概要
正式名称はシモノフ自動装填カービン。
ロシア語でСамозарядный карабин Симонова、略してСКС(ラテン文字表記でSKS)。
1945年、ソビエト連邦軍はセルゲイ・カヴリロヴィッチ・シモノフ技師が設計したSKSカービンを制式採用した。
作動方式はガス利用式で弾倉は固定式。装弾数は10発である。
フロントサイト下に折り畳み式の銃剣が備わっている。
弾薬は専用に開発されたM43実包(7.62×39mm弾)を使用し、クリップ(挿弾子)で一気に10発装填することができる。M1ガーランドと違ってクリップが無くても作動し、リロードの際にはバラ弾を1発ずつ装填する事も出来る。
シンプルな構造で頑丈にできているため故障が少なく、白兵戦での使用にも充分に堪えるものであった。
4年後に登場したAK47のため影が薄いが、SKSの機構や作動方式は後に登場するバトルライフルやアサルトライフルに大きな影響を与えた。
戦後、成立したばかりの東側諸国に広く採用され、朝鮮戦争やベトナム戦争等で使用された。
運用
ソ連及びロシアでの運用
制式化から4年後、SKS用のM43実包を使用するAK47が制式採用されてSKSを急速に置き換え、10年と経たないうちにほぼ全てが予備火器に格下げされた。
一方、起剣した際の威厳ある外観から儀礼用銃としての使用は続き、ロシア連邦でもクレムリン宮殿の警護に当たる大統領連隊などが、金属部品にクロムメッキを施した特注品を使用している。
他国での運用
開発元のソビエト連邦では不遇だったが、当時、中華人民共和国やベトナム民主共和国など新興の社会主義国は財政に余裕が無く、堅牢でセミオートのみで弾薬の消費が少ないSKSは国情に合った兵器であり、AKと違ってマガジンや銃剣などを改めて支給する必要が無い点も歓迎された。
特に中国では56式半自動歩槍として採用されたほか、SKSに着脱式弾倉やフルオート機構を組み込み、限定的ながらアサルトライフルの機能を持った63式自動歩槍も開発された。
63式をベースに本格的なアサルトライフルとして再設計された81式自動歩槍と87式自動歩槍、87式をブルパップ化した95式自動歩槍とそれを通常型に再設計した03式自動歩槍が開発されるなど、中国製アサルトライフルの始祖と呼ぶべき存在である。
アメリカの民生市場では、堅牢で実用性が高い自動銃であるにも関わらず、銃本体・弾薬とも安価な事、マガジンが固定式で紛失する心配が無い事、純正で備わった銃剣に示威効果がありホームディフェンス(自衛)に効果的な事などから、ソ連製や中国製のSKSが人気を得ている。
仕様
全長 | 1022mm |
---|---|
銃身長 | 521mm |
重量 | 3900g |
弾薬 | M43(7.62×39mm弾) |
装弾数 | 10発 |