※読み方について、そのまま読むと「げご」。しかし濁音続きで発音しづらいことから「なつご」と読む者も一定数おり、7月25日は七(な)2(ツー)五(ご)=「なつごのひ」と称してお祝いするファンもいる。
※この項目は単行本未収録のネタバレ情報を含む場合があります。 |
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概要
『呪術廻戦』の夏油傑(げとう すぐる)×五条悟(ごじょう さとる)のカップリング。
日本にたった4人しか存在しない特級の名を冠する術者であり、夏油は最悪の呪詛師、五条は最強の呪術師と呼ばれる。
呪術高専東京校に在籍していた頃の同級生であり、唯一無二の親友。
夏油傑「私達は 最強なんだ」
五条悟「俺たち 最強だし」
✱✱以下の項目は全てネタバレを含む✱✱
まだ原作を未読の方は、ぜひそちらを読破後、ここから先の項目を拝読してほしい。
プロフィール
名前 | 夏油傑 | 五条悟 |
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年齢 | 享年27歳 | 28歳 |
生年月日 | 1990年2月3日(水瓶座) | 1989年12月7日(いて座) |
身長 | 185cm〜後半 | 191cm程 |
等級 | 特級呪術師 | 特級呪術師 |
高専入学方法 | スカウト | 家系 |
術式 | 呪霊操術 | 無下限呪術 |
一人称 | 「私」 | 「俺」「僕」「私」 |
好きな食べ物 | 蕎麦(ざる) | 甘いもの |
嫌いな食べ物 | 無し | アルコール |
趣味・特技 | 格闘技 | 無し(大体何でも出来る為) |
ストレス | 呪霊を取り込む事 | 上層部絡み |
イメージソング |
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CV | 櫻井孝宏 | 中村悠一 |
百鬼夜行編(0巻収録)
0巻とは、呪術廻戦の連載前に「東京都立呪術高等専門学校」というタイトル名でジャンプGIGAにて掲載されていた、全4話の読み切り作品である。
第1話 呪いの子
舞台は本編の1年前、2017年。
本作の主人公は特級過呪怨霊祈本里香に取り憑かれた少年・乙骨憂太であり、完全秘匿で死刑執行対象となるはずだった乙骨。保護に名乗り出たのは、東京呪術高等専門学校で教師を務める五条悟であった。自身のせいで周りの人が傷つく事を恐れた乙骨は生きることに否定的だったが、「君にかかった呪いは使い方次第で人を助けることもできる。力の使い方を学びなさい」全てを投げ出すのはそれからでも遅くはない、と五条は乙骨を説得し、学校への編入を促した。乙骨は五条、禪院真希、狗巻棘、パンダと共に、呪術高等専門学校で呪いを学ぶこととなる。
第2話 黒く黒く
乙骨が呪術高専に来て3ヶ月。武具に里香の呪いをこめることで自身に憑いた呪いを解く事が出来ると知り、鍛錬を重ねていく中、狗巻のサポートとして2度目の実践に赴いた乙骨。その様子を遠巻きに眺める1人の男が居た。
第3話 弱者に罰を
お御堂で法衣を身につけ、教祖として呪いに苦しんでいると語る一般人に耳を傾ける一人の男。一瞬でその呪いを祓い、非呪師である一般人を横目に「仏様ね……よく分かってるじゃないか。呪術も扱えない猿共め」と見下すこの男が、4人の特級が一人、夏油傑であった。
場所は変わり、東京呪術専門高等学校。乙骨達1年生の前に夏油と幹部達が姿を現した。夏油は呪霊の見えない真希を猿呼ばわりし、それに怒った乙骨は夏油の手を払い除け、誘いを断る。乙骨を庇うように夏油の間に割り込んだ五条が呪術高専に来た理由を問いただすと、「宣戦布告だ」と夏油は放つ。12月24日、新宿と京都に千を超える呪霊を放ち、大規模呪霊テロ百鬼夜行を行う事を告げる夏油。立ち塞がる五条に対し、1年生達を盾にとり、夏油は呪術高専から離脱した。
