概要
跡部氏は室町時代頃から活動に見られる逸見氏、大井氏ら共に甲斐国の有力な国人の一族。跡部氏の最盛期には甲斐守護である武田氏が衰退していた為、家督代行によって甲斐国を実行支配し、武田家の家宝である楯無の鎧を持っていた。
しかし跡部氏は楯無の鎧を持っていることを理由に武田家の命令に応じない程の専横をきわめていた為、武田信昌に討伐され服従を余儀なくされるも、勢力は弱体化したが以前として強大な力を持っていた。
跡部勝資は、跡部信秋の子息とし1530年前後に産まれたとされる。信秋の頃には跡部氏は武田家の譜代家老として地位を得ていた為、勝資も武田家を支える重臣として養育されたと思われる。
1547年に駒井高白斎共に佐久地方の有力な豪族大井氏の跡継ぎを決める使者に「跡又」という人物が見られ、これが勝資ではないかとされる。なお、この跡又という名前は1566年まで見受けられ、同年に勝資が大炊助を名乗ってから、姿を消すので可能性は高い。
1573年に信玄が失くなる頃には、山県昌景、高坂昌信と並ぶ兵力と発言権を有していたようである。信玄存命中は、石山本願寺並びに長島の門徒や伊勢湾の水軍等との交渉を担当していたようであり
その功績から信玄の有力な側近として重宝され、取次衆という地位に就いた。
武田勝頼が信玄の跡を継いだ後も重宝され続けていたが、甲斐国外で武田領の統治を行う馬場信春、内藤昌豊、真田信綱、秋山信友ら城代と、甲斐国内で文章を発行し城代と連絡を取り合う取次衆や朱印奏者である勝資をはじめとする長坂釣閑斎、土屋昌次、原昌胤らの対立が激しくなる。そのよう中で1575年の長篠の戦いで武田家は多くの信玄譜代の重臣が討死した為、生き残った勝資は勝頼からこれまで以上に重宝されるようになる。
1578年に上杉謙信が急死すると、謙信の甥の上杉景勝と北条氏政の弟で上杉家に人質出されていた上杉景虎が上杉家の家督を巡って家督騒動に発展すると、同盟者氏政の要請で勝頼は景虎支援の為勝資と武田信豊に2万もの大軍を派遣したが、この時は景勝と景虎を調停し家督騒動を1度沈める。
その時武田家は景勝からの打診で関東の上杉領の1部と金5万両を譲り受けるのを条件に、上杉家の家督騒動には中立の立場を取る。なおが斎藤朝信や直江兼続らを通して勝資と釣閑斎は賄賂を受け取ったと伝わるが、これは景勝側の人間が御礼として武田家の有力者に金銭や刀剣等を送っただけであり、賄賂ではない。
1582年の甲州征伐の際に多くの家臣が勝頼を裏切る中、最期まで勝頼に使え、天文山で討死した。
