解説
Falloutシリーズに登場する、戦前からアメリカ政府を影で操っていた秘密結社。
核戦争以前の技術を失うことなく発展させており、「アメリカ合衆国の正当な後継者」を自称するにふさわしい物量とテクノロジーを有した3以前におけるウェイストランド最強の武装組織である。
純血主義を掲げ「純粋なアメリカ人」の国家建設のため、グールやスーパーミュータント諸共ウェイストランド人を殲滅しようと企む。
*では、我らの大統領エデンが霊的な説明を・・・。 |
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組織の始まり
前述の通り、エンクレイヴは2077年10月23日9時47分に起きた核戦争を生き延びた戦前から有る組織である。
合衆国政府を操っていた陰の組織であったこの秘密結社は、「 合衆国 政府の重要な人間が生き延びていれば、素早く共産主義を一掃出来る。」と信じていた。中には組織の有益になる物と考えエンクレイヴと関係ない大企業や科学者、軍事複合体なども含まれていた。
Vault計画
大半の主人公達の出身地にして多くの旅するプレイヤー達にきな臭さを感じさせるVault。
表向きは核戦争による放射線や伝染病による病気から守るために政府とVault-Tec社はセーフハウス計画として銘打たれた。ところが実際は強いアメリカを作る為の無辜の人々をモルモットにした実験場として細工がなされていたのである。
本来はエンクレイヴのメンバー達を中心にVaultシェルターに一時的に避難して、秘密裏に建造していたロケットに乗り込み、地球から脱出しG.E.C.K.(エデンの園創造キット)で惑星を開拓する算段であった。がしかし計画は頓挫し、不足の事態への備えや将来的な惑星移住に関わる懸念を研究する為に122個のVaultを実験場に改造ないし建造したのだった。
例:
- 「人類保存型Vault」
作中ではVault13とVault101、Vault76が該当。一番マシなVault。
恐らく人員の補充用だと思われる。ただし76に関しては戦前に手放した施設の奪還という使命を持たされ、前2つと違い時間があれば開放される事になっていた。
- 「技術研究型Vault」
Vault22やVault81などが該当。中には、有意義が見いだせない研究や実験があるが人命を犠牲にせず、核戦争後の開拓に役立つ研究もあった。危機管理が杜撰の為全滅も・・・。特に87は東海岸でのスパミュを誕生させたキャピタル・ウェイストランドが危険な土地になる元凶となっている。
- 「社会実験型Vault」
Vault21とVault34などが該当。戦争で崩壊しかけた戦前の狂気が感じるものが多い。特にやばいのがVault11。作中への影響的にもっとひどいのだと94で、平和主義者を集めたにもかかわらず外的要因でG.E.C.K.が暴走しシリーズ屈指の危険地帯を作り上げてしまった。一方で15や21、70など後のウェイストランドを発展させるコミュニティが誕生していたりするので、結末によるピンキリが激しい実験施設ともいえる。
この122個のvault以外に試作や秘密裏に作ったものもあり、1のラスボスであるザ・マスターはこのナンバリング外のvaultに潜伏していた。
グレートウォー
核による壊滅で生き延びたエンクレイヴは、ポセイドン・オイル社の石油掘削施設に避難した。籠っている最中、シークレットVaultのような施設と連絡を取り、合流して新たな計画を練っていたのであった。
主な活動と没落
その後エンクレイヴは主力航空兵器であるベルチバードを運用し、かつてアメリカ合衆国と呼ばれたウェストランドを調査していた。
そこには核戦争を生き延びた人類だけでなく、見たこともない異形のクリーチャーに人間が変異したグールやスーパーミュータントなど、FEVにおかされた生物が居たのであった。
エンクレイヴ上層部は「我々の想像より酷い事になっているのでは?」と驚愕し、それらの存在を人類が復興を果たす上で不要な存在と判断、完全絶滅を目指して計画を実行に移す。
その中には軽度とは言えFEVの影響を受けていた原生生物「ウェイストランド人」も含まれていた。歴代主人公達からすれば同じように慎ましく生きる一般人すらエンクレイヴは抹殺しようとしていたのである。
2の時点では軍事力も凄まじく、特に工作員のトップの地位に立っていたフランク・ホリガンは数奇な経歴の末にウェイストランド史上最強最悪の敵(実質パワーアーマーを纏ったスーパーミュータントベヒモス、SPECIALが全て10である、行動可能回数が異常に高い等)と称される代物でとなっていた。
しかし、彼らの権威は永遠では無かった。
かつてVault13と西海岸を救った英雄(1の主人公)の孫「選ばれし者」(2の主人公)によって本拠地である海上油田基地「オイル・リグ」を壊滅させられ、本隊は滅び去ってしまったのである。
