B-1
びーわん
当初は超低空飛行によって敵地奥深くまで侵攻し、核攻撃を行う必要があるとの戦略思想に基づき1970年(ベトナム戦争中)より開発が開始された爆撃機。もともとはB-52の後継機だった。
1977年に開発は一度中止されたが、1981年に再開。
だが戦略爆撃の時代は終わっており、高高度での水平爆撃から低空進入爆撃が求められるようになっていた。そこで構造強化や電子妨害、低空侵入用地形追従レーダーなどを追加してB-1Bへ発展し、名称も『ランサー』と改められて現在へ至る。
ソ連の先制核攻撃によって滑走路が一部破壊されても残った滑走路で離陸できるようにSTOL(短距離離着陸)性能も要求され、これらを満たす為に可変後退翼が採用された。
大型爆撃機としては珍しい可変翼により、15度から67.5度の後退角で幅広い速度領域をカバーしており、最高速度は空気取り入れ口が可変式となっているA型でマッハ2.0、固定式となったB型ではマッハ1.25となっている。
ECM、ドップラー・レーダー、地形追随レーダー、赤外線監視装置など多彩な電子機器を搭載しており、当初は核兵器中心だった使用兵装も改修を重ねた結果レパートリーが増え、幅広い任務をこなす事ができるようになった便利な子。
また、限定的ながらステルス能力を持っている為、レーダーによる発見率は低いと言われている。
(ただし、かなり限られた角度でしか効果はない)
現在は核兵器の運用能力が削除され、緊急近接航空支援という以前とはまったく別の任務を担っている。
90年代以降の近接航空支援と言えば、誘導兵器による精密攻撃である。低空飛行の必要はないわけだが、「低空飛行ができるならば低空訓練をしなければならない」ということで、負荷の大きな低空飛行訓練により機体寿命が浪費されており、もともとのコストの高さも相まってB-52よりも早く退役する予定である。
なお、形状が酷似しているロシアのTu-160はB-1を参考に開発されたと言われるが、両国の技術格差によりTu-160はより大型の機体となっている。