概要
1997年にソニーが発表したメモリカード。当時シェア争いをしていたスマートメディアやコンパクトフラッシュがパソコン周辺機器向けであったのに対し、メモリースティックは情報家電機器向けに設計・開発された。そのため、形状は持ちやすさを考慮し板ガム位の大きさの形状にし、電極は指などが触れないように溝が深く設けられ、表と裏を見なくとも区別できるように触り心地で判るようになっている。著作権保護機能にはソニー独自のMagicGateが採用されている。
2000年頃からSDカードとの競争で苦戦を強いられることとなり、売り上げで大きく水をあけられることとなる。その後、SDカードとの共存を目指す方向へ販売戦略を変更していたが、ソニー製品では保守用途(?)のためか対応こそしているものの、実質的にほとんど廃れている。
メディアの寸法規格や容量、アクセス規格の拡張については下のとおり
メディア寸法
標準サイズ(21.5mm×50mm×2.8mm)
1997年の発表当時から存在する寸法規格であるが、最近の新規製品では殆ど使われていない。メモリースティックPro-HGにはこの寸法のものはない。一応アダプタを介することで以下のものを使うことも可能。
Duoサイズ(20mm×31mm×1.6mm)
携帯音楽プレーヤーなどの小型機器での用途向けに、長さを短くして小型化した寸法規格。2000年に発表。この寸法がメモリースティックの事実上の標準寸法となっており、現在でもソニー直営オンラインストアでの取り扱いがある。
M2サイズ(12.5mm×15mm×1.2mm)
携帯電話などの用途向けに更に小型化した規格。標準サイズやDuoサイズと異なり、機器に挿しっぱなしの使用を前提としている。2005年発表。PSPGoの記録メディアとしても採用され、変換アダプタを使う事でDuoサイズとして利用可能。
アクセス規格
メモリースティック標準
独自のシリアルプロトコルを採用した通信。アクセス速度は読み出しが最大1.5Mbit/s、書き込みが最大2.45Mbit/sとなっており、容量は128MBまで。そのため、256MBのカードではカード裏側のスイッチで切り替える128MB×2という苦肉の策となっていた。
メモリースティックPro
2003年に発表された上位規格。初期の規格では128MBが上限だったのに対しファイルシステムにFAT32を採用し、最大容量を32GBまで拡張、転送速度向上のため4bitパラレル転送を採用し、更に最低でも15Mbit/sの転送速度を確保している、更にシステムファイル領域を用意し、アクセス中に突然メディアが抜かれてもデータ喪失が最小限に抑えられるようになっている。またMagicGate機能は標準装備となっている。
標準規格のものもこの規格が発表された数ヶ月後に4bitパラレル転送の対応とMagicGate標準対応化がされた。
プレイステーション・ポータブルでは各種データの記録・読み出しにはこのタイプのメモリースティックが必須のため、一時は需要が高かった。
メモリースティックPro-HG
2006年に発表された規格。転送速度を更に向上させるためにデータ線である3番、4番、5番、7番ピンを長さ方向に2分割し8bitパラレル転送の対応と従来機器の互換を確保している。規格上の最大書き込み速度は480Mbit/sとなっており、また最低書き込み速度は8bitパラレル時120Mbit/s、4ビットパラレルアクセス時は40Mbit/sとなっている。
その他
SDカードバスを使用したI/O規格であるSDIO同様にメモリスティックにもメモリスティックI/O拡張モジュールという規格がある。
注意事項
元々規格を無視して作られているマイクロSDカード2枚をメモリスティックに変換するアダプタには粗悪品が多いため、オークションやユーザー出品などで購入の際には要注意。