概要
中国人民解放軍(簡体字中国語:中国人民解放军、英語:People's Liberation Army)は、中華人民共和国が保有する事実上の軍隊。党の最高軍事指導機関である中央軍事委員会の指揮下にある軍事部門であり、人民解放軍などと訳される。兵員は基本的に志願兵であり、志願者である兵士には各種特権が付与される。
歴史
1927年8月1日の南昌起義を建軍記念日とし、軍の徽章には紅星に「八一」、軍旗は紅地に黄色で星と「八一」の字があしらわれている。その後は各地にあった紅軍をまとめ、第二次国共合作において中国国民革命軍第八路軍及び国民革命軍新編第四軍となった後、1947年10月に中国人民解放軍となった。
機構
軍種 | 発足 | 特徴 |
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中国人民解放軍陸軍 | 1927年8月 | 党と国家の歴史だけでは無く、内戦において重要な役割を果たしてきた。 |
中国人民解放軍海軍 | 1949年4月 | 主に沿岸防衛活動を担当する。 |
中国人民解放軍空軍 | 1949年11月 | 5200機以上の軍用機を有する。 |
中国人民解放軍ロケット軍 | 1966年7月 | 2015年12月までは第2砲兵隊という名称であった。 |
中国人民解放軍戦略支援部隊 | 2015年12月 | 宇宙・サイバー空間などでの防衛任務を担う。 |
この他に公安組織である中国人民武装警察部隊も中国人民解放軍に属する。また軍事機関の指揮下により戦備勤務・防衛作戦任務・社会秩序の維持と補佐を担う下部組織として中国民兵がある。人民解放軍、武警、民兵の三つを纏めて武装力量と呼称している。
軍の近代化
兵力の大削減と並行して、陸海空ともカタログスペック上は西側・ロシアと遜色無い国産兵器を揃え、最新兵器の増備を続けている。
陸軍
99式戦車を1000両以上、96式戦車を2000両以上配備している。旧式の59式戦車・69式戦車・79式戦車も2019年時点でまだかなりの両数が存在するが、96式と99式の配備と並行して削減が進められている。
海軍
1998年3月にウクライナから空母の「ヴァリャーグ」を取得し、「遼寧」として就役させた。潜水艦は原子力潜水艦と非大気依存推進攻撃潜水艦の両方を並行して配備しており、他のどの国よりも多くの艦を建造している。また、台湾の武力併合が可能となる実力を目指して揚陸艦の増備も急いでおり、従来の沿岸海軍から脱却して太平洋への進出をにらんだ増強を進めている。
空軍
Su-27のコピー型であるJ-11シリーズは300機以上保有している。これは日本・韓国の新鋭機であるF-15保有機数を凌駕している。また空軍が用いる兵器(戦闘機など)の取り引きにおいては、完成した機体を購入する時代は終わり、エンジンやレーダーなどのような装備単位で買う段階になったと言われており、その象徴がJ-10である。これは独自開発した機体であり、西側のコードネームであるヴィゴラス・ドラゴン、ハイ・ロー・ミックスに用いる低価格機で、F-16に当たる機体である。
軍の立場
中国に存在する唯一の正規軍であるため、報道機関では中国軍と呼ばれるが、厳密には間違った呼称である。そもそも中国人民解放軍は国では無く、党の配下にある。これは1918年1月から1946年2月まで存在したソ連の赤軍と同じであり、この視点で見れば暴動鎮圧も当然の任務である事が分かるだろう。つまり党を守る事が中国人民解放軍の任務なのである。