時は進み12月24日。
日本の呪術師が新宿と京都に集結している中、未だ里香を上手く扱うことの出来ない乙骨は真希と共に高専で待機を命じられていた。呪力がなくとも呪術師として目標を果たそうとする真希の決意を聞き、「真希さんのように強く真っ直ぐ生きたい」と話す乙骨と、そんな乙骨の言葉に感じた嬉しさを誤魔化す真希。2人がそうして互いを認めあっている中、突如学校に帳が下ろされた。帷を下ろしたのは夏油だった。夏油の真の目的は、百鬼夜行そのものではなく、その隙をつき特級過呪怨霊折本里香を手に入れることだったのだ。大きな揺れに地震を疑った乙骨は、教室から外へ出る。するとそこには足がもがれ腹部から血を流す真希、全身血まみれで倒れているパンダと狗巻の姿があった。
最終話 眩しい闇
仲間を傷付けられ、激しい怒りにより五感が研ぎ澄まされている乙骨は里香を従え、夏油の攻撃に応戦していくが、こめられた呪力に耐えきれず刀は折れてしまう。「駄目じゃないか、急にそんな呪いをこめちゃ。器がもたない。悟に教わらなかったかい?」そう説く夏油に対し、乙骨はそのままの勢いで拳を夏油の顔に叩き込む。この場で夏油を殺すと告げた乙骨は、自身が持てる限りの最大級の攻撃を夏油に放った。
右肩に重症を負い、逃亡を図る夏油だが、そんな彼の前にかつての旧友、五条が立ち塞がった。裏切ったことに恨み言を言わず、10年以上の時を超えてもなお己を信頼していたという友人に、夏油は笑いを零す。そんな夏油の脳内に、互いに笑い合っていた高専時代の2人の姿が浮かび上がる。短い会話を交わし、そうして最後に告げられた五条の言葉に、一瞬呆気にとられる夏油。「はっ、最期くらい呪いの言葉を吐けよ」と屈託なく笑った夏油は、2017年12月24日、五条の手によって処刑された。
時は少し進み、騒動が落ち着いたある冬の日。
夏油の件は乙骨に非はない、乙骨がいなくてもアイツは必ず高専に来たと乙骨に諭す五条は、学生証を乙骨に手渡す。「あ、学生証。先生が拾ってくれてたんだ」と言った乙骨に対し、五条は、「いや、僕じゃない」、「僕の親友だよ たった一人のね」と告げるのだった。
百鬼夜行編蛇足
傑の残穢
第3話P114の「僕が傑の呪力の残穢を間違えるわけないでしょ」と言うセリフは、単行本では『残穢』と修正されているが、連載時には『残り香』と記載されていた。
最期の言葉
最終話P189で最期に五条が夏油に語りかけた言葉について、明言はされていないが、作者曰く「0巻の中で既に出ている」とのこと。
英訳版0巻
2021年1月5日発売の英語版呪術廻戦0巻において、五条の「僕の親友だよ たった一人のね」が『my best friend did, my one and only』と訳された。
“my one and only”は直訳で
「唯一の存在」
「最愛の人」
「他に変え難いもの」
「ただ1人、かけがえのない人」
「今後もその人を超える人は出てこない」
とされ、海外では愛の言葉としても使われる句である。
懐玉編・玉折編(8.9巻収録)
第65話 懐玉
さらに時は遡り、時代は2006年8月。
1級術師である冥冥と2級術師である庵歌姫が、洋館に住まう呪霊を払おうしていたところ、突如洋館が全壊。洋館を全壊させたのは、当時呪術高専2年生の五条悟であった。歌姫に襲いかかろうとしていた呪霊を仕留めたのは、五条と同じく呪術高専に通う、当時2年生の夏油傑であった。
場面は変わり、東京呪術高等学校。
