概要
ギリシャ神話に登場する女神・アテナを祀る為に紀元前に造られた神殿。
なお、「パルテノン」とは「処女が居る場所」の意味であり、その名前の由来については、アテナが「処女神」である為、処女のみがアテナの巫女になれた為など複数の説が有る。また、建設当初は「ヘカトンペドス(百の足)」とも呼ばれていたが、こちらについては名前の由来は不明。
1987年に世界遺産に指定された。
余談
- 古代ギリシャにおいて、東側を「神殿の正面」とする慣習が有った。しかし、パルテノン神殿は東側が断崖絶壁になっている為、神殿の西側(裏側)に有る参道を通って、ぐるっと回って正面に行く必要が有る。つまり、写真・絵などで良く見る「パルテノン神殿」は、実は裏口から見た状態。
- 中世以降、ギリシャの支配者が何度も変った為、パルテノン神殿も、ギリシャ正教の聖堂として使われる→カトリックの教会として使われる→イスラム教のモスクが建てられる→戦時に火薬庫として使われていたら敵軍から容赦なく砲弾を撃ち込まれ爆破される→再建、と云う数奇な運命を辿っている。
- 21世紀になってからは、古代においては極彩色だったと云う説が有力になっている。
- イギリスにより強奪されたレリーフの一部が大英博物館に収蔵されているが、1930年代に当時の「古代ギリシャ」のイメージに合わせて表面にわずかながら塗料が残っていたにもかかわらず、完全漂白されてしまった。なお、大英博物館に収蔵されているレリーフについては、現在でも、ギリシャからイギリスに対して返還要求が続いている。
- なお返還反対論の中には「大英博物館の方が保存に適している」などの意見も有るが……「レリーフの表面を金タワシでゴシゴシ」などという、とんだ史料損壊をやった癖に、流石に、この言い草は無い。
- 他の古代ギリシアの神殿には必ず存在していた「供物を捧げる為の祭壇」が存在しておらず「たまたま巨大なアテナ神像が有るだけの宝物庫」だったのではないか? とする説も有る。
- なお、ギリシャは世界有数の地震国であり、それでも古代に建てられた建造物が近代に砲撃とそれによる火薬への引火で破壊されるまで無事だった、というのは、古代ギリシャの建造物の耐震技術の優秀さを物語ると言える。
- アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルに、世界で唯一、忠実に復元(ただし、素材はコンクリート造)したパルテノン神殿がある。これはテネシー州100周年記念で開催された万博のモニュメントであり、その後も市のシンボルとして親しまれているだけでなく、館内は史実に即してアテナ・パルテノス像を忠実に再現しており、美術館となっている。同市が南部のアテネと呼ばれる所以だが、アテネの旅行者曰く雑に修復された本物より美しいという意見すらある。