ここまでが2のストーリー。
しかし残党がウェイストランド各地へ潜入・逃亡し、この内特に大きな一団は東海岸へと逃れ、政府高官用シェルター「レイブンロック」を活動拠点とした。ここから3での暗躍が始まる。
核による汚染がひどく安全な水を手に入れる手段が少ないキャピタル・ウェイストランドにおいて、飲水を通してウェイストランド人の抹殺を行う為、ジェームズと呼ばれる人物が指揮する民間の浄化プロジェクトを彼を殺す事で乗っ取る。
しかしこれに伴い彼の子供にして当時ウェイストランド最強の人物といえるVault101のアイツに手を出したのが運の尽きで、アイツとエルダーリオンズが指揮するブラザーフッド・オブ・スティール(BoS)とかつて自らが作るよう計画した巨大ロボによる圧倒的な力で壊滅することとなってしまう。
皮肉にも政府を守る為に作られたロボットによって。
しかし展開によってはアイツはエデン大統領と対峙する機会にその目的を果たすためのあるアイテムを受け取れる。エンクレイヴを壊滅させた後、後世の人々を救うためこれを廃棄するか、大統領の意思をくみ取りこれを組み込むかはアイツ次第なのであった。
彼らの作中における有名な悪事(ネタバレ注意)
- Vaut13の虐殺(Fallout2)
かつて英雄「Vaultの住人」に救われた、Vault13の住民を虐殺。
Vaultにはそれぞれ定められた実験テーマがあるのだが、13の場合はVaultの住人を追い出したせいで彼が村を開拓してしまい、実験の意義が無意味となってしまったため排除した。
- アロヨ村の虐殺(Fallout2)
Vaultの住人が開拓し、選ばれし者の故郷でもあった村の住人を虐殺。
実験を台無しにされた報復と、Vault13の住民と同様の人体実験をおこなうためであったが、これによって選ばれし者の恨みを買うこととなった。
- 水浄化プロジェクトの悪用(Fallout3)
核による汚染がひどく安全な水を手に入れる手段が少ないキャピタル・ウェイストランドにおいて、安全な飲水を供給する為に作られていた装置を横取りし、飲水を作る過程でFEVに侵された者だけを殺すウイルスを混入させようとしていた。
この際軍事責任者であったオータム大佐がプロジェクトの第一人者ジェームズを殺した事が仇となり、アイツを始めとした各方面の怒りを買ってしまい、過去最大級の戦力を投入され壊滅させられてしまった。
- スコーチビーストの繁殖(Fallout76)
エンクレイヴというよりトーマス・エッカートの独断だが、ウルトラサイトの影響で巨大化したコウモリを繁殖させ、Fallout史上最悪の生物スコーチビーストを誕生させるという、エンクレイヴの大義と真逆のことを行っている。
敗北後
エンクレイヴの敗北後、爪痕があまりに大きかった為かFallOut3・NVではNCRやB.O.S.は、エンクレイヴの残党狩りを行うようになった。
現実におけるナチス残党のように、NCRに裁判で裁かれる場合は「死刑」か良くても「終身刑」の模様。
FallOut3のDLCにして後日談である「BrokenSteel」では、専売特許でもあったベルチバードは鹵獲されていたり、残党がアウトキャストに命乞いするランダムイベントがみられる。
一方西海岸でもNCRの影響が小さい地域では、レンムナントを名乗り、贖罪なども兼ねてこっそり活動している。中には仲間になる展開もあり、見事なファインプレーを見せプレイヤーからの評価を改めさせた。彼らは5人ほどしかいない残党でもあるが上層部と違い、いい意味で人間臭い人物の集団であった事も一因ではある。
fallout4では
チルドレン・オブ・アトムのマウントデザート島派閥の一員「グランドジーロット・リヒター」のみが、元エンクレイヴの偵察部隊と言う形で唯一の直接の関係者として登場する。
組織としてはもはや完全に壊滅、軍備もBoSに吸収されているために彼ら絡みのイベントで名前が出るくらいの面影しかない。NVでの残党の活躍もありこの扱いを残念がったファンもおり、modでエンクレイヴに所属できるようにした猛者もいる。
の、はずだったが…
2024年4月25日の大型アップデートにて新ストーリー「エンクレイヴ・レムナント」が追加され、公式にて再びFO世界の表舞台にその姿を表すことになった。
登場するのは「大佐」率いる末端の先遣隊で、上層部の状況は一切不明。
連邦に調査とプロパガンダのための新たな拠点を築くべくやってきたが、紆余曲折の末にエンクレイヴ製のハイテク兵器が流出。
回収のために拾った現地人(※主に火炎放射器大好きレイダーの「フォージ」一派)の抹殺を画策するも、我らが将軍を巻き込んだのが運の尽きとなり、隠れ家にカチコミをかけられて先遣隊本部は壊滅。
設営部隊もその際に居場所を割り出されて駆逐され、プレイヤー次第で前後するが流出した兵器も将軍にパクられることになった。