突然洋館が爆発した事件がニュースで取り上げられている中、当時彼らの担任であった夜蛾正道から帳を下ろし忘れたことを咎められた五条は、「そもそもさぁ 帳ってそこまで必要?一般人(パンピー)に見られたって別によくねぇ」と不貞腐れる。そんな五条に対し、呪霊の発生を抑制するのは人々の心の平穏であり、そのためにも目に見えない脅威は秘匿にしなければならないと説く夏油。“弱者生存”こそが社会のあるべき姿だと語る夏油に、五条は「俺、正論嫌いなんだよね」と反論する。一触即発の空気となったその時、夜蛾から新たな任務依頼を告げられた。二人に告げられた依頼は二つ。『天元様との適合者、“星漿体”である少女の護衛』と『その抹消』であった。この件がきっかけで、2人は道を違い始める。
第66話 懐玉-弐-
不死の術式を持つが不老ではない呪術師・天元は新たな器となる肉体と同化を行う必要があった。その肉体の適合者-“星漿体”-である少女の命を狙う組織は2つあり、『(天元が新しい依代に同化しないことで起きる)天元の暴走による現呪術界の転覆を目論む呪詛師集団【Q】』そして『天元を進行し崇拝する(故に今の純粋な天元でなくなり不純物が入る事を良しとしない)宗教団体、盤星教【時の器の会】』。このふたつの組織から同化の日まで少女を護衛し、天元の元へ送り届ける任務が、今回夏油と五条に課せられた任務であった。
場面は変わり、“星漿体”の少女が身を隠すホテル近辺。
五条が一人称を「俺」を「僕」もしくは「私」にあらためたほうが良いと夏油に窘められている最中、背後のビルで突如爆発が起こった。煙が立ち篭める一室を眺めていたところ、窓から一人の少女が落下していく。
第67話 懐玉-参-
少女と少女の付き人・黒井は夏油によって保護され、少女を殺害しようとした「Q」の呪詛師のうち一人は夏油の呪霊に捕らえられた。ナメた態度を取る夏油に呪詛師は「Q」の最高戦力・バイエルの名を持ち出して脅しにかかるが、夏油はボコボコにされたバイエルとツーショットでピースをキメる五条の写真を見せる。五条によってバイエルが離脱し、「Q」はあえなく組織瓦解することとなった。しかし、五条と夏油が「Q」を瓦解させたその裏で、星漿体の少女暗殺を目論む盤星教から遣わされた仲介役・孔時雨が、”術師殺し”の異名を持つ伏黒甚爾の元を訪ねていた。
一方で、目を覚ました星漿体の少女-天内理子は、五条と夏油へ頑なに「学校へ行く」と主張する。高専に戻った方が安全、というのが五条の判断だったが、天元からの命令だとして「天内理子の要望には全て応えよ」と夜蛾から言伝された五条と夏油はこれを受け入れ、一行は天内の学校へ向かう。
第68話 懐玉-肆-
甚爾は盤星教から受け取った手付金3000万円を、天内殺害の賞金として呪詛師御用達の闇サイトに全額投与する。全ては、最強呪術師五条悟の体力と神経を削るために。これにより、懸賞金目当ての2名の呪詛師が天内の学校へ襲来。五条と黒井には天内の捜索を任せ、自身は正体不明の敵を追うため、三手に別れた夏油の前に、式神使いの呪詛師が現れる。
第69話 懐玉-伍-
天内がいる教会に駆け付けた五条。
授業中に登場現れた五条に場は騒然とする。騒動を横目に五条は「賑やかな学校だな」と天内の制服を引っ付かみ、天内を校内から連れ出していく。夏油から天内の首に3000万の懸賞金がかかっているという報告が入ると同時に、紙袋を被った呪詛師と対峙するも、五条は呪詛師を圧巻。トドメに術式反転「赫」を発動しようとするが、失敗に終わり普通に殴って呪詛師を倒す。直後、五条のもとへ黒井が拉致されたという旨のメールが夏油から送られてくる。
第70話 懐玉-伍-
敵にとっての黒井の価値を見誤っていたと謝る夏油。次は人質交換でくる、交渉の主導権は天内のいるコッチ側にあり、取引の場さえ設けられれば後は俺達でどうにでもなると状況を把握する五条。だが、取り引きには自分も行く、まだオマエらは信用できん、と天内が突っかかる。黒井を案じて涙目で訴えてくる天内に、「途中でビビって帰りたくなってもシカトするからな。覚悟しとけ」と釘を刺した五条は、黒井救出に天内を連れて行くことを承諾。一行は黒井の拉致先である沖縄へ向かう。
