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水平対向エンジン

すいへいたいこうえんじん

水平対向エンジンとは、クランクシャフトを挟んでシリンダーを配置し、対になるピストンが向かい合うように上昇・下降を行うエンジンである。

概要

19世紀後半にカール・ベンツ(ベンツの創業者)が水平対向エンジンを発明した。

クランクシャフトの位相角は180°で、対の気筒同士が振動を打ち消しあう。

エンジンの形状は横に広く、基本的に平らなので、フラットエンジンともいわれる。

またピストンの動きがボクサーグローブを打ち合わせるところに似ているため、ボクサーエンジンともいわれている。

設計の自由度や燃焼効率、整備性などの面で不利が多いが、独特の味があるため車/バイクを趣味とする人々からは常に一定の支持を得ている。

種類

水平対向2気筒……2CVパブリカスポーツ800など初期の大衆車に用いられた。オートバイ用としては、BMW Rシリーズの代名詞。

水平対向4気筒……2020年現在スバルが国内向けに製造販売しているのは、OEMを除き全てこのレイアウトである。小型航空機でも広く使われる。過去においては大衆車に広く採用されており、フォルクスワーゲンのエンジンが有名(ビートルのエンジン)。

水平対向6気筒……スバルのEZ30やポルシェ911のエンジンは有名。ホンダが製造する一部の2輪に採用している。

水平対向8気筒……航空機のエンジンとしての採用例が多いが、自動車用としては現在製造されていない。

水平対向10気筒……後述する180°V型エンジンを別にすれば開発例はほとんど無い。

水平対向12気筒……かつてトップクラスのレーシングカーに多く搭載されていたエンジンで、スバルもF1にこの形式でエンジンメーカーとして参入していた。他に鉄道用・バス用ディーゼルエンジンとして採用例がある。なおこの記事のメイン画像もスバルが試作した12気筒エンジンである。

水平対向16気筒……開発された例は非常に稀。ポルシェのレース用エンジンが有名。

普及の状況

水平対向エンジンはエンジンの振動バランスと車体重量バランスに優れ、空冷形式との相性が良いため、過去にはメーカー問わず幅広く四輪の大衆車に採用され、気動車の床下に配置する目的で鉄道用に開発された事もあった。しかし現在では多くのメーカーは低コストかつ設計の自由度が高い(エンジンを横置きできる)並列エンジンに移行しており、製造しているのはポルシェスバルのみである。

特にスバルが自社製造する自動車は水平対向エンジンのみとなっており、『Proud Of Boxer』を標榜するほどのアイデンティティとなっている。また水平対向エンジンの特性を活かした4WD機構でも知られる。

二輪車ではもっぱらBMWのイメージで、水平対向2気筒エンジンは戦前からずっと続いている伝統のスタイルである。左右に突出したシリンダーが非常に特徴的であり、BMW製バイクのアイデンティティと言える。

またホンダでもゴールドウイングが水平対向6気筒を採用している。

180°V型エンジン

180°V型エンジンはV型エンジンの一種で、水平対向エンジンと同様、シリンダーが横に寝ているため、外見上の見分けは難しいが、内部構造はまったくの別物である。

例を挙げると、クランクシャフトの位相は水平対向エンジンが180°なのに対し、180°V型はクランクシャフトが同位相である。このため、振動を対の気筒間で相殺することはできない。

要するに、腕をシリンダーと見立てた場合片腕を伸ばしたらもう片方も伸びるのがボクサーエンジンで、片腕を伸ばしたらもう片方は縮むのが180度V型エンジンである。

関連項目

エンジン

富士重工業 ポルシェ BMW ホンダ…現在製造しているメーカー。

かつて製造していたメーカー

トヨタ自動車…ミニエース、パブリカトヨタスポーツ800に搭載されていた。

愛知機械工業

アルファロメオ

シトロエン

ダイハツ

日野自動車…高速バスに搭載。(RA100P、RA900P〈国鉄専用型式〉)

本田技研工業…ジュノオ(M80/M85) (スクーター)、ワルキューレ (オートバイ)、ワルキューレルーン (オートバイ)に搭載。

ランチア

フォルクスワーゲン…カルマンギア、タイプ1 (ビートル)、タイプ2 (トランスポルター)、タイプ3、タイプ4に搭載。

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