概要
東芝が開発し、1995年から市販されたフラッシュメモリカード。正式名称はSSFDC(Solid State Floppy Disk Card 訳:半導体フロッピーディスクカード)というが、「スマートメディア」という商標からSM(Smart Media)と略されている。
フラッシュメモリチップに電極を付けて樹脂で封止しただけという単純極まりない構造により後発のメモリカードや当時シェアを争っていたコンパクトフラッシュと比べて非常に薄い。外形寸法は45.0mm×37.0mm×0.76mmである。また、対応している電圧(5Vと3.3V)により切り欠きの位置が異なり、電極面から見て左に切り欠きがあるものが5V用、右に切り欠きがあるものが3.3V用、5Vと3.3V両方対応しているものは左右両方とも切り欠きがある。3.3V品は3Vと表記されていることもあるが対応電圧は同じもの。書込み禁止機能があり、電極面の所定の場所(電極近くの○の部分)に付属のプロテクトシールを貼ると書込み禁止となる。
単純極まりない構造が価格面で有利とされていたが、その構造が逆に災いして互換性の問題や著作権管理機能の問題などを生み、廃れることとなった。
データ容量
黎明期に登場し廃れたカードなので現在の各種フラッシュメモリメディアのような大容量のものはない。
- 1997年・・・512kB(注:0.5MB)、2MB、4MB
- 1998年・・・16MB
- 1999年・・・32MB
- 2000年・・・64MB(著作権管理用ID付カードのみ)
- 2001年・・・128MB(著作権管理用ID付カードのみ)
浮上した主な問題点
さまざまな問題が浮上し、後発のSDカードやメモリースティックといったメモリカードに取って代わられた。
供給電圧の互換性
1997年に2MBのメディアが登場した際に電源電圧を3.3Vに変更、その後すぐに5V用スマートメディアの生産が終了してしまったため対応できない機器が続出した。
メモリアクセスの互換性
3.3V初期のメディア(2~8MB)と、後に発売された32MB以上のカードではアクセス方法に変更があり、小容量のメディアの生産も程なくして終了したため、再び対応できない機器が続出した。
著作権管理の問題
カードに128bitのIDを振ってあるだけでデータの著作権管理は機器やアプリケーション側で行わなければならない。
他のカードでは・・・
SDカードやメモリースティックなどでは電圧やデータ、その書き込み位置、通信方法、著作権管理制御、制御電圧変更、通信モード変更といったやり取りをカード内のコントロールICを介して通信しているため、規格変更をしても互換性が保たれるようにしてある。また、コンパクトフラッシュは元々PCカードATAから派生した規格であり派生元のIDE接続のハードディスクとアクセス方法は大して変わらないため、対応機器かメディアの設計が粗末でもない限り互換性の問題は発生しにくい。
こぼれ話
東芝製部品の型番を検索するとスマートメディアの型番はメモリICそのものだったりする。(末尾のパッケージ形状を現す略号が違うのみ)
任天堂のゲーム機にも採用され、ニンテンドウ64専用ソフト「マリオのふぉとぴー」やゲームボーイアドバンス用動画配信サービス「アドバンスムービー」などのデータ受け渡しに使われている。