原名:British Museum(英)
1759年に開館。その後規模拡大を続け、現在は収蔵品約800万点、うち常時展示約15万点を蔵する世界有数の巨大博物館となっている。
基本的に観覧料は無料。博物館の維持は寄付(館内でも受付している)やグッズ販売で賄われている。
収蔵品の中には大英帝国時代に植民地や諸外国で買い叩いたり略奪したりしたシロモノも少なからずあるため、返還要求が時に起きたりもしている。
このことをして「泥棒博物館」などとも揶揄されるが、本来の収蔵地に存在したままであったら戦火や政情不安で失われていたであろうとみられる物品も少なくないため、功罪両面を併せ持っていると言える。
主な収蔵品
ロゼッタストーン
詳細はロゼッタストーン記事参照。大英博物館の象徴的な展示品の一つである。古代エジプト王の勅令が古代エジプト文字とギリシャ文字の両方で記載されていた石板。文字の比較から、古代エジプト文字の解読、ひいては古代エジプト文明の実態を明らかにする事を可能にした超重要資料。
ナポレオン軍が遠征中のエジプトで発見し、ナポレオンを破ったイギリス軍が奪取して本国に持ち帰ったという発見時の劇的な歴史も背負う。今は無断で重要資料を国外に持ち出された立場のエジプトが返還請求を繰り返している。
パルテノン神殿彫刻「エルギン・マーブル」
古代ギリシャのパルテノン神殿を飾っていた彫刻群。イギリスの外交官エルギン伯がその彫刻に着目して削り取り、当地の支配者オスマン帝国の許可を得て本国に持ち帰った。イギリスではその美が高く評価される一方で、親ギリシャの詩人バイロンをはじめ、伯爵の略奪を批判する声も大きく賛否両論の論争となった。しかも、かつては白無地大理石の彫刻と考えられていたのが、21世紀の研究で極彩色に塗装されていたらしいと判明。1999年BBC報道により、大英博物館は彫刻が塗装されていた可能性を無視して洗浄し塗料の痕跡を消滅させてしまった事が発覚、大スキャンダルとなった。
重要遺跡から相談もなく彫刻を奪われた立場となるギリシャ政府が返還請求を行っており、さらに博物館側が塗装状況の史料を破壊してしまったことは外交問題に発展している。
モアイ像「ホアハカナナイア」
11~17世紀にイースター島のポリネシア人によってつくられたと考えられるモアイ像。1868年に英国海軍が持ち出してイギリスのヴィクトリア女王に献上、女王から博物館に寄付された。現地での持ち出し許可は得てなかったという。チリ政府とイースター島住民により返還請求が行われたが、2018年のロイター報道によるとイースター島当局は現地よりも博物館の方が保存に適しているという論争があると表明しているロイター。