「だまりゃ!麿は恐れ多くも帝より三位の位を賜わり中納言を務めた身じゃ!すなわち帝の臣であって徳川の家来ではおじゃらん!その麿の屋敷内で狼藉を働くとは言語道断!この事直ちに帝に言上し、きっと公儀に掛け合うてくれる故、心しておじゃれ!」
演:菅貫太郎
概要
元ネタは、TBSドラマ『水戸黄門』第18部第23話「夢芝居!? 八兵衛の若旦那 -京-」(1989年2月20日放送)に登場する『正体を現した水戸光圀の前に平伏しない悪役』の代表的なキャラクター。
2ちゃんねるでは『画像も貼らずにスレ立てとな!?』のAAで知られ、wikipediaでは専門のページが作られるなどネタキャラとして有名。
人物像
その名の通り公家の人間であるが、劇中では京の商人と結託して悪事を働いていた。
光圀一行にその事実を暴かれるも、反省するどころか上記の啖呵を切ると共に光圀一行を朝廷に対する反逆者として弾圧しようとする往生際の悪さを見せた。
しかし、そうなる事を予想していた光圀によって報告を受けていた上位の公家菊亭左大臣が登場した事で形勢は逆転。左大臣から「公家の面汚し」と厳しく断じられた事で、ようやく観念し、朝廷から処分を下される事となった。
そのキャラの濃さと往生際の悪さ。そして、ネタ的に申し分がない程の顔芸から、現在でも何かとネタにされる名悪役である。
実際は…
徳川家も(表向きは)帝の臣であり、光圀自身も朝廷内では彼と同じ中納言である(そもそも「黄門」とは中納言の別名で、実際に最初期の頃や、後に石坂浩二が光圀を演じたシリーズでは印籠のシーンにおいて「中納言」を強調した口上を行っている)。逆に言えば同格ゆえにひれ伏さずとも文句は言えないのは確かで、劇中では光圀もそれを理解していたからこそ自身や一条三位よりも位の高い菊亭左大臣に助勢を頼んだわけである。
また、尾張徳川家と紀州徳川家は大納言(菊亭左大臣と同格)であり、中納言な水戸徳川家より(少なくとも朝廷の中では)格上である。
このキャラクターの印象があまりに強い事や、『水戸黄門』に登場する悪徳公家の多くが断罪シーンで徳川の葵の御紋にひれ伏す事を渋る様子を見せる事から、公家は総じて徳川家とは犬猿の仲で、光圀の権力も通じない天敵と勘違いしている者も多いが、実際はそうではなく、上述の菊亭左大臣をはじめ、光圀の悪者退治に手を貸したり、友人として親しくしている公家の人間も多数登場している他、劇中では光圀自身も徳川家の人間の中でも特に帝からの信頼が厚い事を示唆させる台詞が幾度か出ている(史実の光圀も徳川家の中では珍しい尊皇思想の持ち主であり、公家とも友好的な関係だったと言われている)。
また、前述したとおり中納言より官位が低い公家相手であれば問題なくひれ伏させる事ができる(後のシリーズにおいて、悪役の下級公家が身分の違いを言い訳に言い逃れようとするが、光圀の朝廷内での官位を告げられると慌てて平伏す場面がある)。
余談
この水戸黄門屈指の名悪役 一条三位を怪演した菅貫太郎氏は、この他にも同番組において数々の悪役をはじめとする役柄を演じた当時を代表する名バイプレーヤーであったが、一条三位として登場した第18部では、他に第3話にも別役で出演している。
また、様々な悪役を演じていた菅氏であったが、実は水戸黄門において悪徳公家を演じたのはこれが最初というわけではなく、第16部において同じ悪徳公家の城崎三位として出演し、やはり光圀の裁きに対して身分の違いを言い訳にして喚きゴネるが、最後は光圀に友好的な良識者の梅小路大納言にやり込められるという一条三位とほぼ同じ様な顛末を迎えた。
っというよりは一条三位のキャラクターや台詞回しなどはこの城崎三位と、後述する六条三位とを合わせて誕生した可能性が高い。
また、同話に登場した梅小路大納言と、一条三位を屈服させた菊亭左大臣は役名、演者こそ異なるものの設定上は同一人物である。
菅氏は1994年に不慮の事故で亡くなるまでに、水戸黄門だけでなく数々の名だたる時代劇ドラマに出演していたが、『続続・三匹が斬る!』に悪役(切られ役)としてゲスト出演した際には、『三つ葉葵の印籠を使って自らが徳川将軍家に近い者であると誇示し「頭が高い!」と豪語するが、主人公達には通じずにあっさり印籠諸共斬られてしまう』という水戸黄門のアンチテーゼのような役回りを演じ、時代劇ファンの間では演者、演出、台詞回しに至るまで、全てが水戸黄門に対する皮肉を効かせたものであるとして話題になっている。
関連タグ
六条三位…容姿、設定、言動とすべてが一条三位の元ネタといえる人物。
鉄羅漢玄竜…一条三位と並ぶ水戸黄門を代表する名悪役。こちらは1シリーズ通して登場し、光圀一行を苦しめた。