セリフに至る経緯
人間社会の出す電磁波によって空中棲息生物クリッターが突然変異し、怪獣・ガゾートとして地上に降りてきた。
市街地に降り立ったガゾートは、次々と人間を捕食していく。クリッターが「言語」を用いていることに気づいたGUTSのホリイ隊員は、翻訳機を通して一対一で直接コミュニケーションをとり、自分たちは「友達」だとガゾートを説得して人間を捕食するのを止めさせるように試みる。
ホリイ「キミは、なんて言うんや?ボクは、ホリイや!」
ガゾート「ガゾート、ココ、スキ!」
ホリイ「ガゾート?それがキミの名前なんか?お願いや!暴れたり、ボクの友達を襲ったりせんといてくれ!!」
ガゾート「トモダチ?」
ホリイ「そうや!ボクもキミも、この星の同じ仲間や!!」
ガゾート「トモダチハ、ゴチソウ!」
ホリイ「え?翻訳が上手くいってないんか?」
ガゾート「トモダチハ、ガゾートノ、タベモノ!」
…ガゾートは上述の通りクリッターが集合した怪獣なのだが、そのクリッターには、食糧資源が存在しない電離層で生きていくために、親愛の情を持った相手を共食いする、という習性があった。
つまり、コミュニケーションが取れて「トモダチ」認定しても、ガゾートにしてみればそれすなわち「捕食対象」である、ということになる。
「友達」の概念そのものが、人類、それも全世界で戦争・紛争を無くしてTPCの設立にまでこぎつけたネオフロンティアスペースの彼らとガゾート(クリッター)とでは、あまりにも違いすぎるモノだったのである。
ちなみに、ホリイ隊員も上記の会話の直後、危うく食われそうになっている。
ガゾート「トモダチ!!」
彼が恐怖に満ちた悲鳴を上げたことは、言うまでもない。
もっともガゾート(クリッター)は、攻撃してきたウルトラマンティガすらも「トモダチ」認定して捕食しようとしているくらいなので、「自分と他者(ゴチソウ)」という認識の生き物なのかもしれないし、ティガとの戦いで死んだふりからの不意打ちを仕掛ける狡猾な部分があることを踏まえればギャビッシュのように意図的に「友達」を自分にとって都合よく解釈しているだけの可能性も、ないではない。
いずれにせよ、人間とまるで異なる価値観のもとに動く生物であることだけは間違いなさそうである。
ちなみに「ともだちなのにおいしそう」という他作品のキャッチコピーに似ているように見えるが、あちらが「友達」と「食べ物」の違いを理解したうえで理性と本能のはざまで葛藤していたのに対し、両者を同一視しているこちらは本能に忠実に、何の躊躇もなく人間を捕食している。
それを示すかのように、劇中で最初に翻訳されたガゾートの言葉も「オイシソウ!」であった。
『ウルトラマントリガー』においても、ナナセ隊員が操縦するGUTSファルコンに対して、「トモダチ」という言葉を投げかけるシーンがある(ただし、ナナセ隊員からは「何言ってんの? こいつ?」と一蹴された。もっとも、上記の事を考えれば、寧ろ知らない方が良かったのかもしれない)。今回は翻訳機を介さず直接「トモダチ」と叫んでいる。
余談
「地獄先生ぬ~べ~」にも同様の環境に生息するUMA・クリッターが登場し、その姿がグレイタイプのエイリアンとよく似ていた事から、宇宙人に憧れる白戸秀一が友達になろうとするも、捕食対象と見なされるシーンが存在する。
とはいえ、こちらの場合はガゾートとは異なり、最初からコミュニケーションは全く成立していない。