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302死ショックの編集履歴

2023-05-17 14:56:57 バージョン

302死ショック

さんびゃくにししょっく

302死ショックとは、漫画『吸血鬼すぐ死ぬ』第302死(話)により引き起こされたギャグ漫画らしからぬ地獄の総称である。

警告:この項目は最新巻のネタバレがあります。

一部キャラクターの印象が大幅に変わる衝撃的な内容ですので御一読の際には十分ご注意下さい。


概要

事の始まりは、週刊少年チャンピオン2022年9月1日号に掲載された「第302死 みんなで地獄でダンシング♡」である。

この回は、本来の主人公コンビであるドラルクロナルドではなく、本作品の裏主人公的立ち位置である危険度Aオーバーの高等吸血鬼であった辻斬りナギリと、警官時代にナギリに襲われて以来、打倒ナギリを掲げて彼を追う吸血鬼対策課の熱血隊員ケイ・カンタロウのコンビを主体とした話であり、「〆切間近で狂っていた神在月シンジの仕事場に偶然居合わせたナギリとカンタロウが「シンジの仕事を手伝う」という名目で漫画家お仕事体験をする」という内容であった。


このコンビ、カンタロウは作中ナギリの正体に気付いておらず、親切な情報提供者「辻田さん」としてナギリを日々辻斬り捜査に連れ回しては疲弊させる…というギャグ展開が毎回のお馴染みであり、前日に予告されていた302死のチラ見せでもいつもの様にギャグ展開を想像させる様な描写になっていた。


…しかし、いざ読んでみるとラスト4頁でギャグ漫画らしからぬとんでもない展開が待っていたのである


地獄への「予告」

実は以前のナギリ回において、今回の衝撃展開の予告となるようなタイトル、エピソードが展開されていた。その話とは、第258死「The road to hell is paved now!(地獄への道は舗装されている)」である。


カンタロウが辻斬りに関する資料を整理していると、上司の半田桃から「辻斬りは恐らくもういない」と気の毒そうに嗜められ、ショックのあまりナギリに相談を持ちかけるカンタロウ。ナギリは最初こそ自分をこれ以上付け狙ってこない様に辻斬り捜査を諦めさせようと考えたが、カンタロウに「野球拳やビキニを着せられるなどして人知れず野垂れ死んだのだろうか」という何気無い言葉に怒り、新横から遠ざけようとしつつも「恐るべき辻斬りナギリが健在の証拠を見せてやる」とカンタロウと共に新横中を駆け巡る。

結果、紆余曲折ありながらも「辻斬りはまだ新横で牙を研いでいる」と確信したカンタロウは喜び、ナギリもまた「自分を忘れないで欲しい」という欲求が叶い、微弱ながらもカンタロウに笑顔を向ける。しかし、結局はカンタロウの「ナギリは新横にいる」という考えは解けず、いつもの様に無理やり捜査に連れ出されるのであった。そして最後のコマである看板には「ROAD PAVING(道は造られ続ける)」という文字が…


以上がその内容である。一見いつもの様な日常回に見えかねないが、ナギリにとっては「カンタロウに辻斬り捜査を諦めさせ、自分を忘れてもらう」か「引き留めて共に地獄に向かう」かどちらかを選ばなければならない重要なターニングポイントだったのである。加えて自分を忘れて欲しくないナギリは地獄行きの「引き留める」を選んだため、最後のコマで「地獄行き」の予告がされた…という衝撃的な回でもあった。


無論、読者もこの展開から「確実に地獄は来る」と薄々勘づいており、「次の回ではナギリの正体がカンタロウにバレるのでは」「正体がバレてカンタロウと戦闘になるのでは?」などの様々な考察が出された。


しかし、まさかあの様な読者層の予想を遥かに超えたえげつない展開になろうとは誰も思っていなかった…

 

その内容

事の発端は、シンジの手伝いを終えて2人が帰路に着いた時である。

「丸(ジョン)を取り戻す計画を邪魔された」と1人苛立つナギリであったが、カンタロウはシンジ宅での漫画家体験を「一度拝見したかった」「楽しかった」「貴重な体験だった」と語り、こう続けた。





カンタロウ「実は本官、昔は漫画家になるのが夢だったのです!警察に入ったのは、貯金のための腰掛けだったくらいで!」




それを聞いたナギリは「お前みたいなバカが!?」「さっきも(まともな線も引けず)ただの置物だったろうが」と驚愕するが、これを機にカンタロウが警察をやめ、これ以上自分を追いかけてこない様にと「夢を追うのは大事だ!今すぐ警察を辞して目指せ!なっ!」と彼の肩を掴んで漫画家になる夢を後押しするが…



  

何一つ知らないカンタロウからすれば、打倒凶悪犯の使命に燃えるいち警察官の他愛ない与太話のつもりだったのだろう。しかし次いで彼から発せられたその何気ない一言は、何の前触れもなく、突然ナギリの心に深く突き刺さった。


─────それも、あまりにも残酷な形で

    









カンタロウ「あぁいえ、もう漫画家になる気はありませんので!」


















【吸死】何一つ無くなりましたので!【302話バレ】

「辻斬りに斬られたあの夜以来!描きたいものなど何一つ無くなりましたので‼︎

かつての軟弱な本官はもはやおりません‼︎辻斬り逮捕こそ本官の使命となったのでありますからしてーーー‼︎」










見開き1頁丸々使ってのこの台詞(本作品では異質の見開きページであった)。

さらに衝撃なのはこの時、辻斬りナギリによって「夢を奪われた」という事実をカンタロウは悲しむ事も怒る事も嘆く事もせず、まるで幸せすら感じている様な満面の笑顔を浮かべてナギリにこう返答したのである

