ゾウカブト
ぞうかぶと
概要
南北アメリカ大陸に分布するカブトムシの属の1つ。
オオカブト属やアトラスオオカブト属と並ぶ外国産カブトムシの代表。
学名(属名)は「Megasoma」。
ラテン語で巨体という意味であり、その名の通り大きくずんぐりとした体形をしており、体の割に角はそれ程長くはならないが、大型種は体重が50g程度とカブトムシの中では特に重い。また、脚も長く、細い枝でも器用に掴まれる。しがみつく力も強い。
和名は頭角の形が象の鼻を連想させ、体も象のように大きく重量感があることから来ている。
学名からそのままメガソマ属と呼ばれることも多い。
雑誌『ビー・クワ70号』では4グループに分類されているが、大別すると毛が全身に生えている種類と真っ黒で背面に毛の生えていない種類の2グループに分けられる。
毛の生えたグループはエレファスゾウカブト、毛の生えていないグループはアクティオンゾウカブト(レックスゾウカブト)が最大となる。
60mmを下回る(日本のカブトムシよりも小さめ)ような小型のゾウカブトはヒメゾウカブト(スモールメガソマ)というグループに属される。それらの種の中には、角が小さくなったり、ほとんど失われているものもいる。
多くは巨体に似合わずおとなしい性格で戦いを好まない。ちなみに、毛があるタイプよりも真っ黒なタイプのほうが比較的闘争心が強いと言われている。
成虫の寿命は6~10ヶ月ほどで、ヘラクレスオオカブトに比べて短い。が、幼虫期間は2~3年と長い。参考までにヘラクレスは通常1年~1.5年程。
エレファスゾウカブトグループ
エレファスゾウカブト(M elephas)
中南米に分布。
世界一重いカブトムシとして知られており、単にゾウカブトと言う場合は本種を指すことが多い。
詳細は当該記事参照。
オキシデンタリスゾウカブト(M occidentale)
メキシコ北西部に分布。別名メキシコゾウカブト。
エレファスよりもやや小さめで、左右の胸角が真横に伸び、体毛の色もやや薄い。エレファスゾウカブトの亜種とされることもある。
詳細はエレファスの記事参照。
ギアスゾウカブトグループ
ギアスゾウカブト(M gyas)
ブラジル東部に分布。
前胸背板の中央にも胸角を有し、左右の胸角も合わせて長く伸びる。亜種の分類が混乱している。
詳細は当該記事参照。
アヌビスゾウカブト(M anubis)
左右の胸角は退化しているが、中央胸角が大きく発達する。頭角も日本のカブトムシのように二又に大きく分かれる。
詳細は当該記事参照。
ヒメゾウカブトグループ
パチェコヒメゾウカブト(M pachecoi)
メキシコ北西部に分布。
本グループの中では大型の種。
雌雄共に体色はやや光沢のある赤黒色〜黒色で、脚が長い。
体毛は有していない。
雄の頭角は細長く、根本がやや隆起する。また細長い中央胸角を持ち、左右の胸角は鋭く尖る。
大きさや体毛が無い点を除けば、ギアスゾウカブトに似た姿をしているため近縁と考えられている。
テルシテスヒメゾウカブト(M thersites)
メキシコのバハ・カリフォルニア半島に分布。
ヒメゾウカブトの代表的な種で、黒色で艶のある背面に生える、長い黄白色の体毛が特徴。
頭角はパチェコほどでは無いが伸び、中央胸角は太短い。
雌はパチェコに似るが、前胸背板が丸みを帯び、体毛が生えているため区別は容易。
無毛種グループ
アクティオンゾウカブト(M actaeon)
南アメリカ北部〜中部に分布。
体艶のない黒い丸々とした大きな体と、前胸両横から前方に伸びる太い胸角が特徴。
詳細は当該記事参照。
レックスゾウカブト(M rex)
アクティオンゾウカブトから南アメリカ大陸西側のものを別種として分けられた種。アクティオンよりも大型化する。
アクティオンの亜種とされることもある。
詳細はアクティオンの記事参照。
ヤヌスゾウカブト(M janus)
雌雄共に体色は強い光沢を持つ黒色。
角は頭角胸角共に短く、頭角先端の開きは大きい。
よく似ており亜種とされることもあるラミレス(後述)とは、雄の前胸背板の中央のコブが1つな点で見分けられることができる。
また、本種の方が小さく100mm以上になる個体は稀とされる。
雌は頭部の中央に2基の突起を持つ。
マトグロッソ州、ボリビア、アルゼンチンのものは亜種アルゼンチヌム(ssp.argentinum)に分類され、頭角の開きがより大きくなるとされる。
また、マトグロッソ州には角が長く光沢の鈍い亜種フジタ(ssp.fujitai)が分布しているが『ビークワ』では別種として扱われている。
近年、ボリビアのサンタクルズ州から本種として輸入されてきた雌から累代された個体(通称ボリビアヤヌス)が本種と様々な相違点があるため、別種のヴァズデメロゾウカブト(M vazdemello)ではないかと言われているがそちらとも特徴の差異があり詳細は不明。
ラミレスゾウカブト(M ramirezorum)
ヤヌスに似るが頭角が長く均一な太さで伸び、先端の開きは弱い。胸角はヤヌスよりも短く内寄りに発達する。
雄の前胸背板のコブは2つある。
雌の頭部の突起は1基。
幼虫期間の長い本属の中でも特に長く、成虫になるまで4年かかるとされる。
ヤヌスゾウカブトの亜種とされることもある。
マルスゾウカブト(M mars)
南アメリカ北部〜中部に分布。
頭角胸角共に細長く、胸角は斜め前へ伸びる。体には光沢がある。
詳細は当該記事参照。
甲虫王者ムシキングシリーズでのゾウカブト
エレファスゾウカブト
最初期より参戦。詳細は当該記事参照。
アクティオンゾウカブト
最初期より参戦。詳細は当該記事参照。
アヌビスゾウカブト
2004セカンドプラスより参戦。詳細は当該記事参照。
ギアスゾウカブト
2006ファーストより参戦。詳細は当該記事参照。
マルスゾウカブト
2006セカンドより参戦。詳細は当該記事参照。
メキシコゾウカブト
新甲虫王者ムシキングより参戦。詳細は当該記事参照。
ヒメゾウカブト
玩具『甲虫王者ムシキング むしとりバトルずかん』にて捕獲できるムシの1つとして登場。ドット絵からパチェコヒメゾウカブトと思われる。