概要
SCEIより2004年12月12日に発売された家庭用携帯ゲーム機で、略称は「PSP」。
4.3インチの液晶ディスプレイとアナログパッドを搭載し、メモリースティック PRO DuoやUSB接続によるデータのやり取り、音楽・動画・静止画の再生、システムソフトウェアアップデートによる機能の追加などを特徴とする。
バッテリーはユーザーで交換可能。
当時現役の据え置きハードだったPS2に匹敵するほどのグラフィックと、携帯ゲーム機としては異例の光ディスク「UMD」を採用するなど当時の携帯ゲーム機としては破格のスペックを誇り、当時の据え置きゲーム機と大差ないクオリティのゲームを多数輩出してきた。
PCやPS3等から動画・音楽等を格納して出先で再生することができるというポータブルメディアプレイヤー機能を有する。特にPS3との連携機能は優秀で一部のソフトはリモートプレイに対応する。
なお、2014年6月中にPSPの製造・出荷が終了する事が発表され、PlayStation StoreにおけるPSP専用のダウンロード専売ソフトやゲームアーカイブス、DLC等の各種コンテンツの販売、およびUMD Passportのサービスは2016年3月31日をもって終了となった(ただし、PSPでも利用可能な共通コンテンツはプレイステーション・ヴィータやPS3、パソコン、モバイルから購入してPSPへ転送する事が可能)。
2019年4月24日にPSP-3000のアフターサービスが補修部品の在庫が無くなり次第終了すると発表した。
これにより、PSPシリーズのアフターサービスは完全に終了する事となる。
仕様
CPU | MIPS R4000カスタム | |
---|---|---|
GPU | CPU内蔵デュアルコア | |
メモリ | 1000:32MB 2000・3000:64MB | 2000・3000の拡張されたメモリはUMDのキャッシュに使われる |
メディア | UMD 1.8GB(2層) | ゲームによって1層と2層かが異なる。 |
ストレージ | メモリースティック Duo・メモリースティック マイクロ(PSPgo) | 最大16GBまで対応。 |
ディスプレイ | 480×272ピクセル ASV液晶 | 3000は画質が向上している |
- PSP-1000
初代PSP。重量は約280g (バッテリーを含む)。
発売当初は□ボタンや方向キーの操作性が悪い、UMDドライブの噛み合いが悪く大きな力をかけるとUMDディスクカバーが開いてしまう不具合があった。
ディスクカバーが開き、UMDが飛び出す現象は大いにネタにされ、一部でFlashコンテンツまで作られたほどだったがこれは、実は、捏造でありPSP本体を逆さにしていたのを録画して動画を飛び出しているように編集していた悪質なデマだった。
そして、当時のSCE社長、数々の迷言を残した久夛良木社長のコメント、
「これが、私が考えたデザインだ。使い勝手についていろいろ言う人もいるかもしれない。
それは対応するゲームソフトを作る会社や購入者が、この仕様に合わせてもらうしかない。
使用する液晶画面はこれ以上小さくしたくないし、PSP本体もこれ以上大きくしたくなかった。
ボタン位置も狙ったもの。それが仕様。
これは僕が作ったもので、そういう仕様にしている。
明確な意思を持っているのであって、間違ったわけではない。
世界で一番美しいものを作ったと思う。
著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖をつける人はいない。
それと同じこと。」
最終的にハリウッドの爆破シーン並みの大炎上を引き起こし、SCEは無償修理を行う結果になった。
この一件で(元々そういう傾向はあったが)ソニーのゲーム機の初期型は一際ユーザーから警戒されてしまう事態となってしまう。(後継のVitaでも初期型で不具合が発生する事態になってしまったが)
- PSP-2000
2007年9月20日発売。PSP-1000から軽量・薄型化されて重量は約189g。
別売りの専用ケーブルを使うことでプログレッシブ対応テレビへの画面出力が可能。ワンセグチューナー、Skype対応。
メインメモリが拡張されてゲームのロード時間の短縮が可能になった。
上記した不具合は概ね改善されており、またUMDドライブのロックスイッチが廃止され、手動開閉式になる。
軽量化に伴ってバッテリーも容量の小さいものに変更されたが、大型バッテリーの取り付けも可能でそれに対応した裏蓋も別売りされている。
マイナーチェンジとして、カスタムファームウェアと呼ばれる改造ファームウェアを導入できないようにハードウェアレベルで対策が施されている。
- PSP-3000
2008年10月16日発売。液晶画面のコントラスト・応答速度・輝度などが上昇。
マイク内蔵によりヘッドホンが無くてもSkypeが可能。
