概要
山梨県と静岡県の県境付近、具体的には上九一色村や富士宮市に点在していた。
開拓民が手放した広大な土地を教団が買収し、1989年から建設が始まった。
最終的には12のサティアンと富士山総本部、ジーヴァカ棟やクシティガルバ棟のような実験棟を擁し、さながらオウムの団地という様相を呈した。
どの建物も、まるで倉庫や工場のような質素な作りでまとめられており、およそ宗教施設のイメージとはかけ離れたものだった。
サティアンの役割は、信者の修行から兵器・武器の製造まで様々だった。
特に第7サティアンは、サリン70トンの製造を目的としたプラントを建設しており、完成していれば教団の国家転覆計画の要となる予定であった。
また、麻原彰晃が発見され、逮捕されたのは第6サティアンの隠し部屋であった。
地下鉄サリン事件後に警察の強制捜査が行われ、防護服に身を包んだ警察官の隊列が踏み込んでいく様子はテレビニュースやワイドショーで全国に放送された。
抵抗する信者を押さえつけたり、施錠した扉を電動カッターで破壊するシーンに覚えがある人は多いはずである。
後に教団が崩壊する過程でサティアンは全て取り壊され、跡地は更地になっている。
また、上九一色村も「オウムの村」として不名誉な意味で有名になってしまったため、風評被害に苦しんだ。
近隣に富士ガリバー王国を誘致するなどしてイメージアップを図るも、経営難により失敗。
マイナスイメージの払拭は、2006年の自治体再編により甲府市と富士河口湖町に編入され、「上九一色村」の地名が消滅するまで待たなければならなかった。