概要
主に以下のように定義される。
- ユダヤ教を信仰する人々。
- 先祖や親がユダヤ人である人。他宗教の信者や無神論者も含む。特に母親がユダヤ人であった者。
ユダヤ教信者としてのユダヤ人は「正統派」「保守派」「改革派」等に分かれている。一応、外部からの改宗も受け付けているが、ユダヤ教徒側が積極的に、大々的に勧誘することはなく、それどころか思いとどまることを薦められる場合もある。ユダヤ教の教えでは、非ユダヤ人はノアが神と交わした7つの契約を守れば天国に行くことを否定せず、時として問題になる非ユダヤ人に対する傲慢な態度のもとである選民思想は、正確には神により天国へ道を提示された民という意味合いを持っているためである。
ある派で改宗しても他の派のユダヤ人から正当なユダヤ人とは認められない例も少なくない。特に超正統派は厳格な規定を設けていることもあり、イスラエル国の結婚制度では、超正統派のラビがユダヤ教徒の婚姻を司っている。
近年は「イスラエルが、アラブ人であるパレスチナ人を迫害・追放している」という認識から、アラブ人・イスラム教徒の間で反ユダヤ主義が台頭している。詳細は、インティファーダを参照されたし。
イスラム教世界ではもともと西洋ほどユダヤ人の待遇は酷くはなく、ジズヤ(人頭税)さえ支払えば一定の信仰の自由も認められ、学者や宰相として活躍できた例もある。とはいえ、イスラム世界で異教徒のユダヤ人が差別されてきたことには変わりがなく、イスラム教発祥時にユダヤ人の部族と開祖ムハンマドとの間にいろいろといざこざもあったこともあり、反ユダヤ的な発想が無いわけではない。アラブ・イスラム世界で反ユダヤ主義が燃え上がったのは寧ろ近年のことで、ユダヤ人のパレスチナ入植(シオニズム)が盛んになり、元から住んでいたパレスチナ人と衝突するようになってからである。
偽書『シオン賢者の議定書』など、陰謀論における黒幕の常連でもある。「ゴイム」という言葉はしばしば反ユダヤ主義者により「豚」と説明されることがあるが実際は「異邦人、民族」の複数系であり、現代ヘブライ語でもごく日常的に用いられる言葉である。
ハザール人説
今日のユダヤ人コミュニティの主導的グループであるアシュケナジー(東欧系ユダヤ人)は、国会周辺に移住したユダヤ人を吸収したテュルク系民族ハザール人という荒唐無稽な陰謀論が唱えられることがある。
実際は、アシュケナジーが話すイディッシュ語にテュルク系由来の語彙は存在せず、遺伝子解析によって欧州系と中東系民族の混血であることが確認されている。
この説の出どころは、同じくアシュケナジーの哲学者アーサー・ケストナーによって提唱されたもので、そもそもはアシュケナジーが啓典の民であるユダヤ人と遺伝的つながりがなければ反ユダヤ感情の根拠が崩壊することを期待してのものだった。
それが皮肉にも、後年反ユダヤ主義者や陰謀論者によって都合よく利用されることになってしまったのである。
関連タグ
ヘブライ神話 聖書 旧約聖書 イスラエル タルムード ラビ 六芒星 インティファーダ 選民思想 ゴイム
著名な人物
イエス・キリスト フランツ・カフカ アンネ・フランク ジョン・フォン・ノイマン ジョシュ・ホワイトセル カイル・ブロフロフスキー スティーブン・スピルバーグ