お経
おきょう
仏教の聖典である「仏典」のうち、釈迦などの仏の説法を記したとされる「経典」のこと。
史実の釈迦本人に由来する部分があるとみられる「アーガマ」(パーリ語経典や漢訳阿含経として現存)と
大乗仏教運動で生み出されていった「大乗仏典」がある。
上座部仏教では「アーガマ」のみを仏説として認めている。
「大乗仏典」については、釈迦本人が説いたと考えるには不自然な点が複数存在する。
・同じ仏説なら部派仏教も伝承しているはず。
・観世音菩薩など大乗仏典にしか登場しない菩薩衆の存在。(菩薩が仏弟子と対話したり同席する記載がある以上、菩薩の存在が報告されないのは不自然)
・成立した(編纂された)年代がアーガマと大乗経典とではズレがある。
上記のような理由から大乗非仏説が唱えられている。
非仏説は大乗仏教発祥当時からあったようで、大乗仏教側は
「大乗仏典が捏造されるって釈尊は言ってない」「悟ってる人物が説いたのなら同じ」
「異教徒が捏造したという批判があるが、それにしては教えが高度」
「対煩用に役立つ」「言ってることが真実なので仏説」等の弁明を行ってきた。
説法場所を地球上ではない神話的な場所にしたり、説法相手を神々や菩薩衆に限定することで
アーガマや史実の釈迦像とあからさまには矛盾しない構造になっている仏典も一応ある。
大乗仏典の出所については、般若経典を竜宮にあったものとしたり、
金剛頂経などを南インドの鉄塔の内部に隠されていたのを取り出したとされたり、
ヒンドゥー教のヴェーダのように聖者によって感得されたものとしたり、
天台智顗の「五時八教」のようにガチで歴史上の釈迦が言ったことにする等、
様々な説明がなされてきた。