登場したのは総司令官ですら名無しという末端ではあったもの、流出した装備の他にプラズマ弾薬やフュージョンコアをわざわざ集めようとしていたことが描かれており、全盛期からの衰退がうかがえる。
練度や士気の方も低下しているようで、そもそも流出の原因が「脱走」「物々交換」「不意打ちで機体を強奪された」と散々なもの。いずれの命令にも「ただしBOSとの接触は避けろ(意訳」と例外事項がしつこく明記されており、彼らを鼻で笑っていた「3」当時とは状況が異なるのだろう。
BoSとの交戦を避けたい一心か、はたまたここまで落ちぶれても性根は変わらなかったのかは不明だが、接触した民間人を片っ端から殺害して隠密行動を徹底していたが、その結果がBoSよりあかんヤツの目を引いてしまったのは皮肉である。
fallout76では
初代よりもはるか以前の出来事なので組織そのものは健在。
しかしアパラチア支部に限れば、元アメリカ農務長官「トーマス・エッカート」の私欲に駆られた暴走により内紛が発生。最終的に管理AI「MODUS」の独断により全員処分された。
一方で人間の構成員が全滅した事により、一応プレイヤーがエンクレイヴに所属できる作品でもある。
fallout(実写版)
脱走者がキーパーソンとして登場、回想シーンで研究施設も描かれる。
本編時系列での状況は不明。
幹部
ディック・リチャードソン
「2」における全盛期のエンクレイヴを率いる大統領。同作の黒幕。
優生思想の権化であり、強毒性の改良型FEV「Curling-13」にてヒト遺伝子を持つ“ミュータント”をアメリカから根こそぎ殲滅しようとしていた。
フランク・ホリガン
「2」の事実上のラスボス。設定、ゲーム上共に歴代最強の一角。
リチャードソンのシークレットサービスであったが、FEVに暴露して変異したことから超人兵士の実験台となった。
具体的には「スーパーミュータントがサイボーグ強化を受け専用PAに乗り込んだ」お方。
しかしその強さに反してもはや専用PAを脱いだら生命を維持できないほどに変異が進んでいる上、リチャードソンの思想もありどうあがいても最終的に下賤なスーパーミュータントとして破棄される運命にある。
だが本人はあくまでも「組織に忠実な一兵士」であることを貫いており、説得や懐柔は一切不可能、少なくとも真偽不明な情報が出回る程に困難。
正面戦闘が避けられず、更に事前工作で取り巻きを破壊、寝返りさせる以外の弱体化方法がないことが彼の恐ろしさを高めている。
最終的に2主人公に敗れ、兵士として死ぬのが正史となる。
エデン大統領
「3」のエンクレイヴ残党の首魁。
Vault101を出た直後から彼のプロパガンダ放送を聞き続けることになる。
しかしてその正体は…
トーマス・エッカート
「76」の全ての元凶。黒幕ではなく元凶。戦前は合衆国農務長官を務めていた男。
この男の暴走がエンクレイヴ支部そのものを含むアパラチア全土の壊滅を招いた。
スコーチビーストの件を除いても、エンクレイヴ総本部で選挙で選ばれた正式な大統領がいたにもかかわらず、勝手に大統領を名乗り施設を私物化するなどやりたい放題だった模様。
のうむ長官というよりむのう長官である。
MODUS
「76」に登場するAI。数少ない味方サイド。
エッカートの暴走に端を発するアパラチア支部の内部分裂がシェルター内での実弾を用いた武力抗争に至ったため、支部内の人間メンバーを見限り全員を粛清した。
その後、本編にてスコーチビーストの脅威を収束させるため、プレイヤーを形式上ではあるがエンクレイヴに迎え入れ、核ミサイルのボタンを押す権利を譲渡する事となる。
シギ・ヴィルツィヒ
「実写版」に登場。
アーティファクトを持って組織を脱走した科学者。いわゆるマクガフィン・
大佐
「4」に登場。何者かの指示でボストンに橋頭堡を築くべく潜入した部隊の指揮官。
彼の本名、黒幕共に不明である。
余談
「設定上、シリーズの舞台となっていない土地に広大な支配地域をまだ持っているらしい」と
言われているが、これはファンが憶測で作った勢力地図を元とした話で、公式にソースが存在しているわけではない。特に4ではNVの内容が全くと言っていいほど引き継がれなかったのでもはやエンクレイヴ自体空気であり、4終了時点で他の地域がどうなっているかが一切分からない状況であった。2024年を迎えるまでは……。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
関連タグ
博士の異常な愛情:恐らくエンクレイヴの元になった思想をモデルにした映画
インスティチュート:fallout4に登場した、これまでのエンクレイヴを彷彿とさせる組織。下手をすれば、技術力や悪行は、此方の方がエンクレイヴを上回っている可能性が高いと思われる。