概要
falloutシリーズに登場する、ウェイストランド(世紀末状態のアメリカ)を荒らし回る人間のミュータント。非公式の通称は「スパミュ」。
人類がFEV(強制進化ウィルス)に感染することで変異する。
放射能と生物兵器のあわせ技で生まれた存在であり極めて凶暴かつ残虐。自らをウェイストランドで最も優れた種と信じている。
生態
変異の元になったFEVの菌株によって肌の色や知能の高さなど微妙に性質が異なるものの、2mを越える筋骨隆々の巨躯に人間の比ではない筋力・スピード、病気や放射能に対するほぼ完璧な耐性、老いる事の無い肉体などは共通している。フィジカルだけならば人類の完全な上位互換である。
一方で変異によって人間であった頃の人格と記憶、理性は失われる。むしろそれらを残している者は彼らの中で「失敗作」扱いされる。
生殖能力も失われており、さらった人間のFEVを感染させることで繁殖する。他生物の肉を好み、当然カニバリズムも行うなど見た目ゾンビなフェラル・グール以上にゾンビに近い生態をしている。
そのような生態でありながら、知能の低いタイプでも人と会話することはおろか各種ハイテク重火器を使いこなす。そして知能は高くともその凶暴性は同じであり、ウェイストランドの様々な脅威の中でも上位に位置する生命体である。
知性があるためか一応彼らなりの文化らしきものはあり、人喰い一つとっても鍋で煮込んだり、熟成肉にすべくバラした人体を網で吊るしたり(ゴアバッグ、ミートバッグと呼ばれる)といった様子が各地のスパミュ拠点で見られる。
また仲間意識もある…というか「個人」という認識が薄いらしく、基本的になんでも「みんなのもの」であり仲間内の争いはしない。コンパニオンになるストロングも、人間が同族同士で戦うことが理解できないという主旨のセリフを言うことがある。
来歴
時は最終戦争、核兵器の撃ち合いとなる前。中国軍のウィルス兵器に対するワクチンを開発していた米軍は、そのワクチンを生物に投与すると筋肉の肥大化や知能の強化などの有益な効果が発現することを発見。これがFEVに発展し、計画はこれを人間に投与し、超人兵士を作るという方針に切り替わる。人体実験の発覚によって内乱が発生し計画は頓挫するも、核戦争による一連の混乱や研究を引き継いだいくつかの組織(菌株が複数存在するのはこれらの組織が独自に研究を進めたため)のやらかしでFEVが地上に漏出。荒廃した地上にスーパーミュータントが蔓延ることになる。
各作品での活躍
初代
ラスボス勢力。「ザ・マスター」と呼ばれる、機械と融合し人間以上の知性と超能力をもつ例外中の例外に率いられる。とくに「マスターズアーミー」と呼ばれるザ・マスター謹製のエリート軍団、通称「第1世代」は火器を使いこなせるどころか医者や科学者まで居るほどの知能を持ち、更に素手でパワーアーマーごと人間を引きちぎるなど、非常に強力な軍であった。
しかし生産は困難で、素体となる人間が放射能で汚染されていると特に知能に重大な問題のある失敗作になりやすい。また、当初のプランでは生殖能力も持つはずだったようだが、マスターの計算ミスで失われたようである。
「1」では上記のマスターズアーミーの猛威により、西海岸に存在する多くの街は時期がくれば間違いなく地図から消えてしまうという状況からゲームがスタートする。
このマスターズアーミーは突如として地上に現れた初代主人公「Vaultの住人」の活躍により壊滅。生産施設も破壊され、西海岸でそれ以上スーパーミュータントが増える事は無くなった。
ザ・マスター
falloutシリーズの初代ラストボスにして、西海岸スパミュを生み出した張本人。
上記の通り、超人的な頭脳、テレパシー能力、機械や他の人間を取り込む能力を持つ。
自分こそが完璧な生物であると自負し、全ての人間をこの完璧な生物に置き換える野望にとりつかれている。そうして繰り返された実験の中で作り上げられたのがスーパーミュータントである。
