概要
日本の呪術界の中心ともいえる存在。
一応、「様」づけされることから、作中の登場人物たちは「人間」として扱っているようであるが、実際のところそう言える存在なのかは不明。
作中で直接登場したことはなく、過去篇にて夏油傑と五条悟の二人の会話によってその存在が語られたのみである。
後述されている項目に詳しいが、物語全体の発端を担っている存在であり、夏油が呪詛師へと転向した遠因であり、それが巡り巡って特級呪霊とその裏に居る黒幕の暗躍を招いている。
詳細
概要の項目で語られている通り、天元そのものは作中で登場してはいない。
しかし、天元についてのおおよその設定はかなり詳しく述べられており、そこから察するに、人間とか生命と言うよりも、呪術廻戦に登場するシステム、概念、宗教的存在と言う側面の方が強い。
作中ではこの「天元」を崇める「盤星教」と言う宗教団体も存在しており、基本的には呪術界の存在だが、一般人でもその存在を知ることができる程度には情報が開示されている。
天元について分かっていることは以下の通り。
- 天元そのものについての情報
・不死の術式を使えるが、不老の存在ではない。
・時間経過によって、術式の効果で肉体が変化する。
・完全に肉体が変化した場合は意思のない存在へと変化し、最悪の場合敵になる可能性がある。
・500年に一度、星漿体と呼ばれる「器」と同化することで肉体の変化を止めることができる。
- 天元の能力についての情報
・呪術師の能力や結界の強度を底上げする。
・天元の結界は、「守る」ことよりも「隠す」ことに特化している。
作中での動向
天元の名前が作中で最初に登場したのは、交流戦編の最終盤である。
京都校と東京校を特級呪霊によって襲撃され、呪霊に対する結界が破られたことを振り返った際、五条によって天元の結界が「人を結界内に入れない」ことよりも「ものを隠す」ことに長けていると言及されたことが最初。
より深くその設定が明らかにされたのが、五条悟と夏油傑の過去篇。
当時、呪術高専東京校に在籍していた二人は、学生時代から優れた術式を持つ呪術師として活躍しており、当時の自分たちを指して五条曰く、「俺たちは最強」。
また、このころの五条は一人称が「俺」で、夏油は、作中時間における現代とは違い、呪霊から力のない一般人を守ることを誇りとする高潔な人間で、非術師への配慮を厭う五条にそのことを諭す場面もあった。
そんな二人の元に、当時の「天元の器」である天内理子と言う少女の護衛依頼が任される。
二人は尊大にふるまう理子に振り回されながらも、呪術界の転覆を狙う呪詛師集団「Q」と天元と理子の同化を快く思っていなかった盤星教の「時の器の会」に命を狙われていた理子を守るために奔走するうちに、気丈にふるまいながらも、本当は自身の運命に対して恐怖を感じている理子を守ることを決意する。
そんな中、術師殺しの異名を持つ伏黒甚爾との戦いに陥り、彼に裏をかかれる形で五条と夏油の二人は敗北し、理子は殺害される。
しかし、この敗北により最強の呪術師として覚醒した五条は甚爾を殺害し、彼から託される形でその息子の伏黒恵の後見人になる。その後、夏油と組んで『二人で』最強だった筈の五条は、最強の呪術師『五条悟』となり、以降、全ての戦いにおける呪術高専側の最大戦力となる。
一方、夏油は、信者の非術師達が理子の遺体を拍手で迎え喜んだこの光景をみたことで、この一件以降、今までの自分自身の信念であった『呪術師は、非術師を守るために存在している』と言う信念に疑念を抱くようになり、その後、九十九由基に『天内理子が天元と同化しなくても、天元は安定した』と言う情報を聞かされることになる。
天内理子以外にも星漿体が存在したのか、それとも別の手段を使ったのかは不明だが、少なくとも天内理子が犠牲になる必要性はなかったと聞かされ、夏油は自身の持つ信念に対する疑念をさらに深めることになる。
その後、さらにいくつかの要因が重なったことで、夏油の精神は完全に限界を迎えることになり、最終的に百数十人の非術師の人間を虐殺して呪詛師へと転向する。
そして、この事件が後の0巻の事件へと通じ、夏油は乙骨憂太との戦いに敗れ死亡し、その死体は黒幕に操られ、最終的に特級呪霊と呪術高専の衝突である『渋谷事変』に至るまでの巨大な事件の発端となる。
影響
作中に一切登場しないながらも、本作の登場人物に与える影響は良くも悪くもとてつもなく大きく、俯瞰的に見たとき、天元がいなければ呪術廻戦の話が始まらない。と言っても過言ではない。
具体的には、天元と天内理子を巡る事件があったことで、五条悟が最強の呪術師として覚醒しており、同時に伏黒恵と五条悟の出会いの原因になっている。
また、夏油傑が呪詛師になる原因でもあり、これが無ければ0巻の内容である『夏油傑と呪術高専、および乙骨憂太との戦い』が起らなかった。それどころか、下手をすれば乙骨自身、0巻の段階で呪術界によって殺されていた可能性もある。
関連タグ
霊王…BLEACHにおける世界の要となる存在。様々な点でオマージュされた設定が目立つ。
以下コミックス派に重要なネタバレ
事態の解決の糸口を求め高専最深部の薨星宮に赴いた虎杖悠仁、伏黒恵、乙骨憂太、禪院真希、九十九由基、脹相の前に突如として出現。
四つの目を持つ白い外套を身にまとった怪人という姿からウルトラ怪獣、それもダダ等を彷彿させられたファンも多かったとか。(本人曰く、500年位老いれば虎杖でもこうなるらしい。)
そのような異形、また呪術界から重要視される存在でもあるに関わらず敵の目的や五条悟の解放の方法など問われたことには気さくに答えてくれるが、本人曰く「人の気持ちはわからない」ため人間を信用していない様子が見受けられる。
天元が言うには、自身と「星漿体」、「六眼」とは因果で繋がっており、同化に失敗するということは今まであり得ないことであったが、11年前に呪力を持たない伏黒甚爾が関与したことで因果が断ち切られ、星漿体、天内理子との同化に失敗した。そのために呪霊に近い存在となっており、それを利用されることを非常に警戒して結界に引きこもっているのである。
更に11年前に五条に対して黒幕について何の説明もしておらず、黒幕と知人以上の関係を臭わせていることから完全に味方とも言えないことが推測される。
余談だが虎杖との受け答えが祖父と孫に見えたファンは多かったとか。