護衛2日目、五条ら一派は沖縄で海を満喫していた。五条らはすでに拉致犯-盤星教-を捕縛し、黒井を救出していたのだった。一行は沖縄観光を楽しむが、時間はすぐに過ぎ、沖縄を離れければならない時間が来てしまったことでしょんぼりする天内。それを見た五条は「傑、戻るのは明日の朝にしよう」と提案する。自分を信用し無理を通そうとする五条に、夏油はため息をついたが、最終的に五条の提案を受け入れ、沖縄滞在を1日伸ばし、天内・黒井・五条・夏油の4人は沖縄観光を満喫したのだった。
そして、護衛3日目、同化当日。
都立呪術高専筵山麓に一行は到着する。高専の結界内に入り、五条が術式を解除した瞬間、五条は背後から胸を貫かれる。
五条の胸を貫いたのは、術師殺し・伏黒甚爾だった。
9巻 第71話 懐玉-漆-
夏油が呪霊を繰り出し、甚爾を捕食させる。その隙に夏油が五条に駆け寄るが、五条は「問題ない」とそれを拒む。アイツの相手は自分がするから、天内を天元の元へ連れて行くことを優先するよう伝える五条。「油断するなよ」と言い置いた夏油は、その場を五条に預け、天内を連れて天元のもとへ向かった。
一人その場に残った五条が無下限呪術で攻撃を放っていくが、甚爾はそんな五条の攻撃を次々に躱す。甚爾に呪力が全くないせいで気配も探れず、動きが速すぎて追い切ることができない五条。術式で守りに入る五条の背後に、特級呪具「天逆鉾」を持つ甚爾が迫る。特級呪具「天逆鉾」は、発動中の術式を強制解除する効力を持つ。その術具を、甚爾は五条の喉元へと突き刺した。
第72話 懐玉-捌-
場所は変わり高専最下層、薨星宮参道。天内と黒井の別れを静かに見届け、夏油が天内を天元の膝下、国内主要結界の基底薨星宮本殿に案内した夏油は天元の元へ行く道筋を天内に伝える。そして「それか引き返して黒井さんと一緒に家に帰ろう」と告げる。驚く天内だったが、天内がどんな選択をしようと、君の未来は私達が保証すると言う夏油に、天内は胸の内を零す。もっと皆と一緒にいたい、もっと皆と色んな所に行って、色んな物を見たいと涙する天内に、夏油が笑いながら「帰ろう、理子ちゃん」と手を差し伸べた。「うん」と笑顔で応える天内の頭を、一発の弾丸が貫く。
そこには、拳銃を持った甚爾が立っていた。
第73話 懐玉-玖-
五条を殺し、黒井も葬ったと興味無さげに語る甚爾に静かに怒りを顕にする夏油は、呪霊を使い甚爾を攻撃していく。が、手持ちの呪霊で最高硬度の虹龍を一瞬にして斬り裂く甚爾。その後も仮想怨霊を囮に使い、甚爾が武器を格納している呪霊を狙うも、呪霊は取り込めずにハジかれ甚爾に斬り伏せられた。
第74話 懐玉-拾-
甚爾は盤星教本部『星の子の家』に赴き、天内の遺体を差し出す。任務を終え報酬を手に入れた甚爾が盤星教本部が後にすると、そこには殺したはずの男、五条の姿があった。五条は死の間際、反転術式を習得したのだ。甚爾が超スピードで攻撃していくが、五条はそれを躱し、術式反転「赫」を発動。真正面から「赫」を食らった甚爾は、遥か先まで吹き飛ばされていく。
第75話 懐玉-拾壱-
赫を喰らいコンクリートの壁に激突するも五条の術式を冷静に分析し、「全て問題なし」と結論付ける甚爾。一方、五条は静かに目を瞑り、心の中で謝罪する。「ごめん天内」「俺は今オマエのために怒ってない」「誰も憎んじゃいない」「今はただただこの世界が心地良い」死の境を彷徨い、覚醒を果たした五条は、無敵となっていた。
第76話 玉折
盤星教の施設内で、天内の遺体を抱き抱える五条。それを取り囲むのは、拍手をしながら天内の死を歓迎する教徒達であった。夏油は、覚醒を遂げた五条の変貌具合に驚き、言葉を失った。背後には、笑顔で天内の死を喜ぶ非呪術師達。「コイツら、殺すか?」「今の俺なら多分何も感じない」と零す五条に、夏油は「いい、意味がない」と伝える。「意味ね。それ本当に必要か?」と尋ねる五条へ、「大事なことだ。特に術師にはな」と夏油は告げた。