元々は「リチャード・モリュー」という名のVault8の住人。殺人の嫌疑をかけられVaultを追放。The Hubに住み始め、じきに南地区の長となった。リチャード・グレイと改名した彼はその後、トレーダーたちを襲う謎のミュータント生物の調査を行う為に発生源であるマリポーサ軍事基地へと向かい、そこでFEVを発見する。
しかし不運にもセキュリティシステムに検知され、ロボットアームに捕まってしまったグレイはFEVのタンクに漬け込まれ、おぞましい肉塊のような姿に変異してしまう。
こうして上記の超越的な能力を手に入れたグレイは「ザ・マスター」を名乗り、FEVウィルスが大量に保管されていたマリポーサ軍事基地を根城とし、変異させたスーパーミュータントたちをテレパシー能力で自由自在に操り「マスターズアーミー」を作り上げた。
マスターズアーミーは地上で猛威を振るい続けたが、最終的に自らのもとに現れた「Vaultの住人」によってマスターの野望は潰え死亡する(プレイヤーの選択によって戦死・自害・ある日突然核爆殺など結末は異なる)。
2・NV
その後の西海岸で登場する、肌が緑色のスーパーミュータントは人間とあまり争う気の無い一派である事が多い。しかしながら初代での出来事から人間がスーパーミュータントを攻撃する事が多く、スーパーミュータントでも人間との共存を認めない一派がテロ行為を起こすなど、情勢は良いとは良い難い。
fallout3
東海岸が舞台の「3」では黄色い肌のスーパーミュータントが登場。
Vault86で繰り返されていた人体実験で誕生した。
適当にウェイストランド人を拉致してFEVを投与するという粗製乱造が行われているため、力こそ強いものの知能の方はあまり高くない(武器だけは満足に使えたりするのだが)。
「3」エンディング時点では未だに蔓延り続けていたが、「4」にてBoSの主導によりほぼ根絶されたという言及がある。
fallout4
インスティチュートのバイオ部門により発生。肌の色は緑色。
3に比べて多少頭が良く「ごちそうがあるよ~」と嘘をついてこちらを誘きだそうとしたり、「お前達人間が我々を造った!傲慢さの報いを受けろ!」とカッコいい事を言っていたりする。またステルス状態で接近すると世間話をしていたりする辺り、文化性もあるのだろう。
彼ら自身はインスティチュートでの実験放棄により「破棄」されたようだが、FEVまでもがなぜ地上に流出してしまった(orさせた)のかは最後まで不明。だが破棄されただけにしては数が多いため、何処かに大量のFEVを保管した施設等があるものと思われる。
最終的に本編開始のはるか以前(主人公の冷凍睡眠中)にボストン周辺の居住地を大群で襲撃し、地元の民兵組織であるミニッツメンや居住地の住人らの防衛により返り討ちにされ大半が壊滅した。
本編で見るのはその残り少ない残党(ゲーム上ではいくらでも湧くが)であり、メインストーリーには関わらない。
なお、ミニッツメンはこのスパミュの大攻勢からダイヤモンドシティを防衛した功績で一躍名を挙げ、全盛期を迎えることになる。
fallout76
ウエストテック研究所からFEVが流出することで発生。
最初期のFEVであり研究が進んでないため、流出地の村は政府と研究機関によって実験場とされ人間がミュータントに変異していくさまが生々しく記録されている。
戦後はエンクレイヴによって解放されたことでアパラチア全土に蔓延したようだ。
例外
突然変異的に理性に目覚めたり、人間だった頃の記憶を残してしまうなど、例外的に対話・共存が可能なスーパーミュータントたち。本来のスパミュの群れでは多くの場合迫害対象となる(本人たちもまたスパミュの野蛮さに愛想を尽かす)ことが多く、また理性と本能的凶暴性の間で苦しむ個体も少なくない。
コンパニオンになった場合はスパミュの高い身体能力が頼りになる。
関連イラスト
関連タグ
ミュータントハウンド:FEVで変異した犬。多くはスパミュに使役されている。
ケンタウロス:スーパーミュータントになり損なった異形の化け物。