概要
ある物体を構成するすべての部品が置き換えられた時、それが同一性を保持しているかという問題を扱うパラドクス。
発展して「人間の細胞は早い部位は一日、遅い部位でも一年以内に全て入れ替わるが、果たして去年の自分と現在の自分は同一存在であろうか、そうであるならその定義は何か?」という思考実験として用いられる。
携帯ゲーム機の修理技術発展や代替パーツが普及した現在はレストアの結果、純正パーツの割合が減った本体に対してネタとして使われる。
中には本来代替できないはずのメイン基板すら作ってしまった変態技術者も。
由来
「かつて英雄テセウスが乗った船は後世までアテネで保存されていたのだが、その保存の過程で傷んだ部分を随時交換して修復したことで、後の時代のテセウスの船にはテセウスが乗っていた当時の部品は残っていなかった」という伝説に由来する。
漫画
2017年から2019年にモーニングにて連載された東元俊哉の青年漫画。
2020年冬にTBS系列の日曜劇場枠にてドラマ化された。主演は竹内涼真。竹内としては同枠では初出演となる。主題歌は、Uruの「あなたがいることで」。
あらすじ
1989年(平成元年)6月24日に北海道・音臼村の音臼小学校で児童16人、職員5人の犠牲者を出した無差別毒殺事件。自宅から凶器の青酸カリが発見されたため容疑者として逮捕された駐在所警察官・佐野文吾は一貫して否認したものの、最高裁でも死刑判決が下り収監中である。
佐野文吾の息子の田村心は、死刑判決を受けながらも、なお無罪を主張する父親の冤罪を信じて、事件についての調査を行う。
関連タグ
鉄道車両におけるこのパラドクスの例
EF81:90号機は廃車時に新造時からの部品がすべてなくなっていた。
8620:JR化後に復活した58654号機の部品は復活時に製造されたもの。
近江鉄道:一昔前は車両を置き換えるときによく「車籍を残したまま車両のみを他社からの中古車にそっくり入れ替える」という手法をとっていた。
モト75形(近畿日本鉄道):電動貨車兼東大阪線車両の五位堂入場回送の牽引車。「デハボ」の車籍を残す最後の車両だが、デハボ由来の部品は後年の改造を繰返した結果、すべて失われている。