概要
藤子・F・不二雄原作のアニメ作品『ドラえもん』にて、副主人公・野比のび太がいじめっ子であるジャイアン・骨川スネ夫から度々投げつけられる人格否定の暴言である。
良くも悪くも、視聴者に作中におけるのび太の立ち位置を決定・印象づけた迷言でもある。
解説
いつも2人にやられてばかりであるのび太だが、たまには逆襲する。主人公・ドラえもんに頼み込んでひみつ道具を出してもらう、勇気と知恵を駆使して立ち向かう、「スネ夫を殺して僕も死ぬ!」とブチ切れるなどシチュエーションは様々だが、その際にいつも自分達がいじめている相手からやり返されてジャイアンとスネ夫が逆ギレしながらこの発言をいう。
のび太の人間としての尊厳を全否定しきった暴言であるため、ドラえもんの辛辣さがネット上で話題になる前から『ドラえもん』を代表する迷言として有名だった。
実はこの台詞、アニメ化に際して先代ジャイアン役のたてかべ和也氏が「視聴者である子供が日常生活で実際に使用しないように」という理由で、攻撃範囲をのび太だけに絞った苦肉の策として考案したものであったことが近年明かされている。原作とアニメ版を見比べてみると、「ギッタンギタンにしてやる!」等々のいくつかのセリフがこれに差し替えられていることが分かる。
この台詞には今は亡きたてかべ和也氏の子供達への愛情が込められていたのだ。
この他にもアニメ版では、ドラえもん初登場時の「やあ、おまえがのび太か」という台詞が、あの有名な「こんにちは、僕ドラえもんです」に差し替えられているなど、子供への悪影響に配慮した工夫が垣間見られる。
ただ、「この台詞がきっかけでジャイアニズムという概念が広がったのでは?」と考えるファンも少なからず存在しており、同時に原作そのままにアニメ化されないことへの不満を持つファンも存在する。
これだけならただ2人が非道な人間に見えるがスネ夫はスネ夫でのび太同様、あるいは彼と一緒にジャイアンにいじめられたり、責任転嫁を受けることも多く、一方でジャイアンもスネ夫の機転を利かせた行動で恥をかいてしまうこともある。その際はのび太に友好的な態度を取り、結託してジャイアン及びスネ夫に日頃の恨みを晴らすこともある。それだけでなく、ジャイアンとスネ夫が仲間割れすることも決して珍しくない。
原作の20年後を描いた実写版(TOYOTAコマーシャルシリーズ)の第一回でも、これを意識した台詞が存在している。とは言え意味合いはかなり異なっており、自分に気を遣うのび太に対し「何言ってんだ、のび太のくせによ」と笑みを浮かべるシーンで、人格否定どころか長年の絆を感じさせる一言になっている。
パロディ
- 『勇者のくせになまいきだ』(有名なシミュレーションゲームシリーズ。アクワイア開発・SCE販売)