X-23
えっくすとぅえんてぃすりー
概要
X-MENに登場するミュータントの1人。本名:ローラ・キニー。
ウルヴァリンの女性版クローンである(誕生した経緯については後述)。
元々はアニメ『X-メン エボリューション』に登場するアニメオリジナルのキャラクターだったが、その華奢で端麗な容姿から高い人気を獲得することになり、その後原作漫画の方に逆輸入されたという珍しい経歴の持ち主である。
原作版
経歴
ある組織の研究所で生み出されたクローン人間。
男性であるウルヴァリンの遺伝子から作られたが、破損していたY染色体をX染色体で代用した結果、XX型の性染色体を持つ女性として生まれるに至った。
生まれたときから名前も与えられずただひたすら戦闘マシーンとして育てられたが、生みの親である代理母のセアラ・キニー博士から「ローラ」の名前を貰ったことで自分の人生を切り開くことを決意した。
だがその人生は過酷なものであった。
裏切りの報復として親代わりであったキニー博士を殺されてしまい、復讐に狂ったローラは研究所関係者全員を惨殺。その後しばらくは娼婦としてニューヨークに隠れ住んでいた。
その後X-MENと邂逅。
当初は敵対していたが後に和解し、一時的にX-MENのメンバーに選ばれたりもした。
ある意味で父親であるウルヴァリンに対しては複雑な感情を抱きつつも好意的に接しており、彼の死後はウルヴァリンの名と地位を受け継いでいる。
能力
クローン元のウルヴァリンとほぼ同等の能力を持つヒーリングファイター。
ただしアダマンチウムクローは、手から3本のクローを生やしたウルヴァリンとは違い、手から2本、足の先から1本を展開する。こうした差異が生じた要因について、実写版では「性差による影響」と推測されている。
実写版
ウルヴァリンシリーズ最終作の『LOGAN/ローガン』に登場。
原作とは異なりクローン人間ではなく、ウルヴァリンの遺伝子から作られた精子を現地(メキシコ)の女性に人工受精させて作られたデザイナーチャイルドの少女という設定になっている。つまり、映画内における彼女にとってローガンは紛れもなく血の繫がった父親である。
ちなみに、母親となった女性はローラを産んで間もなく行方不明となっている(恐らく口封じのために研究機関によって殺害されたものと思われる)。
劇中では一貫して、“ローラ”と呼称されている(姓の“キニー”は無いが、“X-23”と言う名前も研究所時代のコードネームとして一応登場する)。
経歴
アメリカの巨大企業トランシジェン社が保有する、メキシコの遺伝子研究所で誕生。
そこでウルヴァリンと同様、アマダンチウムの移植手術を受けた後、自分と同じような経緯で人工的に生み出されたミュータントの子どもたちと共に超人兵士になるための訓練を受けていた。
しかし、研究所が改良作(恐らくウルヴァリンのクローンであるX-24のことだと思われる)の開発に成功したことや、子どもたちの反抗などによって計画は破綻、最早無用の長物となったミュータントの子どもたちは次々に殺処分されていき、ローラにもその魔の手が迫ってきた。
ローラは兼ねてより施設の方針に疑問を持っていた一部の職員の手引きを受け、生き残ったミュータントの少年・少女らと共に施設を脱走。その後はガブリエラという女性職員の元に匿われていたが、トランシジェン社からの刺客であるピアースによってガブリエラが殺害された後は、ローガンとチャールズ・エグゼビアの元に身を寄せることとなり、彼女を亡き者にせんとするピアースらからの決死の逃避行を繰り広げることとなる。
人物
過酷な人生を歩んできたためか、当初は心を閉ざしており、一切言葉を発しなかった。ローガンらに対しても当初は警戒心を露にしていたが、共に旅をする中で次第に心を開いていき、最終的にはローガンときちんと会話をするまでになった(ローガンは彼女が話せるとは思っていなかったらしく、初めて言葉を話すのを聞いた際は、「お前、話せたのか!?」と驚いていた)。
生まれてからずっと施設で育てられていたためか、店の飲食物を勝手に食べたり、金も払わずに売り物のサングラスを持ち去ったりと世間知らずな面もある。
基本的には物静かで大人しい性格の、どこかあどけなさの残る少女だが、自分に対して危害を加えようとしていると判断した相手に対しては態度が豹変、普段からは想像もできないような凶暴性を見せる。
当初は身を守るためなら躊躇せずに人を殺したりもしていたが、ローガンやチャールズとの交流を経て徐々に心境に変化が生じていったらしく、終盤では劇中で鑑賞した西部劇映画『シェーン』の台詞から「人を殺した者はその罪を背負い続けなければならない」と述べるなど苦悩している描写もあった。
演者について
今回ローラを演じたイギリス出身の女優(子役)ダフネ・キーンは、アクション映画への出演は本作が初めてであったが、撮影開始前に積んでいたスタント・トレーニングの甲斐もあってか本番では見事なアクションを披露し、共演者のヒュー・ジャックマンやパトリック・スチュワートらを大いに驚かせたそうである。
アクションのみならず、演技力においても高い評価を得ており、ヒュー・ジャックマンも「非常に難しい役どころであったが、それを見事に演じきった彼女は本当に大したもの」と絶賛している。
また劇中ではスペイン語を話すシーンがあるが、これもスペイン人の母親の影響で英語とスペイン語のバイリンガルであるキーン本人が担当している。