ゲームのテレビ出力機能が非プログレッシブのテレビにも対応。
(殆どのテレビで画面出力が可能)
- PSP-E1000
2011年に欧州限定で販売された廉価版。ファームウェアは独自のものが採用されている。
本体サイズはPSP-1000に匹敵、本体下部のボタンの素材・形状に変更。スピーカーも左上のみ。
メモリカードスロットが上部に移動しており、スロットの蓋が無くなった。
背面そのものが丸ごと開く構造に変更されており、UMDドライブとバッテリーが並んだ形となる。
無線LANやWi-Fiなどの一部の機能が廃止されている。
価格や機能的な意味では下記のgoとは対極的な存在となる。
- PSP go
詳細はPSPgoを参照。
UMD
携帯ゲーム機で初めて光ディスクを採用し、なおかつ独自メディアであるこのUMD(ユニバーサル・メディア・ディスク)はゲームだけではなく映像メディアや音楽メディアとしても使用できる事を目的として開発された。映像作品はUMD-VIDEOとしてリリースされた事がある。
MD(ミニディスク)と似てはいるが、仕様は異なり互換性はない。また、コピー防止も視野に入れているのかCD-RやDVD-Rのような書き込みできるディスクは存在せず、プレスは全てソニーが管理していた。
仕様としてはDVDに似ており、DVDと同じく赤色レーザーで読み取る。
容量は1層で0.9GB、2層で1.8GBとなっている。光ディスク故に読み込み速度に弱点があり、ソフトによってはメモリースティックにデータをインストールして読み込み時間の短縮ができるようになっている。
このインストール容量も相当に差があり、500MB以上使用するタイトルもあれば無双OROCHI2 Specialのように10MB未満と破格の低容量の場合もある。
一部のタイトルではUMDの記録容量だけではゲーム内容を収めきれず、最初からメディアインストールを当て込んでインストール用の圧縮データのみを記録した『2枚目のUMD』をつけたUMD2枚組のソフトまであった程である。
当時としては大容量かつ安価なメディアだったUMDだが、半導体メディアの低価格化と大容量化が進むにつれUMDの優位性が薄くなって来たため、後継のプレイステーション・ヴィータではUMDを切って半導体メディアを採用することになった。
UMDを採用したデバイスはPSPが最初で最後となってしまった。
その他
発売前に、ソニーのイベントの場で当初PSPの販売価格等を発表する予定があったとされていたが、なんとその日の際どいタイミングでライバルの任天堂が突如「ニンテンドーDS」の価格と発売日の発表をぶつけてきた事で、ソニー関係者は慌ててその日の発表を取り止めて計画を見直す羽目にあったらしい。実際に17分程開始が遅れており、ソニー側は「交通事情で遅れた」としていたがおそらくは思わぬ情報の奇襲に驚いたとされている。
また、当の任天堂はゲームボーイアドバンスのモデルチェンジ機種であるゲームボーイアドバンスSPを出してまだ日が浅かった為、そもそもソニー側はまだ任天堂は新型携帯ゲーム機を出してこないと推測していたらしく、逆に任天堂はソニーが携帯ゲーム機に乗り込んで来る事を見越していたとも言われている。
本機は発売から少し経過した頃から内部のソフトウェアを書き換える改造行為が横行し、その手法が雑誌にまで取り上げられる程であった(このせいで余計に広まり、失敗してPSPが文鎮化するというのもお約束だった)。
その手法も多岐に渡り、プログラムのセキュリティホールを突いたものから、特殊な仕様を施したバッテリーを使って簡単に行えるものなど様々。改造に成功すると、ソニーが承認していない自作プログラムやPSPのゲームのコピー起動が可能となる。
中には一回改造を行っても電源を切ると通常の仕様に戻り、正規ソフトウェアと判断させてPSNの利用が普通に可能なバージョンも存在する。
ソニーによるシステムソフトウェアの対策だけでは追いつかず(バージョンアップの頻度がやたら多かった理由の一部はこの対策が占めている)、ソフトを開発するメーカー側でも様々な対策をプログラムに組み込むほど。
前述の通りハードウェアレベルでの対策も施されたが、あの手この手でセキュリティを突破されるいたちごっこが続き、結局これらを撲滅するには至らず、現在ではアップデータの更新が長らく止まっている事もあって完全にやりたい放題となり、不正対策を半ば諦めたような状態である。
そして皮肉にも、コピーソフトウェアがきっかけで、かつては@baraiなどの小規模に留まっていたゲームソフトのダウンロード配信が本格化するに至った。
※余談だが、その後PS3やWiiでも似たような問題は起きている。
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プレイステーション・ヴィータ - 後継機。