時は過ぎ、1年後の2007年8月。
甚爾との戦闘で覚醒し、反転術式を応用した術式対象の自動選択を身につけた五条。一方の夏油は、「五条との力量差が開いていくの感じるのと同時に、自分が非術師に嫌悪感を抱いていることに気付きはじめていた。「呪霊を祓って、取り込むのは誰のためなのか」と悩み、また「強者としての責任を果たせ」と考えながらも、天内の死を喜び笑顔で拍手をしていた非呪術師達の顔が脳内から離れず、想いは自然と口から漏れ出す。「猿め」と。
一人ベンチに座る夏油の元に、後輩の灰原がやって来る。夏油が灰原に「呪術師やっていけそうか?辛くないか?」と聞くと、灰原は「そーですね、自分はあまり物事を深く考えない性質なので、自分にできることを精一杯頑張るのは気持ちがいいです」と笑顔で返す。「そうか、そうだな」と返す夏油の元に、一人の女性がやって来る。
第77話 玉折-弐-
謎の女性の正体は、特級術師九十九由基であった。「術師からは呪霊は生まれない」「全人類が術師になれば、呪いは生まれない」と語る九十九の言葉に、夏油は目を見開く。「じゃあ非術師を皆殺しにすればいいじゃないですか」。そう言った後、自身の失言にハッとする夏油だが、九十九は「夏油君、それはアリだ」と肯定を返す。非術師は嫌いかいと問いかける九十九に、「分からないんです」「呪術は非術師を守るためにあると考えていました。でも最近私の中で非術師の価値のようなものが揺らいでいます」「弱者故の尊さ、弱者故の醜さ。その分別と受容ができなくなってしまっている」「非術師を見下す自分、それを否定する自分」「術師というマラソンゲーム、その果ての映像があまりに曖昧で何が本音か分からない」と胸の内を零す夏油。九十九はそんな夏油に、どちらも本音じゃない、まだその段階ではないと諭す。
場面は変わり、静かに目を瞑り横たわる灰原と、全身に傷を負い項垂れる七海。
任務に行った先で、灰原は殉職した。
2007年9月。
村落内での神隠し、変死、その原因と思われる呪霊の払除の任務に来ていた夏油。そこにいたのは、呪術師として村人に虐待を受け、檻に閉じ込められた2人の少女だった。呪いは呪術師が祓った、この2人は関係ないと説明するも「原因はこの化け物(呪術師)だ!」「やはり赤子の時に殺しておくべきだった!」と喚く村人。夏油は怯える2人の少女に呪霊を使って「大丈夫」と伝え、村人たちに「一旦外に出ましょうか」と笑顔で話しかける。
その後、100名を超える非呪術師である村人全員を呪殺し、呪術規定9条に基づき呪詛師として処刑対象となった夏油。
夏油は「非術師を見下す自分」を本音にすることを選択したのだった。
第78話 玉折-弐-
夏油の凶行を夜蛾から聞かされる五条。夏油の実家ももぬけの殻で、血痕と残穢からおそらく両親も手にかけていると告げる夜蛾。自分も何が何だか分からないのだと額を抑える夜蛾に、言葉を無くす五条。その頃、とある新宿の喫煙スペースでタバコを吸う家入の元に、「火、いるかい?」と笑顔で手を挙げながら夏油が現れる。
家入が「一応聞くけど冤罪だったりする?」と聞くと、夏油は「ないね、残念ながら」と返す。「重ねて一応、何で?」と家入が聞くと、夏油は「術師だけの世界を作るんだ」と返す。「ははっ意味分かんねー」「子供じゃないんだ。誰でも彼でも理解して欲しいとは思わないさ」「どーせ誰も理解してくれないって腐るのも、それなりに子供だと思うけど?」家入はスマホで五条に新宿に夏油がいることを連絡する。
雑踏の中を夏油が街を歩いていると、正面に五条が立ち塞がる。