加えてカンタロウの後ろの背景には、やけに明るい太陽のトーン、警察や辻斬り関連のアイテム、カンタロウの手をイメージした指差しが散りばめられており、かつて追いかけていた夢であった漫画家要素は一切入っていなかった

そして指差しの1つはコマを超えてナギリの方向へと向いていたのだった









カンタロウの衝撃的な台詞、それとは真逆な彼の満面の笑顔、背後に描かれた異質な背景。「ナギリに斬られたトラウマ(若しくはナギリが知らずに持っている忘却能力?)により精神崩壊を起こして今に至っている」と見れる様な描写であった










あまりの事に直前まで「早くコイツを追っ払おう」と焦燥していた表情が凍りつき、呆然とするナギリ。

早速辻斬り捜査を続けようとする笑顔のカンタロウ。ナギリはそんなカンタロウの元を離れ、シンジに貰った漫画のアシスタント代を捨てて路地裏に去る。


恵まれなかった幼少期、路地裏で謎の吸血鬼によって同意なく吸血鬼にされてしまい、辻斬りとして生きる事になった日々、そして現在。

誰かからの愛情を知らずに育ち、自己の「覚えてもらいたい」という欲求のため、そして食べ物である血を摂取するために人間を「食いカス」と見做し続け、斬りつけ続けていたナギリ。


しかし、カンタロウやシンジ達との出会いによって人の情に触れ、自身が吸血鬼に襲われる前に抱いていた「退治人になる」という夢を思い出した中、自分が幼少期に路地裏の吸血鬼によって「退治人になる夢」を奪われた様に、ナギリ自身も同じ様にカンタロウの「漫画家になる夢」を奪ってしまった事、「軟弱だった本来のカンタロウの人格」まで壊してしまった事、そしてカンタロウの「漫画家になる夢」を自分がアシスタントとして横取りしてしまっていた事に気付き、初めて自身が犯した罪と罪悪感に駆られてしまう。


退治人を夢見ていた幼少期の自分、「なりたいものや、やりたいことがあるのって、それだけで大事な事だと思うから」という数刻前のシンジの言葉、自身に襲われずに漫画家になったカンタロウの姿を思い浮かべ(この時肝心のカンタロウの目は真っ黒に塗りつぶされている)、動揺と絶望のあまり、暗闇の路地裏の中で嘔吐した場面で302死は幕を閉じた。

そしてこのエピソードをきっかけに、ナギリは己の辻斬りとしての在り方と己の罪悪感の間で葛藤する様になる……

ラクガキおぇっ

「……おえっ……」


反響

302死掲載後、いつものギャグ漫画だと思い込んでいた読者層、そして前回の予告回を踏まえて地獄展開を警戒していた読者層はそのあまりに重すぎる真実と地獄のような展開に動揺し、「これ本当にギャグ漫画?」「救いがない」と絶望する人々が続出。Twitterのトレンドには「ギャグ漫画」「カンタロウ」の2つの単語がトレンドに上がる程の騒ぎを起こした。

加えて、今までのカンタロウの破天荒かつメチャクチャな言動も、今回の話を知ってしまうとギャグとして見れなくなってしまうため、「これからアニメでカンタロウやナギリが登場した時にどういう目で見たらいいのか」とこの先放映される2期の視聴に対して嘆く人も少なくなく、実際にアニメ2期で2人が再登場した際も2人のギャグエピソードを笑顔で見れないファンが出始めるという多大な影響を残した。


今回の件で何より異質だった点はギャグ漫画でこの様な地獄展開が展開された事実である

元々本作においては下ネタやパロディネタ満載のギャグ展開の中、キャラクターの背景にはギャグ漫画らしからぬ重い過去が匂わせ程度で描写されている事が多い。しかし、一種の精神崩壊と捉えられるようなここまで重い描写・展開を本編で公開されるのは初の事であった

思えばカンタロウはあれだけ熱心に仕事しているにも拘わらず、他の吸対職員がそこかしこに出没する吸血鬼(それこそナギリの様な一介の吸血鬼よりもずっとタチが悪そうな個体)を相手取る中で彼だけ狙いが足すら掴めていないナギリ一人にしかいっておらず、また手配中の凶悪犯とはいえナギリに対して異常なまでに危険視している

その点からも、彼のナギリに対する執着と異常性は既に兆候を見せていたのだろう。


余談だが、作者である盆ノ木至氏は『吸血鬼すぐ死ぬ』掲載前にpixivに投稿したとあるホラーゲーム二次創作作品において、とんでもなく重いシリアス展開を描いている。今回の話で作者の本領が発揮されたと言うべきだろうか。


以上の記述の中でただ1つ注意して欲しいのは、上述の「カンタロウが精神崩壊を起こしていた」という話はあくまでファンの考察した一つの推測・可能性であるため、カンタロウが本当に精神崩壊を起こしているのかは公式で断言されてはいない事である。そのため、「ナギリや多くのファンが思っているほどカンタロウに深刻な状態は起こっていないのではないか」「ナギリは「カンタロウの夢を壊してしまった」と思い込んで絶望してしまったが、カンタロウ本人はそんな風には思っていないのでは」と希望を見出す人も少なくない。

...しかし、別世界線でのが本編のカンタロウと同じ状態になっている辺り、この最悪の可能性がゼロという訳でもない。


今後の展開・真相が希望あるものになる事を祈るばかりである。


関連タグ

吸血鬼すぐ死ぬ


辻斬りナギリ ケイ・カンタロウ 地獄ダンスコンビ

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