を変化させて、敵の攻撃の威力を確率的に回避しているとのこと(あくまでも考察であって設定ではないので注意)。
搭載例
代表例としては宇宙戦艦ヤマトが装備しているものが挙げられる。
単艦のヤマトがガミラスの大艦隊の猛攻を潜り抜け16万8千光年の大航海を成し遂げるために重要な役目を担っている。もし波動防壁が無かったら、惑星間弾道弾・反射衛星砲・ドメルの自爆と最低でも3回は確実に沈む機会があった(それ以外にもカレル163でのドメルとの初戦や、ガトランティスの火焔直撃砲でも沈んでいた可能性が高い。なお意外だがサレザー星系でデスラー砲が掠った時は防壁を使っていない)。
『宇宙戦艦ヤマト2202』では地球艦の標準装備になっており、アンドロメダのものはヤマトよりも被弾経始率も展開時間も向上している。
本作でも地味ながら地球艦隊の戦闘を支えており、40隻しかいないエンケラドゥス守備隊が数百隻のカラクルム級の十字砲火にしばらく持ちこたえることができたのも波動防壁のおかげである。
また、波動実験艦銀河が搭載しているコスモリバースシステムを応用による波動コアの共鳴現象で周囲のドレッドノート級の防壁をさらに強化する場面もある。
ちなみに新型艦はもれなく装備しているが、旧型改装艦については諸説あり、当初は村雨改型の解説に装備しているという一文があったが、金剛改型は改Ⅱでのエンジン出力向上によりようやく装備できたとされている(ヤマト2202新聞3より)。別艦級なので一応矛盾にはならないが、村雨改型だけ装備しているというのも違和感のある話なので、途中で設定が変更された可能性はある。
ガミラスでは「ゲシュ=タムフィールド」と呼称されており、存在自体はしているようだが、戦闘艦への搭載例は見られない(代わりに「ミゴヴェザーコーティング」という対ビーム用コーティングを施しているが、防ぎきれるのは旧式地球艦の主砲程度で、防御力はそこまで向上しない)。
対抗手段
上記の通り耐圧限界があるので、多数の艦で滅多打ちにしてやればそのうち破れる。強力な攻撃なら一撃で突破することもでき、実際冥王星でガミラスの反射衛星砲を受けた際は貫通され、ガトランティスの火焔直撃砲を受けた際は直撃でないにも関わらず防壁を少し貫通して軽微ながら損傷した。
また、時間制限の都合から常時展開しておくことができないので、七色星団海戦では物質転送機による航空奇襲攻撃により防壁展開前に被弾してしまい、さらに制御コンバーターが損傷して防壁自体が展開できなくされたこともある。
ガトランティスの自滅型攻撃艦イーターⅠは波動防壁中和システムを有し、防壁をたやすく貫通することができる。これにより大艦隊の猛攻をなんとか耐えていたエンケラドゥス守備隊は瞬く間に壊滅の憂き目にあっている。
関連タグ
空間磁力メッキ - リメイク前に存在した防御システム。あらゆるビームを反射するというチート装備である。