概要
『るろうに剣心』の第3部に当たる長編エピソード。原作漫画はこれが最後のエピソードとなり、TVアニメ化は最後までされなかった(ただし、回想編はOVA『追憶編』となり、縁との最終決戦はOVA『星霜編』内で部分的に収録されており、キャラデザが漫画とかけ離れた超絶美麗作画で再現されている)。
テーマとしては「緋村剣心が”人斬り抜刀斎”時代に犯した罪と向き合う」ことが主軸となっており、登場する敵キャラたちは剣心に個人的な恨みを持つ者達ばかりである。
そのため、剣心はとにかく心身共に追い詰められることとなり、前章京都編とは打って変わって重苦しい空気に満ちた章となっている。ある意味、和月伸宏の暗黒面が炸裂した章であり、和月氏も描いている間は自己嫌悪に悩まされたとのこと。
余りに暗く陰鬱な展開のため、「このエピソードで見るのを辞めた」という読者の抗議の手紙が来た、と作者も語っている。
事実、ある登場人物に起きた事とその描写は突然かつショッキングなものだった為、その出来事が掲載された週は読者の間で物議を呼んだ。この頃既にインターネットはあったがまだまだ現在のように一般化普及しておらず、もしこの時代に今のSNSのような土壌が存在したら騒動は絶対に避けられなかったであろう。
なお、この件の真相が暴かれた後、(僅かではあるが)コミカルな演出が復活し、信州を舞台とするサイドストーリーが連載初期に近い作風に戻っていたが、和月氏の本章に対する自己嫌悪をより引き立てる格好となっている。
その後、2020年に実写映画版の最終章として公開される事が報じられた。(しかし、COVID-19の大流行により、2021年4月23日に延期された。)人誅編の映像化は初となる。主題歌は、ONEOKROCKの「Renegades」
あらすじ
志々雄との戦いから月日が流れたある秋の夜、一発の轟音と共に上野山から砲弾が撃ち込まれ、剣心たちの憩いの場である「赤べこ」が破壊されてしまう。
上野山に向かう剣心と左之助だったが、そこには砲台の跡すらなく、ただ一枚「人誅」と書かれた手紙だけが置かれていた。
自分を狙う復讐者が来ると悟り覚悟を決める剣心だったが、それからほどなくして手甲で武装した格闘家・戌亥番神と暗器使いの乙和瓢湖が剣心の見知った道場や警察署を襲撃。剣心と左之助は現場に向かうものの、逃げられてしまう。
罪の意識に苛まれる剣心だったが、その前に銀髪の青年が立ちはだかる。その青年の名は、雪代縁。