解説
正式な邦題は「マイティ・ソー バトルロイヤル」で、過去2作のようなシリーズタイトルと副題の間に半角スラッシュ(/)がつかない。
タイカ・ワイティティが監督を務め、主人公・ソーがファンタジー世界と現代社会の2つを行き来するローファンタジーな過去2作と異なり、宇宙を舞台にしたSFかつコミカルな演出が盛り込まれた、今までの「マイティ・ソー」のイメージを覆す一作となった。
主演のクリス・ヘムズワースもこうした方向転換を「ソーの新たな可能性を創り出した」と絶賛しており、一時は考えていた「ソー卒業」を翻意。
いわゆるビッグ3(マイティ・ソー、アイアンマン、キャプテン・アメリカ)で唯一、単独映画の第4作の製作が決定している。
勿論、監督はワイティティである。
メインヴィランはコミックにも登場するヘラ。
後のMCU作品にも登場する初登場キャラクターとして、ヴァルキリー、コーグがいる他、ドクター・ストレンジが登場した。
一方で、これまで「マイティ・ソー」シリーズのレギュラーであって、オーディンやウォーリアーズ・スリーは、本作で退場となってしまった。
原題は「Thor: Ragnarok」。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(原題「Guardians of the Galaxy Vol. 2」)』に続いて原題と邦題が大きく乖離していることに対し、日本のファンからは多くの批判が寄せられた。
それに対し、MARVELコミックスと日本の繋ぎ役の一人であり、東京コミコンなどで何度も日本に来ているバイスプレジデントのC.B.セブルスキーは、
「日本では『ラグナロク』は一般的な言葉ではないので、『マイティー・ソー バトルロイヤル』と呼ばれるよ!」
と自身のインスタグラムで発言している。
ちなみに、闘技場の歴代チャンピオンの肖像はオマージュがされている(参照)
あらすじ
『エイジ・オブ・ウルトロン』後、アスガルド、ミッドガルド以外の7つの世界を巡り、インフィニティ・ストーンを探していたソーは、ムスペルヘイムのスルトを倒し、アスガルドに帰還した。
だがアスガルドはオーディンに化けた義弟・ロキが支配しており、ビフレストの番人ヘイムダルは放逐され、オーディンは地球の老人ホームに預けられていた。
ロキの正体を暴いたソーは地球へ向かうが、オーディンが入れられていたホームは潰れていた。そんな彼らをドクター・ストレンジが助力し、2人はノルウェーでオーディンを見つけるも、オーディンはすでに力を失っており、2人の前で消滅してしまう。
その直後、オーディンによって封印されていた姉のヘラが復活。
ヘラは圧倒的な力でソーとロキを攻撃、慌ててビフレストで撤退しようとするも、ヘラの追撃でソーはビフレストからはじき出されてしまう。
気を失ったソーが目を覚ましたのは、グランドマスターが支配する惑星サカール。
そこでは、かつてアベンジャーズの仲間として共に戦ったハルクが、闘技場のチャンピオンとして君臨していた……。
キャラクター
- ソー
- ロキ
- ヘラ
- ヘイムダル
- グランドマスター
- ヴァルキリー(ブリュンヒルデ)
- スカージ
- スティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジ
- コーグ
- トパーズ・カルロ
- スルト
- ホーガン
- ヴォルスタッグ
- ファンドラル
- ブルース・バナー / ハルク
- オーディン
余談
- ヴァルキリー役のテッサ・トンプソンは「ヴァルキリーはバイセクシャルという想定で演技をした」と発言しているが、ヴァルキリーの性的指向についての直接的な描写はない。ただし、次回作では、同性愛者かバイセクシャルかは不明だが「女性が恋愛の対象」である事を示すシーンが有った。
- ソーが冒頭で使った「投げたムジョルニアの軌道を曲げて複数の敵を一度に撃破する」と云う技は2010年代半ばにコミックにも出て来たが……なんと、この技をコミックで最初に使ったのはソー・オーディンソンではなく、一時的にソーの力と名を得ていたジェーン・フォスター。
- コーグの元ネタはコミックに登場する同名のキャラクターで、MCU版と同じく岩で出来た異星人だが……何とコミック内では「ソーの表の姿であるドナルド・ブレイクがソーの力に目覚めて最初に戦った相手」。その後、コミックの「Planet Hulk」というエピソードで再登場し、惑星サカールで奴隷剣闘士となっていたがハルクが反乱を起こした際に仲間となる。
- 予告映像では「中盤の山場→終盤の山場→序盤の山場」を繋げて一続きのシーンに見せ掛けるという、いわゆる「予告詐欺」をやっていた。