国家の地理的位置関係が政治、国際関係に与える影響を研究する学問。
歴史学、政治学、経済学、軍事学、文化学、宗教学、哲学などを総合し、国家戦略に科学的根拠と正当性を与えることを目的に発達した。
疑似科学としての側面
そもそも、政治的目的をもって成立した学問であることもあって、その客観性はかなり疑わしいものがあり、大陸系地政学にはドイツの地理的条件が、海洋国家地政学には英米の地理的条件が色濃く反映されている。はっきりと「疑似科学である」と言われることもある。
大陸系地政学は、生存圏理論がナチス・ドイツや大日本帝国などの膨張政策に利用されたことから廃れ、第二次大戦後の主流である海洋国家地政学も学術分野で顧みられることは少なくなり、主に軍事教育で取り扱われることが多くなっていた。
しかし近年は、G7の没落と新興国の台頭、ロシアによるウクライナ侵攻などにより世界情勢も激変している。温暖化による新たな北極海航路の誕生で物流や経済にも大きな変化が起こる可能性がある。これからの世界を語るうえでも必須の分野として改めて注目されている。
大陸国家系地政学
大陸国家系は主にドイツで発展した学派。海洋国家とは異なり隣国と陸続きになっているため、安全性の維持が困難で、膨張を志向するため比較的に統合を志向する立場にある。
海洋国家系地政学
海洋国家系は主にアメリカ・イギリスで発展した学派。海洋、つまり海と関係性が深い国家で興った地政学であるので、国内の団結を強め、海軍力をもって制海権を獲得し、海上交通路を維持拡大、国内経済の成長を推進することを原則的な方針とする、比較的共存を容認する立場にある。