サングラスを外し、六眼で夏油を見据える五条は「説明しろ、傑」と問いただす。「硝子から聞いただろ?それ以上でも以下でもないさ」とだけ返す夏油。親を含め、非術師を皆殺しにすると標榜する夏油へ「意味ない殺しはしねぇんじゃなかったのか!?」と問い糺し、無理に決まっている、できもしないことをセコセコやるのを意味がないと言うのではないのかと激昂する五条へ「傲慢だな」「君にならできるだろ、悟」と夏油が告げ、自分にならできることを他人には「できやしない」と言い聞かせるのかと問う。「君は五条悟だから最強なのか?最強だから五条悟なのか?」と重ねて問う夏油へ、何が言いたいと返す五条に、「もし私が君になれるのならこの馬鹿げた理想も地に足が着くと思わないか?」と返す夏油。「生き方は決めた」「後は自分にできることを精一杯やるさ」と背を向ける夏油に、五条は術式で攻撃する構えを取るが、「殺したければ殺せ。それには意味がある」と言って雑踏の中に消えていく夏油の背中に、五条はついぞ、攻撃を放つことができなかった。
第79話 これからの話
幼き伏黒恵の元を訪れていた五条。
父親が呪術師の家系であること、その本家に売られること、ソイツが引くレベルのろくでなしなこと、そしてその父親を自分が殺した事を告げようとしたところで、伏黒は「別にアイツがどこで何してようと興味ない。」「今ので話は大体分かった。津美紀の母親も少し前から帰ってない。もう俺達は用済みで2人でよろしくやってるってことだろ」と五条の言葉を遮る。伏黒の返答を聞き、「君はどうしたい?禪院家行きたい?」と五条が聞くと、「そこに行けば津美紀は幸せになれるのか?」と返す伏黒に、五条は「ない、100%ない。それは断言できる」と答える。
睨みつけてくる伏黒に、五条は笑いながら「オッケー、後は任せなさい」と伏黒の頭を撫でる。「でも恵君には多少無理してもらうかも」頑張ってねと、五条は伏黒に激励の言葉をかける。
「強くなってよ、僕に置いていかれないくらい」と。
懐玉編・玉折編蛇足
本誌連載時
夏油と五条の離別が描かれている77話扉絵は、当時センターカラーとなっており、黒いスーツを着た夏油と五条が漫才の様にマイク前に立つ姿の煽り文句は「もういいわ」(最強コンビ、解散)であった。ブラックジョークが凄い。
夏油が五条に与えた影響
一人称
元々一人称が「俺」であった五条。当時はそれを指摘してくる夏油に反抗していたが、夏油離別後は一人称を「僕」に改め、以降ずっと「僕」を使用している。
しかし後述する事件(渋谷事変)で一度だけ「俺」と言う場面が出てくる。
渋谷事変(11巻収録)
第89話 渋谷事変⑦
2018年10月31日、敵側による最強呪術師五条悟の封印計画が実行に移された。
敵は非術師である一般人を人質にとり五条の足止めを模索するが、五条は0.2秒の領域展開で周囲の動きを止め、改造人間1000体を299秒で鏖殺。特級呪霊相手に互角以上の力で渡り合った。
そんな五条の前に、『生きた結界』『中の人間が自死しない限り開かない』『封印できないものはない』とされる結界封印呪具・獄門疆が開門する。
第90話 渋谷事変⑧
目の前で開かれた獄門疆に対し距離を取ろうと動いた五条の前に、一人の男が姿を現す。
「は?」と呆気にとられる五条。「久しいね」そう言って親しげに五条に語りかけてくる男は、自らの手で去年殺したはずの親友、夏油傑であった。「偽物?」「変身の術式?」全ての可能性を、己の六眼が否定し、そこに居るのは紛れもなく夏油傑本人であると訴えかけてくる。封印呪具・獄門疆の封印条件は「獄門疆開門後、半径4m以内に1分間対象を留めること」「1分は実際の時間でなく、脳内時間で1分となる」だったが、夏油との3年間の青い春が溢れ出した五条の脳内では1分などとうに過ぎていた。
