概要
pixivではタグとしてボールペンで描かれたイラストにつけられる。
英語では正確にはボールポイントペン(Ball-point pen)という表記になる。
メーカーによっては、インクが水性またはゲルのものを「ローラーボール」と呼んで区別している。
ミリペンと混同されることもある。
ボールペンの世界最大手はフランスのBiC社であるが日本では国内メーカーが強く、低価格帯で日本製が残った数少ない分野のひとつ。ただし日本の学校の筆記では鉛筆及びシャープペンシルが圧倒的に優勢。
またキャップ式が不人気なのも日本での特徴で、ノック式用の乾きにくいインクを開発する手間のために、国内メーカーのボールペンなのに日本での発売が後になることがある。
ボールペンの構造
その名のとおり極小の金属またはセラミック製ボールがペン先にはめ込まれた筆記具である。
このボールがインクの出すぎを防ぎ、筆記時にはこのボールが回転することで継続的にインクが供給される仕組みである。
インクは長らく油性のものしかなかったが、日本語を書くには性能が低く、後に日本で水性インクやゲルインク(中性インク、ハイブリッドインク、ジェルインクなどと呼ばれるもの)が登場した。
一方で油性でも強力な性能を持つ新油性(低粘度油性)の開祖uniジェットストリームが登場し、人気ランキングではいつもトップをとっており、打倒ジェットストリームが各社の目標である。
ボール径は、大きいものでは1.6mm、小さいほうは0.25mmというものもある。0.25mm、0.28mm、0.3mm、0.5mm、0.7mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mmなどが発売されている。0.3mm、0.5mm、0.7mmが普段使いによく使われる。
細字は文字が複雑な東洋で人気がある。細いものは紙に、太いものは枠や宛名書きに使われることも多い。一般的にゲルと油性では同じボール径でも油性のほうが細くなる。
細字化の研究は現在でも進展が著しく、しばしば最小記録が更新されている。最高記録はユニボールシグノビットの0.18mmだが、あまりにも細すぎて相当ピーキーだったらしい。
画材としてのボールペン
以前のボールペンはインクがダマになったりかすれたりしやすく、製版すると線が飛んで見るにたえない画面になるため、印刷される原稿に使われることはなかった。しかし技術の進歩によりインクだまりが生じにくくなり、ゲルインクの一般化などによって十分な濃さが得られるようになった。
ミリペンに比較し、筆圧をかけてもペン先が破損しにくいのもメリットであり、愛用するプロ漫画家や絵師も増えている。ただし、ペン入れには油性インクではなくゲルインクの顔料のものを選ぶべきである。
特徴
ゲルインク
- 攻守万能。色も多い。
- 普及年代ゆえか平成の学生っぽい字になる。
- 数少ない弱点として減るのが早い。特に多色用リフィルなんか一気に無くなる。
- 乾くのが油性より若干遅い。右利きでは問題にならないが、左利きの場合注意。
- ゲルインクの顔料タイプは耐久性最強だが若干引っかかりやカスレを感じることも。染料タイプは書味と引き換えに裏抜けを起こしやすいほか、耐久性が低い。
- 消せるボールペンフリクションもゲルインクの一種。
水性
- 新油性やゲルインクのない時代に旧油性の重さを嫌う人がよく使っていた。ゲルインクの登場で少数派になっているが、インクがドバドバ出てくる万年筆的な独特な書き味で根強い人気がある。
- 裏抜けが激しい。
- ノック式が少ない。
新油性(低粘度油性)
- 業務用でよく使われている。高速度の筆記に向いている。
- ゲルに比べて糸を引きやすいため、鉛筆による学校教育と違う書き方が要求され字が崩れやすい。慣れが必要。
- 発色は次第に良くなってきている。ただしレパートリーは少ない。
- ジェットストリームのシェアがとにかく強いが、色が黒いアクロボールや、ノック音軽減で巻き返しを図るビクーニャも奮闘中。
エマルジョン
- 基本的に新油性と一緒に扱われる事が多い。長らく知名度が無かったがブレンの登場により急激に勢力を拡大中。サラサラ系というよりヌルヌル系。
旧油性
- 古典的なタイプで重たくわざわざ選ぶ必要は少ないが、海外のボールペンや古風な事務用ボールペンはたいていこれ。日本語には向いていない。
- 減り方が遅い。
- 自然と筆圧がかかるので複写伝票においては効果を発揮する。
- 筆圧を下げても線がでるので根気があれば絵画に使える。
- 発色は悪い。
本体構造
海外ではまだまだ多いキャップ式だが、日本ではノック式でないとウケないと言われる。
高級ボールペンは本体を回転させるツイスト式が多い。
ノック部分がプラで軽量かつ固定されていない場合は、筆記時に飛び跳ねて騒音の発生源になりやすい。
クリップは定番のプラスチック、かっこいい金属、実用性が高い可動クリップなどがある。クリップとノックパーツが一体になったものはデザインは良いが実用性は低くなるほか壊れやすい。
低価格帯はラバーグリップがついているが経年劣化するため、買い替えが難しい高価格帯にはラバーが無く、むしろ滑りやすかったりする。
色数
油性インクでは、主に黒、赤、青の3色が主流だが、これら3色の他にもブルーブラック、緑、水色、ピンク、オレンジなどが開発されており、白も用意されている。
さらに水性・ゲルインクでは30色以上製造されており、画材として十分使うことができる。
余談
青色のボールペン
3色ボールペンに代表される多色ボールペンを使っているときに用途に困る青ではあるが、これは現在のボールペンが発明される前に、つけペンや万年筆で使っていた古典的なインクの色が青色であったことに起因する。
また、ヨーロッパなどでクレジットカードなどによる決済に本人のサインが必要なときは、日本でいう印鑑の代わりにコピー機で印刷できない青色のボールペンが使われる。そのため、外国製の青色ボールペンは日本製の物よりも色が黒寄り。
黒い墨から移行したことで、そうした身分証明に青を使う習慣が無い日本では、青どころかブルーブラックでもやたらと発色が良い傾向にある。また公文書等では拒否される可能性がある。
改造
どれも似たような構造なので別の種類のリフィルが入る場合がある。例えば三菱・ゼブラ・ぺんてる・無印良品のゲルインクリフィルは共通性が高く、入れ替えできる可能性が高い。
また、他色ボールペンのリフィルも互換性が高くカットだけで入ることもある。
消せるボールペン・消せないボールペン
書いた字が消せないことがメリットであるはずのボールペンだが、それと同時に「消せるボールペン」も昔から開発が続いている。
消しゴムで消すタイプの「消せるボールペン」は、手でこすった程度で消える、字が薄いなどの問題があったが、21世紀に登場した熱で消えるインクを使ったパイロット・フリクションボールはこれらの問題点を克服しておりヒット商品となった。
しかし、実はそれよりずっと昔から、消せないはずのボールペンインクを消す「インク消し」という道具が文房具店で一般に販売されていた。
もともと万年筆またはつけペン用の2液式の薬品で、ごく普通の油性ボールペンで書いた字に2液を順に塗ると化学反応でインクが透明になる。インクの色ごとに専用のインク消しを用いる必要があり、相性の悪いインクは消えないなど万能のものではない。また、有毒薬品である。
このような問題の多い製品であるため、修正液が普及すると廃れてしまった。
今では年配の人しか知らない存在と思われるが、現在でも細々と製造が続いている。
そんなわけで実は油性は改竄に弱い。