概要
型式番号MS-09F/Br。一年戦争後、ジオン軍残党組織「ヘルズゲート」がドム・フュンフをベースに独自開発した重モビルスーツ。型式番号は現地で付けられたものである。
機体名称の「バラッジ」は英語で弾幕を意味し、その名の通り高い射撃性能を有する。
メカデザインは瀧川虚至。
ヘルズゲート内に配備され、拠点防衛用として運用されていた。また、地球連邦軍特殊部隊「シャドウズ」チーム5の隊長カイン・ラグナードがヘルズゲートから偶然奪取・運搬する形で、宇宙仕様の機体が宇宙海賊「シュテンドウジ」でも運用された。
強力な機体で、ヘルズゲート、シュテンドウジのどちらにおいても活躍を見せたが、ヘルズゲート決戦ではカイン・ラグナードとシャドウズチーム6のメンバーに次々と撃破され、最終的に全機体が失われている。
機体解説
ベース機のドム・フュンフをさらに重装甲化し、それによって低下した機動性を補うためスカートアーマー後部に大型スラスターが追加されている。また、大型化したスカートアーマーの前面には火力増強の一環としてミサイルランチャーが増設された。
主兵装には新兵器のガトリング・キャノンを採用。背部には弾帯を収納するドラム型バックパックを装着している。
改修の結果、本機はドム系の機体の中でもトップクラスの火力と総合性能を持つに至った。
格闘兵装も装備可能だが、射撃偏重の機体特性のために使用されることは少ない。
その他の特徴としては、頭頂部に追加されたモノアイと脚部から張り出すように装着されたエアインテークがある。
また、ブレイジングシャドウに登場する機体の多くに共通する特徴として下腕部と腰側面に追加装備用のハードポイントが確認でき、ドム・バラッジにおいてはガトリング・キャノンを固定するために使用される。
地上・宇宙双方での運用が可能。宇宙で運用する機体は肩アーマーとスカートアーマーに補助スラスターが内蔵され、脚部のエアインテークをスラスターに換装、機体色はドムの正式カラーである紫を基調としたものとなっている。
メカデザインの瀧川虚至氏によると、こちらの宇宙仕様がドム・バラッジ本来の標準仕様で、ヘルズゲートで運用されている機体が陸戦仕様であるらしい。
武装
ガトリング・キャノン
型式番号XGC84-D5J
トト・カニンガム社製のガトリングガンで、ヘルズゲートで極秘裏に運用試験が行われていた。完成したのはブレイジングシャドウ本編開始時期(宇宙世紀0083年末)の一ヶ月ほど前。
上部グリップ後方と左側面のアームに機体と接続するための突起があり、装備時はそれぞれ右肘と腰のハードポイントに接続することによって機体と一体化した状態となる。
ドム・バラッジの全長を超える大きさで、照射と称される連射性能とゲルググをシールドごと粉々にするほどの凄まじい威力を持つ。また、背部のバックパックには6000発を超える弾帯が収納されており、長時間継続して射撃を行う事が可能。
絶大な破壊力を持つが反動も相応に大きく、重装甲のドム・バラッジと一体化した状態でも連射をしながらの制御ができない。そのため、兵装自体の重量も合わさり連射中に素早く照準・旋回ができないという弱点を持つ。後にヘルズゲート首領のカノラ・ゾンクシーによって改良が加えられ、反動の軽減がなされた。
ガンダムエースの設定紹介企画「レポート オブ ブレイジング シャドウ」では100mm 7GUN BARRELと表記されていたが外見上の銃身は6本で、劇中でも一貫して「六本のバレル」として描写されており、設定資料集『機動戦士ガンダム新訳MS大全集 U.C.0081-0090編』では「6銃身」と改められている。
ちなみに6つの銃口の中心にあるものは穴ではなく窪みで、銃身の中央に支柱はないため、イラストを描く際は留意するといいだろう。
ヒート・サーベル
機体の背面にマウントする格闘兵装、バックパックの下にサーベルラックのようなものが確認できる。
ペズン・ドワッジと同様に水平に装着するものと思われ、右腕はガトリング・キャノンを固定するため持ち手が左側に来るように装着すると考えられる。
劇中では敵機からの格闘攻撃を防ぐために使用された。また、ガトリング・キャノンを固定するための支持装置として用いられたこともある。
ドム・バラッジの標準装備と思われるが、サーベルを装着した画稿が無いためかゲーム作品では採用されていない。
ミサイルランチャー
スカートアーマー前面に内蔵されていて、使用時はハッチが開く。劇中未使用。
戦場の絆では「4連装ミサイル・ランチャー」として、機動戦士ガンダムバトルオペレーション2では上部の2基が10連装、下部の2基が5連装の多連装ミサイルランチャーとして実装されている。
胸部ビーム砲
左胸部に内蔵されている。劇中未使用。
ドムに装備されているものとは形状が違い、リック・ドムⅡに装備されているものと類似している。
余談
ヘルズゲート内のHLVに積まれ、後にシュテンドウジが運用したドム・バラッジだが、劇中で明かされるカノラ・ゾンクシーの目的や、ヘルズゲートがジオンからも独立し秘匿されている組織であることを考慮すると、ドム・バラッジを宇宙に上げる必要は無いように思える。
トト・カニンガム社からガトリング・キャノンの宇宙での運用試験を依頼されていたのだろうか。話の都合と言ってしまえばそれまでだが、考察の余地があるかもしれない。
関連動画
小説著者の板倉俊之氏とメカデザインの瀧川虚至氏によるトーク番組。
10:06からドム・バラッジについての解説がされている。