獄門疆に捕らえられ、呪力も感じられず、力も入らない身体に「詰みか」と悟った五条は、身体を拘束されながら、「で、誰だよオマエ」と問う。「夏油だよ。忘れたのかい?悲しいね」と返すソレに、五条は睨み返す。「…肉体も呪力も、この六眼に写る情報はオマエを夏油傑だと言っている」「だが俺の魂がそれを否定してんだよ」「さっさと答えろ!!オマエは 誰だ!!」と叫ぶ五条へ、「キッショ」「なんで分かるんだよ」と嘲笑したソレは、夏油の頭蓋を開き、頭部に収まる口の付いた脳を露出させた。夏油の顔で嘲笑うソレに、五条は歯を食いしばり、激しい怒りを顔に浮かべる。
第91話 渋谷事変⑨
「おやすみ五条悟、新しい世界でまた会おう」と笑う偽夏油に、「──僕はな。お前はそろそろ起きろよ」と言った五条の呼びかけに、偽夏油の右手がピクりと反応した。「いつまでいい様にされてんだ、傑」と五条が言い募った次の瞬間、夏油の腕が偽夏油の意思に反し動き、偽夏油の首を力強く絞め出した。
「あっはっは 凄いな、初めてだよこんなの」と愉快そうに笑う偽夏油の元に、真人が駆け寄る。「真人、見てくれ。君は魂は肉体の先に在ると述べたが、やはり肉体は魂であり魂は肉体なんだ」「でなければこの現象にも入れ替えれ後の私の脳に肉体の記憶が流れてくるのにも説明がつかない」と語り、魂と肉体、さらには術式の繋がりに感銘する偽夏油に「おーいやるならさっさとしてくれ、ムサ苦しい上に眺めも悪い」と悪態をつく五条。「こちらとしてはもう少し眺めていたいが、そうだね何かあっても嫌だし」と、偽夏油は獄門疆を閉門。五条は封印された。
しかし、獄門疆を持ち去ろうとしたところ、現代最強呪術師である五条悟の持つ情報量に圧巻された獄門疆は鉛のごとく床に沈み、偽夏油の手から離れ落ちる。
無数の骸骨が雄叫びをあげる獄門疆の中で、五条は平然と状況を分析する。「まずったよなぁ、色々とヤバいよなぁ」「…ま、なんとかなるか」自身の教え子である虎杖・伏黒・野薔薇を思い浮かべ、笑みを浮かべる五条。
最強呪術師は、呪術界の未来を彼らに託した。
夏油にとっての五条
青い春
「親友だったんだ ケンカしちゃってそれっきり」と仲間に互いの関係を過去形で話し、「心から笑えなかった」と五条に零した夏油だったが、死してなお、五条の呼びかけに右手が即座に反応したことを鑑みても、夏油にとっての青い春もまた、五条と同様にとても大切なモノであったことが察せられる。
周りの反応
そんな強い絆で結ばれた二人の間柄は周囲も認識しており、灰原がお土産のリクエストを尋ねてきた時も「悟も食べるかもしれないから甘いものかな」と自身の好みではなく五条の好みを述べたり、偽夏油の姿を見た冥冥が「五条も共謀しているのではないか」と一瞬五条を疑ったり、七海が五条封印に際して夏油の存在が決め手となったことを瞬時に理解したり等している。
また夏油を崇拝する美々子と菜々子にすら「憎いけど、夏油様が五条悟に殺されるなら、それでもいいと思った」と言わしめる程。
夏油の服
離別後、夏油が着ている衣装は「五条袈裟」と呼ばれる種類の法衣である。(後述)
ファンブック
善悪の指針
「夏油の判断を善悪の指針にしていた」
これは夏油傑という人間を心から受け入れ、心から信頼していたからこそ成されていた考えであると言える。
「呪術界の命運は五条悟の双肩にかかる」と言われるほど、一人の人間には到底担えない重荷を背負い戦う五条。『疲れた』(ファンブックP41「今でも弱者を守るのは疲れるには疲れる(意訳)」より)と感じながらもこの状況を投げ出さず、弱音もなく、悲観や憂いている描写も描かれないのは、青い春に解かれた「強い者は弱い者を守るべき」という夏油の教えを、今も心の基盤にしているからなのかもしれない。
特級お笑いコンビ「祓ったれ本舗」
2020年4月1日午前11時、呪術廻戦の公式Twitterに投稿されたひとつのツイートが波紋を呼んだ。
@呪術廻戦公式Twitter
【出演情報】本日4月1日開催の「春のお笑いまつりin呪術高専」に #祓ったれ本舗 が出演します!2人のキレッキレな漫才をお楽しみください!さらに弊社所属芸人も続々登場予定!お見逃しなく!
プロダクション呪力舎公式サイト→○○://shonenjump.com/j/p-juryokusha/
上記のツイートに添付されていたイラストは、本編77話のセンターカラーで使用されてたイラストであるが、マイクの前に立つスーツ服の2人に「呪いもぶっ飛ぶ爆笑の嵐!!春のお笑い祭り!!開催in呪術高専」「制御不能!お笑い界が誇る特級コンビ!」「祓ったれ本舗の2人がやってくる」という煽り文が追加され、なんとも賑やかでポップな告知ポスターとなってリニューアルされた。
さらに本文に記載されているURLへ飛ぶと、「呪いを祓い 笑いを届ける 呪力舎」という看板タイトルの元プロダクション呪力舎公式サイトに飛ぶことができる。(所属タレント一覧には「葵と悠仁」というどこかで見たことのあるようなコンビも在籍している)
キリ番が踏めたり、ドット文字が左右に行ったりきたり往復していたりと、2000年代のPCサイト全盛期を彷彿とさせる非常に凝った造りとなっている。
だが、同日11:04、信じられないことが起きた。
@呪術廻戦公式Twitter
祓ったれ本舗解散のご報告。
祓ったれ本舗はこの度、方向性の違いにより解散する運びとなりました。
今までのご声援誠にありがとうございました。
尚、五条悟と夏油傑の個人活動につきましては、呪術廻戦0〜10巻及び「少年週間ジャンプ」にてご確認ください。
祓ったれ本舗はコンビを解散し、ホームページは4月1日をもって閉鎖する事となったのである。
この間わずか4分。伝説となった。
作者が言及した2人
3月18日、漫道コバヤシと作者の雑談にて(未公開トーク)にて夏油と五条2人についての言及があった。
・「悟」と「傑」名前にコンビ感があるようにした。
・悟はナチュラルボーン天才、傑は努力型の天才。そのニュアンスの違いが出ればいいと思ってつけた名前である。
・離反後、夏油が纏っている五条袈裟は「丁度良いな」と思って選んだ。(※)
※ちなみに、夏油が五条と対峙し、五条の手によって最期を迎えるシーンでは、それまで纏っていた五条袈裟を着てない。
店長とモニター
2021年4月1日、通販サイト「じゅじゅten」にて、呪霊プロデュースシリーズ第1弾として発売され呪霊部門1位に輝く【獄門疆】の商品を紹介する為の特設ページがオープンした。(現在呪霊による事故多発の為発売停止中)。
夏油が店長として商品を紹介し、愛用者として五条が喜びの声を投稿している。
本誌の展開的に獄門疆に監禁されている状態の五条だが、ここでは獄門疆の閉鎖的空間の利便性を高く評価しているようだ。
高専ジャージ
2021年7月ジャンプGIGAにて2人のサイズを模した高専ジャージが発売されたが、サイズ表の数値に関しては「編集部監修のオリジナルサイズとなります」との説明文もあり、原作者監修では無いことを踏まえ、このグッズに記載されている数値はあくまでグッズ展開の一端の話であり、そこに原作者の意思は介入していないという事はしっかり理解しておこう。
『呪術廻戦』劇場版公開/18巻発売記念スペシャルPV
12月20日、公式から夏油(のガワを着た羂索)と五条が対峙し、封印完了までの過程が描かれたPVが発表された。動画の途中にはif I came to your place tonight would you let me in?というフレーズが繰り返し入っている。
映画公開後のラジオ
12月27日に公開されたオールナイトニッポンGOLD~劇場版 呪術廻戦0 SP~ │ NBCラジオにて、映画収録の裏話が行われた。
その中(43分辺りから)で「五条が夏油にかけるセリフは、本来は収録されていたが意図的に消して放映された」「そのセリフを聴いた上で夏油の最期の演技が出た」といった事実がリスナーに伝えられた。
夏油役の櫻井孝宏さん曰く「(その台詞を受けて)グッときた」「夏油と櫻井が同居して(演技が出来ました)」とのこと。
五条のセリフをうけて収録された夏油の最期がどのようなものだったのか、ぜひ映画をご覧になられる際は耳を傾け頂きたい。
その他
公式に付随する界隈の盛り上がり
9巻の人物紹介
手形にキャラの顔と名前が表示されるようになっている人物紹介ページであるが、9巻の人物紹介では五条が夏油に手を伸ばしているかのような作りになっている。なお、そのような構図になっているのは、既刊中(小説を含む)9巻だけである。(令和3年11月28日時点)